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動物(ヒト以外)に関して文系からのアプローチ、研究をしている方がいらっしゃったら学部と具体的にどのようなことを研究しているのかを教えてください!高校の先生に文系でも動物について勉強できると言われたのですが、理系以外でどういうことを研究するのか見当がつきません。かなりおおまかな質問ですみません。

A 回答 (3件)

No. 2のDiogenesis様が答えたあとで、恐縮ですけれど。



◆ 比較認知科学(動物認知論)
文学部で「ヒト以外の動物に関して文系からのアプローチ、研究をしてい」ました。

心理学(行動科学)からのアプローチでした。比較認知科学(動物認知論、動物心理学)と呼ばれる分野です。この分野は、従来の比較心理学、動物心理物理学、行動学を統合するような形で、また学習理論という下敷きもあって、1980年代から学問領域としてまとまってきました。

動物の心(認知メカニズム)は、ヒトのものとは異なり直接体験することはできません。心の状態や動きをうまく反映するような条件を設定し、条件ごとに動物の反応を数字(データ)として測ります。それを条件間で比較して、その結果から背後にある認知メカニズムを推測します。このように、うまく条件を設定して心を行動上にあぶりだしてやろうというのが、心理学です。

「比較認知科学とは、ヒトを含めた種々の動物の認知機能を分析し、比較することにより、認知機能の系統発生を明らかにしようとする行動科学である。いわば、「心」の進化を科学的に解明しようというのがその目的である」(藤田 1998 下記)。系統発生は、進化過程ということです。

心理学は、行動に着目するということでは、まさしく「文系からのアプローチ、研究」です。一方で心理学は、仮説を立て、量的なデータをとって、仮説を統計学的に検証するということでは、科学的な学問です。

◆ 具体的な内容
具体的な研究テーマとしては、知覚(視覚、聴覚、または両方の組みあわせ)、思考や推論、問題解決、概念形成や数の認識、学習、記憶、環境を利用する知性(道具使用)、コミュニケーション、人工言語の習得、同種個体の認知(個体間関係の認知を含む)社会的知性(他者の視線、意図の理解、協力行動、欺き行動)、環境エンリッチメントなど、さまざまです。

研究対象としては、霊長類、鳥類、齧歯類、イヌなどでした。心理実験は基本的に飼育下の動物でおこなわれるので、多様な動物を扱うわけにはいきませんが、それなりに広い範囲の動物を使用できました。このあたりは、各大学のウェブサイトを見れば、どんな動物で研究がおこなわれているか知ることができると思います。

この分野全体としては(文系も理系も込みの話ですが)、サル(ニホンザル、オマキザルなど)、類人猿(チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータン、テナガザル類)、ハト、齧歯類(ラット、モルモット)はもちろんのこと、家畜動物(イヌ、ウマ)、海獣類(イルカ、オットセイ)、ほかの齧歯類(デグー)、カラス類(カラス、カケスなど)、アホロートル(ウーパールーパーとして知られている)、頭足類(イカ)、節足動物(クモ、カマキリ)などでも研究がおこなわれています。

参考URLで読んでいる文献には、動物心理学にかかわるものがあります。

◆ 文系学部にあるメリット、デメリット
私の所属の大学についてしか知りませんが、動物の心理学を専門的にやりたいと考えて、理系から文系の大学院に進まれる方もいました。理学部等と文学部等とを比べると、文系の学部のほうが、心理統計法を含め、心理学(行動の統制)の方法をきっちり教えてもらえるということもあるようです。

ヒトの認知心理学(脳機能画像の研究もあります)や発達心理学などについては、文学部で学べました。とくに、ヒトの個体発生(発達)を知りうる点でも、物言わぬ対象を研究している点でも、発達心理学は動物心理学の隣接分野なので、貴重な機会でした。

逆にもう一方の隣接分野である生態学(さらには生物学全体)については、なかなか知識を得ることはできませんでした。動物心理学では、それぞれの動物の種に特有の生態的、環境的な背景(どういう環境に生息していて、何を食べて生きているのかなど)も予備知識として知っている必要があります。本格的に生物の本を調べるとなると、読み慣れないスタイルの文章に手を出すことになり、つい、なおざりにしてしまいがちです。

