
No.9ベストアンサー
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コナン・ドイル『緋色の研究』
シャーロック・ホームズ・シリーズ第一作。御存じワトソン医師が語り手。このシリーズ作品は、どんな人を通じて何をいつ語らせると効果的なのか、よく考えられている。
アゴタ・クリストフ『悪童日記』
戦時下を生き延びる双子の少年たちが主人公の一人称複数ぼくらによる作文で語られる。
ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』
デブ、SFおたく、生涯童貞の三重苦の主人公オスカー・ワオについて他者が語る。
デュマ・フィス『椿姫』
椿姫の遺品を巡って、私とぼくが語り手となる。私が遺品の『マノン・レスコー』を競売で手に入れたところ、椿姫の元恋人が遺品を譲ってくれとぼくが現れる。ぼくは椿姫との恋物語を語り出す。
E.ブロンテ『嵐が丘』
ウィルキー・コリンズ『月長石』
登場人物が入れ替わり立ち代わり語るスタイル。読者は誰をどのくらい信じればいいのか混乱する小説。
ドストエフスキー『地下室の手記』
D.E.ウェストレイク『斧』
J.D.サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』
シルヴィア・プラス『ベル・ジャー』
エイモス・チュツオーラ『やし酒飲み』
語り手を正常と思えなくなる効果が出ている。
夏目漱石『坊っちゃん』
安部公房『箱男』
ウラジミール・ナボコフ『青白い炎』
カズオ・イシグロ『日の名残り』
W.C.フラナガン(小林信彦)『素晴らしい日本野球』
読者は語り手を信じられるか、信じていいのかという作品。
坊っちゃんは単純、皮相的な読み方をするのが健全だと思うが、第一印象で相手を判断し、自分の好き嫌い、快不快に従って意地を張って生きるはた迷惑な青年が語らないままなことは何かという観点で読むのも一興。
パーシヴァル・ワイルド『探偵術教えます』
通信教育で探偵術を習っている主人公がレッスンに従い事件を解決した毎月の報告記からなる一人称書簡体のユーモアミステリ連作短編集。
夏目漱石『吾輩は猫である』
江戸川乱歩『夜歩く』『人間椅子』
H.F.セイント『透明人間の告白』
乙一『夏と花火と私の死体』
平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』
普通の人間以外が一人称で語る。漱石が猫に語らせたのは大きな工夫で、一人称で語ると語り手が居合わせなかった場所で起きたことは伝聞、手紙などでしか知る場面は描きにくいところを、始終居なくなったかと思えばいつのまにか戻っていて長時間眠り続けるわけでもない猫であれば半径50m圏内なら出没も不自然ではない。
では猫のように密かに誰かの生活を覗いている者が居たらとか、椅子の中に人間が潜んで美女が座るのを待ち構えていたらという変態趣味が現れた作品もある。
居るのがばれたらまずいから声を立てずにじっとしている人、無生物、すでに死んでしまった人など、変わった語り手もいる。
ツルゲーネフ『初恋』
伊藤左千夫『野菊の墓』
幸田文『おとうと』
愛する人の追想、回想、あるいは同居の身近な家族を看取るまでについて語られる。
森鴎外『澁江抽斎』
大岡昇平『野火』
有吉佐和子『複合汚染』
色川武大『百』
これらは一人称で語ることで却って私的体験談にとどまらない味わいを深くしている。
No.7
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