
高村薫さんの作品で一番最初に読んだのは
新刊が出たばかりの単行本「照り柿」です。
ものすごく長い話を読んだ挙句、途中の事件の
真相がうやむやな感じがして、読み終わった後、
もやもやした感じがありました。
その後、直木賞をとったぐらいだし、照り柿よりは
薄いから面白いかと「マークスの山」の単行本を
買いましたが、難解な文脈が多く、ずっと眠っていました。
それを最近、読み始めたところ、難解な文脈ながらも
面白く、先程、読み終わりました。
ただ、金庫の遺書のあたりから、アレレレ?と感じ、最後のオチにいたってはうーん・・・。
それで、気になったのが最初に大雪の小屋の玄関前で
岩田がスコップで殴り殺したのは誰なんですか?
当時の刑事のやりとりで、二十六歳というのはありましたが、名前は出てきません。
金庫の遺書にも、名前は出てこず、偶々、同じ頃に
同じ場所付近であった殺人のようでした。
でも、それなら、あんなに意味ありげに
「この雪の中、この道を通るのはおかしい」的な
描写を最初に念入りにするのはいかがなものかと。
また、同じ頃に両親が心中した少年も
その殺害現場を目撃したという文脈もなく、
偶然、同じ時期の同じ付近であった事件が
その後、偶然、泥棒に入った所の金庫で・・・
とつながっていくのが、凄い偶然続きだなぁと。
随分、昔の小説なので忘れている方も多いかと
思いますし、批判的な事を書いて申し訳ありませんが、
スコップで殺された人が誰かをわかる方が
いらしたら教えてくださると嬉しいです。
また、私の読み方不足でしたら申し訳ありません。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
「マークスの山」、
文庫本でしたが、読みました。
文庫ででたばかりなので、
私もかなり前になりますが・・・。
質問者様が気になっているのは、
以下の事柄でしょうか?
1、岩田がスコップで殴り殺したのは誰?
2、同じ頃に両親が心中した少年も・・・凄い偶然続き
1、【被害者の名前は、登場しなかった】
・・・ような気がします。
以下のURLは、単行本版「マークスの山」
の年表です。
http://donguri.sakura.ne.jp/~shell/godaholic/ken …
登山者が岩田に撲殺されるのは、
昭和51年 10月21日 午前6時頃です。
で、金庫の遺書に書かれていた
【名前は出てこず、偶々、同じ頃に 同じ場所付近であった殺人】の被害者は、
N大自治会で左翼活動していた野村久志でした。
正確には殺されたわけではないのですが・・・。
左翼活動をしていた野村を殺すつもりだったが、
野村は偶然にも、
昭和51年 10月21日 午前0時頃
に急死してしまいます。
本来ならばその【急死という事故】を警察に届けていれば、
一連の事件は起こらなかったはずです。
まあ、殺人の準備をしかけた(←スコップを盗む)後ろめたさもあり、
その【事故】を疑われたら、
司法試験に受かったなどの、自分の人生が変わってしまう事が
怖くなったようで・・・。
殺した時に使う予定のスコップで、
穴を掘って、野村の死体を埋めてしまいました。
どうやら、岩田に撲殺された男は、
その【野村の死体を埋めているマークス五人衆の姿】を見て、
必死になって、山をかけおりてきたようなのです。
なら、この撲殺された被害者は、別にいなくても関係ないような気も
するかもしれません。
【野村の動向は、公安が知っていたけど、追求はしなかった】
↓
【公安側は、密かに野村が亡くなる事を希望しており、
殺した犯人を追及するつもりはなかった】
↓
【マークス五人衆も出世し、どんどん警察の現場が追及しにくい立場になる】
このまま、野村の死の真相は
【マークス五人衆】や【公安】が黙り続ける事によって、
闇に葬られて表にでてこないはず・・・でした。
ところが、
「岩田がなぜ、被害者を撲殺したのか」という事が気になり続けた
佐野警部の執念が、【野村の死体】を見つけだします。
その後も、上層部から横槍が入ったりする中で、
佐野警部と合田警部補達は、
【マークス五人衆】達が抱え込む秘密に、
じりじりと近づいていくわけですが・・・。
他にも、佐野警部が野村の死体を見つけなかったら、
死体の復顔を依頼しなかったら、
【マークス】があの金庫を盗まなかったら、
・・・という、いろいろな偶然の積み重ねがないと・・・。
偶然でもないと崩せないほどの権力の闇が、
覆い隠していた【野村の死の真相】が表にでてこなかったわけです。
2、【同じ頃に両親が心中した少年】→事件後、暗い【山】に精神を翻弄される
【合田警部補】 →趣味で【山】に登る
【マークス五人衆】 →【山】では楽しい事もあったけど、しかし・・・
という共通点を出したかったために、
あの北岳で少年は登場したのかもしれません。
その後、また北岳へ彼は向かう事になりますが。
1でもふれましたが、
確かに「偶然続き」ですけどね。
私自身、この作品は、
【犯人が誰か】
【犯人はどんな凄いトリックを使ったか】
を楽しむより、
【警察がどのような事に翻弄されながら、事実にたどりつくのか】
その過程を読ませる・・・作品だと思っています。
多少アクがありますが、
読ませる力もある作品です。
質問者様もおっしゃっていますが、
・・・ただ「偶然が目につく」などの、
ちょっとした事が気になるっていえば、
気になります・・・。
好きな作品ですけどね。
高村薫は、単行本と文庫本で、
情景描写などの部分をなおすので、
ほとんど別作品・・・という意見もありますが・・・。
参考になれば幸いです。
かなり、良いお返事をありがとうございました。
やはり、被害者の名前は、登場しなかったのですね。
あれが全ての発端であるだけに、そんな扱いというのもいかがなものかと思います。
>「岩田がなぜ、被害者を撲殺したのか」という事が気になり続けた
>佐野警部の執念が、【野村の死体】を見つけだします。
という事なら、尚更、名前のみならず、被害者が何故、
普通の人が通らないあの道をあんな時間に通ったのか、
の説明が欲しかったですね。
(もちろん、Liohさんを責めているのではありません)
>どうやら、岩田に撲殺された男は、
>その【野村の死体を埋めているマークス五人衆の姿】を見て、
>必死になって、山をかけおりてきたようなのです。
その描写が単行本では見当たらないように思います。
それがあれば、私の印象も随分違ったものになります。
MARKS五人衆が死体遺棄をしなければ、
その登山者も嫌なものを目撃して逃げ出す事もなく、
岩田もその登山者を撲殺する事もなかったのですから、
全てがMARKS五人衆の死体遺棄が始まりの悲劇の連鎖
という事で、かなり、納得がいきます。
>高村薫は、単行本と文庫本で、
>情景描写などの部分をなおすので、
>ほとんど別作品・・・という意見もありますが・・・。
そのようですね。
今回この質問をするにあたり、過去の質問を調べましたが、
私が単行本で難儀な文脈と感じた所も、
文庫本ではどうやら、滑らかに流れているようです。
ただし、単行本の最後の一ページが文庫本には
書かれていないようなのです。
私は最後のオチ(死体遺棄の中心人物で、尚且つ、
水沢殺害計画の首謀者なのに、生き延びて、
時効にも守られている超ラッキーな弁護士・林原)
というのが、どうも嫌な感じでした。
でも、単行本の最後の一ページで少し、
救われた感じがしたのです。
それが文庫本でないとなると、どうなのかなーと。
もしかしたら、文庫本では他の所で、私が感じた
嫌な感じがしないような構成になっているのかもしれませんが。
いずれにしましても、Liohさん、ご意見ありがとうございました。
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