◆ 文献
No. 2で参照されている質問で私自身が回答していますが、それと重複するところもあります。

藤田和生 (1998). 比較認知科学への招待. 京都: ナカニシヤ出版.
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4888484376/
標準的な教科書です。著者は、京都大学霊長類研究所のアイ・プロジェクトに最初期からかかわったメンバーのひとりです。この本の表現が単調なのですが、教科書というだけあって、体系的で網羅的に書かれています。全体を見渡すのに、深さも広さもちょうどよいと思います。ていねいに書かれているので予備知識がなくてもだいじょうぶですが、写真もなしで動物名が出てくることも多いので、インターネットなど動物の写真を気軽に見られる手段があるとよいと思います。ただ、内容は少し古いかもしれません。

川合伸幸 (2006). 心の輪郭: 比較認知科学から見た知性の進化. 京都: 北大路書房.
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4762825085/
著者は学習理論の専門家です。学習の観点から比較認知科学を見ています。一般向けに書かれた本だけあって、巻末の用語解説、お勧め文献が充実しています。

藤田和生 (準備中??). 動物たちのゆたかなこころ. シリーズ「心の宇宙」. 学術選書. 京都: 京都大学学術出版会.
学術選書のチラシにはたしかに載っているのですが、まだ出版されていません。このシリーズの傾向から、著者の研究を中心に書かれるのだと思いますが、上の教科書と比べると、それよりは取っつきやすいし、何より最新の内容になっていると思います。

参考URL:http://blog.goo.ne.jp/shax2081/
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この回答へのお礼

心理学って文系と理系にまたがるかなり幅広い分野なんですね。データ集めや統計が大変そうですが、動物の社会的知性や環境エンリッチメントは私が特に深く知りたいと思っていたところなので、心理学を勉強したいという気持ちが強くなりました。あと、イカやカマキリも研究対象になるというのには驚きました。回答者の方々に教えていただいた文献を参考にしてもっと詳しくどんな研究が行われているかを知りたいと思います。ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/10 05:33

昔の学生です。


アンケートカテゴリーにこの質問は場違いな気がしますが,
知っている範囲で書きます。

#1さんがおっしゃるとおり,
心理学専攻,行動科学専攻などのコースの中に
動物心理学,比較心理学,比較認知科学といった看板を掲げ
ヒト以外の動物を対象とする行動研究を行なっている研究室があります。
もっとも,このような研究室があるのは一部の大学に限られますし,
扱われる動物の種類も限られていますが。

また「文系からのアプローチ」というのは誤解を招きやすい表現です。
日本の大学において心理学専攻や行動科学専攻のコースは
文学部,教育学部,人間科学部など文系科目で受験できる学部に置かれていることが多いのは事実ですが,
認知・行動研究の方法論は自然科学の研究と基本的に変わりありません。

参考になりそうな過去のQ&Aをご紹介しておきます。

チンパンジー
http://okwave.jp/kotaeru.php3?q=2257974
鳥類の生態、行動が学べる大学
http://okwave.jp/kotaeru.php3?q=2090467(とくに回答#5)

こんな本も参考にしてください。

●「私」はいつ生まれるか
 板倉昭二(著)
 ちくま新書  筑摩書房

●小鳥の歌からヒトの言葉へ
 岡ノ谷一夫(著)
 岩波科学ライブラリー92  岩波書店

●ハトがわかればヒトがみえる―比較認知科学への招待
 渡辺茂(著)
 認知科学モノグラフ7  共立出版
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この回答へのお礼

アンケートカテゴリーにこの質問をしたのは間違いだったと投稿した後、気付きました。
狭き門で、入試は文系といえども理数系の勉強からは逃れられないということですね。
とても参考になりました。ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/10 03:16

動物生態学、動物心理学などがそれに当てはまるのではないでしょうか?



動物心理学はいわゆる普通の心理学とも強く結びついています。
具体的な例としては、動物による愛着行動とヒトによる愛着行動の対比、
遺伝説・環境説に関する実験などが挙げられると思います。

性格は遺伝によるものなのか、環境によるものなのか、みたいなやつです。
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この回答へのお礼

動物心理学、おもしろそうな分野ですね。
動物心理学、生態学も進路の視野に入れたいと思います。回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/10 02:55

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