ある物理学者から次のような話を聴きました。
物理学にはただ一種類の質量しかなく、それは静止質量と呼ばれてきたものだ。相対論的質量とか運動質量とかいう概念は歴史的な所産で過去のもの。だから質量に「静止」という形容詞をつける必要はなく、単に「質量」が正しい。
以上です。しかし、幾つかの参考書や辞典(たとえば岩波理化学辞典-第5版)を見ると、すべて静止質量という単語を載せてあり、"本当は単に質量と言うべき" というような注釈は付けられていません。この物理学者の言うことは、現代物理学での主流なのでしょうか、それとも一つの意見に過ぎないのでしょうか。専門家のご意見を伺いたく思います。
No.13
- 回答日時:
まだ、続いてるんだ。
なのでちょっと補足。教科書覗けばわかりますが、特殊相対論の
ローレンツ変換に不変な運動方程式は
F=dp/dτ
p=mu
F:4元カ
p:4元運動量
τ:固有時
m:質量(=静止質量)
u:4元速度
ベクトル量は4元になってて、時刻が物体の固有時に
なっていることを除けば二ュートンの運動方程式と同じ形。
これが主流です。相対論的質量は出てきません。
γを背負っているのはuの方ですね。
質問者から御礼。いろいろとご意見を頂き、ありがとうございました。異議の余地が残っているのかどうかハッキリしませんが、現代物理学の主流は「物理学にはただ一種類の質量しかなく、それは静止質量と呼ばれてきたもの、だから "静止" という形容詞は不要で、単に '質量' が正しい」ということのようですね。それを最初に示してくださった No. 3 の回答をベストアンサーとして、この質問を打ち切りたいと思います。
No.12
- 回答日時:
まず訂正です。
No.11回答のγ= [1 - (v/c)^2]^0.5はγ= [1 - (v/c)^2]^(-0.5)の間違いでした。ファインマン物理学には(勿論)縦質量と横質量の区別はありません。そして、Feynman大先生は質量の増大こそ特殊相対性理論の核心であると主張しているように思えます。なぜなら、昔から知られている(7式)について「問題が解けさえすればもうそれでいいと言う人達にとっては、相対性理論とはこれだけのものである--質量に補正を入れて、ニュートンの力学に変更を加えるだけのものである」という記載がファインマン物理学(I) 15章``特殊相対性理論’’の冒頭にあるからです。
m = m_0 / [1- (v/c)^2]^0.5 = γ m_0 ..(7式)
No.11
- 回答日時:
No.5回答に「相対論的質量mが嫌われている理由を簡潔に説明した文献を知りません」と書いた者ですが、次のemanさんのサイトに簡潔な説明がありました。
<https://eman-physics.net/relativity/ increase.html>
まず、質量mを定数として、運動量をp = γm v = m (γv) ..(1式)と定義します。ここでγ= [1 - (v/c)^2]^0.5です。
すると、力FはF = dp/dt = m d(γ v)/dt ..(2式)と表されて、
γも速度vを含むことに留意すると、進行方向では
F = γ^3 m dv/dt ..(3式)、
それに垂直な方向では
F= γ m dv/dt ..(4式) が導かれます。
これを運動方向では質量がγ^3倍になって、それに垂直な方向では質量がγ倍になると解釈して、前者を縦質量、後者を横質量を呼ぶ。
emanさんは、「方向によって質量の大きさが違う!このような性質を持つものを質量だと認めても良いだろうか?確かに、速度が増加するほど加速されにくくなるという現象は起こる。しかしそれによって重力に引かれる度合いが増したりするだろうか?方向によって重力に引かれる度合いが異なったりするものだろうか?」と書かれてます。
ちなみに、(原子爆弾が示すように)内部エネルギーの増大は質量の増大をもたらすことは確かで、
E^2 = (m c^2)^2 + (p c)^2 = (m c^2)^2 + (γ m v c)^2 ..(5式)
を先と同様に計算すると、
E = γ m c^2 ..(6式)になって、
昔から言うように質量がγ倍になっているように見えることも、emanさんは書かれてます。
しかしながら、私は(1式)の定義は問題であると考えます。そもそも(γ v)に物理的意味を見出し得ません。物理的な実体を想定できないものに対する演算に意味があるのでしょうか。
さらに、(2式)の演算も問題です。特殊相対性理論は、運動方向への空間のγ倍に短縮されると共に運動する系の時間が1/γに伸展することを示してます。ところが、(2式)から(3式)や(4式)を導く際には空間の圧縮も時間の伸展も考慮されていません。その影響で(3式)のγ^3の内のγ^2が現れている可能性はないのでしょうか。そうすれば、(3式), (4式)そして(6式)の全てが単に質量mがγ倍になっていると解釈できます。
内部エネルギーの増加も単純に質量の増加として説明できます。
少なくとも、(1式)から(4式)の計算処理を根拠に縦質量と横質量の概念を考えることや、それらが互いに異なるから質量は定数と見なすべきであるという議論は不適切であると私は考えます。
質問者から御礼。いろいろとご意見を頂き、ありがとうございました。異議の余地が残っているのかどうかハッキリしませんが、現代物理学の主流は「物理学にはただ一種類の質量しかなく、それは静止質量と呼ばれてきたもの、だから "静止" という形容詞は不要で、単に '質量' が正しい」ということのようですね。それを最初に示してくださった No. 3 の回答をベストアンサーとして、この質問を打ち切りたいと思います。
