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深海では8000mくらいの場所から魚類や甲殻類が発見されていますね。でも、地中では最深何メートルくらいまで、生物がいると思われているのでしょうか。

植物は光合成をしなければ生きられないので、地面の表層以外は繁殖できないと思いますし、ミミズやモグラ、昆虫類もそんなに深い所では棲めなさそうです。光も酸素も必要としない種類の菌類なら、地中深くでも分布しているのでしょうか。ただ、地中は海と違って栄養源となる物質や分解物の循環が難しそうです。

何となく気になったので、もしご存知の方がいたら教えて下さい。

A 回答 (3件)

こんにちは。


質問者さんの仰る「地底微生物」は、太陽光も酸素もない地下5000mで逞しく暮らしています。ただ、その生態系は光合成で成り立つ地表生命圏とは全く異なります。

地球の生命圏といいますのは主に地表と海洋とであり、ここでは太陽エネルギーを基に光合成によって有機物の合成を行なう豊かな生態系が形成されています。これに対しまして、近年では酸素もなく、高温高圧の地底深くに、太陽光に依存しない微生物の生命圏が予想以上の規模で存在することが分ってきました。
地下では深さ1000mごとに温度が20~30℃上がります。現在「生物育成温度の記録は113℃」ですから、生息限界温度を120~150℃と見積もって、およそ「地下5000m」までが地底生物の生息可能領域と考えられています。光合成の生命圏を地表と海洋の平均深度3000mまでとしますならば、こちらの海底下を含む「全地球の地下5000mまで」の地低生命圏といいますのは、地表とは比較の及ばない広大な規模となります。

マグマの冷え固まった地下の火成岩には有機物というものが一切含まれていません。つまり、地表とは違い「腐葉土」というものがないんです。そして、そこには酸素もなく、高温高圧という環境に包まれています。太陽光の届かないこのような極限環境では「嫌気性微生物」が化学エネルギーによって地表とは全く異なる生態系を築いています。
地底生命圏は「化学合成無機独立栄養」によって成り立っています。酸素も太陽光も全くない地底に棲む「岩石栄養(リトソフィー)生物」は、無機物(二酸化炭素)から有機物を合成するわけですが、これは地底の「無光合成」と呼ぶことができます。そのエネルギーは水素、メタン、硫化水素などを酸化することによって得られる化学エネルギーであり、酸素が手に入りませんので、酸化剤には二酸化炭素、硫酸、硝酸、鉄、マンガンなど、ありとあらゆるものが利用されます。これにより、地底生物は太陽光に依存しない立派な有機物の合成と循環を営んでいます。

岐阜県土岐市の「東濃地科学研究所」はこのような地底生物の研究を行なっているのですが、この研究所は「東濃(とうのう)鉱山」というかつてのウラン試掘鉱後の地下125mにあります。研究員のひとたちはまるでモグラ生活ですね。
このような特殊環境に生息する生物は地表生物とは異なる特殊な能力を持つものが多く、これまでに原油や農薬を分解したり、二酸化炭素を固定する微生物、あるいは石油の合成やウランの沈殿に関わる微生物などが発見されているそうです。上手くゆけばプラスチックゴミの分解や地球温暖化対策に実用できるものも見付かるかも知れませんが、下手をしますとエボラやエイズといった新興病原体との遭遇にもなりかねません。また、嫌気性の微生物はまだ地球大気に酸素のない時代に生息していた原始生物と近縁である可能性が高いので、地球生命の誕生を解明する有力な研究材料となります。
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この回答へのお礼

とても分かりやすくご丁寧に回答いただき、ありがとうございました。
酸素も光も有機物も一切ない特殊な環境で生態系を維持しているだけあって、地中の生物には一般に害があるとされる原油や農薬、ウランなどを分解したり固定したりする能力が備わっているのですね。個人的には、現代が抱えるさまざまな環境問題の救世主に思えますが、新興病原体となる可能性があるとしたら、慎重に調査をせざるを得ないですね。

今回ご回答いただいた方々のおかげで、また新たにいろいろな興味や疑問が湧いてきました。この分野の簡単な本を見つけて、読んでみたいと思います。ありがとうございました。

お礼日時:2007/08/02 20:21

こんにちは。


先般、深海掘削船「ちきゅう」、通称「ゴジラ丸」が就航し現在試験運用中ですが、この船はマントル掘削を目的としています。

そして、この分野の研究者は「マントルにも生物がいるんじゃないか」とかなり期待してるらしいです。
http://homepage1.nifty.com/issui/rep_tikyu_01.htm

「ちきゅう」詳細
http://homepage3.nifty.com/nishimura_ya/RISER.HTM
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この回答へのお礼

ユニークな取材レポートをご紹介いただき、ありがとうございました。面白く読ませていただきました。
なぜ掘削作業をわざわざ海の上でやるのか、前々から疑問に思っていたのですが、マントルにより接近しやすいことが理由だったのですね。もしマントルにも生物がいたとしたら、それこそ地球の生物圏は大きく広がりますし、宇宙に生物がいる可能性も一層高まりますね。まだまだ現在進行形のようですが、面白い研究分野だと思いました。
ありがとうございました。

お礼日時:2007/08/02 19:48

 NHK の「地球大進化」によると、かなり深い地中に微生物が生存し、


生物の存亡の危機(小惑星の衝突)の後に、大繁栄をしたということ
です。栄養源は、硫化水素など、マグマを因とする物質を利用したと
考えられています。
 Wikipediaのリンクは、以下です。NHKのリンクは、そこから辿ってください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83% …
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。地球が、生命を優しく育む「母なる星」ではなく、生命に試練を与えた「荒ぶる星」だと考えると、また違った見方ができて面白いですね。


>かなり深い地中に微生物が生存し、生物の存亡の危機(小惑星の衝突)の後に、大繁栄をしたということです。

Wikipediaを読んだ限りでは、巨大隕石の衝突によって生命は地下深くにまで進出し、衝突による高温が容易に地下まで届かないため、生命は地下で生き存えて来たと私は理解したのですが、実際はどちらなのでしょう。機会がありましたら、このドキュメンタリーを観てみます。
ありがとうございました。

お礼日時:2007/08/02 19:34

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