No.10
- 回答日時:
もっというと物質の静止エネルギーm0c^2に光のエネルギー|p|cを加えなくても、
宇宙のすべて物は自由落下していて、この自由落下こそが宇宙の慣性系なんです。
E=m0c^2=√((mc^2)^2+(γmvc)^2)=Mc^2
自由落下により物の運動量が変化しても、エネルギーや光の運動量は保存しています。
|p|=E/c=hf/c=Mc=mw
重力を考慮しない近似はあってもいいのですが、
考慮しないで「物理学にはただ一種類の質量しかなく」というのは無理がありますね。
ガリレオやニュートン力学も重力理論が先、もしくは同時に提示しています。
質問者から御礼。いろいろとご意見を頂き、ありがとうございました。異議の余地が残っているのかどうかハッキリしませんが、現代物理学の主流は「物理学にはただ一種類の質量しかなく、それは静止質量と呼ばれてきたもの、だから "静止" という形容詞は不要で、単に '質量' が正しい」ということのようですね。それを最初に示してくださった No. 3 の回答をベストアンサーとして、この質問を打ち切りたいと思います。
No.9
- 回答日時:
そもそもが、物体の運動量mvやγmvで表現する、以下の2粒子のエネルギー保存を1粒子の運動に置き換えてるのは、古典的な表現なんです。
物質の静止エネルギーm0c^2に光のエネルギー|p|cを加えると、
E=m0c^2+|p|c=√((mc^2)^2+(γmvc)^2)=Mc^2
同時に運動量γmvもそこにあると見るだろう。
https://eman-physics.net/relativity/ep_tensor.html
mの内部エネルギーが加わるのか、m0の静止エネルギーのままなのかどうかは別ですね。m≠m0
だからスケールファクター=1/√(1±v^2/c^2)=c/w=m/M、に関係するのは
静止質量m0でなく、m=m0/√(1ーv^2/c^2)
総エネルギーの重力質量Mと慣性質量mの関係なんです、m=M/√(1±v^2/c^2)
No.8
- 回答日時:
運動方程式を
dp/dt = F
とすればなんら問題ないのに, ニュートン的に
mdv/dt = F
と書こうとすると質量 m の部分をむりになんとかしないといけなくって, そのために「相対論的質量」なんてものを「発明」したわけです. とはいえ, 実際のところこんなに簡単には書けない (#3 で指摘されているように「縦質量」とか「横質量」とか出てくる) し, 「運動する物体のあいだに働く引力」を考えるとやっぱりむりがある (これも #3 に書かれていますね) ことがわかります. そんなむりを後生大事に持っている必要はないよ, というのが今の主流.
質問者から御礼。いろいろとご意見を頂き、ありがとうございました。異議の余地が残っているのかどうかハッキリしませんが、現代物理学の主流は「物理学にはただ一種類の質量しかなく、それは静止質量と呼ばれてきたもの、だから "静止" という形容詞は不要で、単に '質量' が正しい」ということのようですね。それを最初に示してくださった No. 3 の回答をベストアンサーとして、この質問を打ち切りたいと思います。
No.7
- 回答日時:
相対的質量、原則として「的」がつく言葉あまり真剣に聞く必要がないようでもあります・
相対質量、相対でしょう。
一説の物質が光速で移動すれば質量は無限だいとも言われますね、光速で移動していない他の位置から見れば・・・でしょうね、だから相対・・・。
質問者から御礼。いろいろとご意見を頂き、ありがとうございました。異議の余地が残っているのかどうかハッキリしませんが、現代物理学の主流は「物理学にはただ一種類の質量しかなく、それは静止質量と呼ばれてきたもの、だから "静止" という形容詞は不要で、単に '質量' が正しい」ということのようですね。それを最初に示してくださった No. 3 の回答をベストアンサーとして、この質問を打ち切りたいと思います。
No.5
- 回答日時:
No.3回答にありますように、単に「質量」と呼ぶのが現在の主流のようです。
手元にある近年発刊された二, 三の本はどれもそうなってました。しかしながら、物理学大百科(朝倉書店)や物理学大辞典(丸善)や1960年代後半に書かれたファインマン物理学では、相対論的質量mと静止質量m_0を区別して用いてます。
私は、相対論的質量mが嫌われている理由を簡潔に説明した文献を知りません。No.3回答を読みますと、万有引力、すなわち一般相対性理論がらみの理由なのかなと推測します。
ただ、この現在主流の考え方では、有名なm c^2がエネルギーに等しいという関係は、静止状態の物体について正しいことになります。また、ファインマン物理学中で多用されているm^2 c^4 = m_0^2 c^2 + p^2 c^2の関係式が意味を成さなくなります。このため、私は相対論的質量mと静止質量m_0を区別するのが好きですね。どちらの立場を取るか断っておれば、好きな方を選べは良いのではないかと思います。
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No.2 と No.3 のご回答にも上記と同じ補足コメントを。 そしてNo.4 以降の回答にはお礼の欄に。