良い伏線、悪い伏線の作品例と伏線の定義について
単純に良い伏線とは「おおっ、そういう事だったのか」と感動させるような描写をしているものを指していると思うのですが、これをもうちょっと細かく言うと、物語における人物の行動の行動理由が描写されないまま物語が進行して行き、後程その理由が分かった時点で、今迄そのような思いで行動してきたのか、とストーリーの裏にある設定や登場人物の心理描写を読者自身が補完する事によって、物語の厚みが増すように感じられる作品中の箇所やその技法を指すものだと思っています。
そうした人間の心情が入っていない、意味深なアイテム+後々にタネ明かしされるがメインストーリーに絡まないものは伏線に含まれないのでは、と個人的に思っています(ただそうした描写に自分が楽しめていないだけなのだと思いますが)。
これについていくつか質問です。
全てではなく、いずれかの一つだけでも回答頂ければ幸いです。
1.良い伏線の作品、悪い伏線の作品があれば教えて下さい。
2.自分の拙い考えに任せて書いてしまいましたが、
伏線の定義が上記では不十分のような気がしてなりません。
これに付け加えたり、修正するとなれば何が良いでしょうか?
勿論、上記のものは個人的主観であるので一般的な解ではないと思いますし、良い伏線について(おおっそうなのか、と感じる感覚)には個人差があるので普遍的な解は得られないと思うのですが、宜しければ是非皆様のご意見を聞かせて下さい。
「おおっそうなのか」という感覚はどのような時に起こるのかを分析したいのです。
変な質問で大変恐縮ですが、宜しくお願い致します。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
相談者さんの理想は、浦沢直樹のMONSTERなどのスタイルですよね。
意味深な状況が複数発生して、メインストーリーに合流していく。伏線屋としてはうしおととら、からくりサーカスの藤田和日郎が最高だと思います。
ただし、相談者さんの定義だと外道に当たります。
主人公と別の目的で行動していて、ストーリー上ですれ違い、自分の目的を達成すると途中退場するため、多くの登場人物がメインストーリーから外れた外伝を持っているからです。
メインストーリーが膨らんでいくパターンは、序盤に求心力がないとダレて読者が離れてしまいます。また長期的な連載でキャラインフレを起こして置き去りになるキャラクターが出がち。ドラゴンボールのクリリンですね。
藤田和日郎は、輻輳するキャラで世界が拡大し、それぞれのキャラが違う目的を持ち、すれ違い去っていくので、パワーインフレが起こらず、再登場するときには違うスペックで登場するために、敵になったり味方になったりで、パワーの一極集中がなく、
またそれぞれのキャラクターが本編途中で自分だけの目的を達成して死亡していくので、常にクライマックスが用意されています。
この作風は独自のもので、藤田和日郎と師弟関係だった作家の一部しか描けないようです。金色のガッシュの雷句誠とか、日本沈没の一色登希彦など。
源流は、松本零士の世界を共有するキャラシステムだと思います。
私からすると浦沢直樹の作品は、5巻位まで登場人物が揃わないと目的がみえないので、読み始めるのに気合がいるので苦手です。小説家だと福井晴敏が同じタイプ。序章が長過ぎ。
逆に風呂敷ひろげっぱなしで、忘れた頃に回収するゆうきまさみのスタイルも嫌いではありません。
回答ありがとうございます。
うしとら、いいですね。獣の槍の彫ってある文字や初期の九尾の狐のシルエット、札幌時計台での「獣の臭いのする人間と人間の臭いのする獣」、お役目様(って何の役目なの?)などワクワク感が止まらないですよね。
伏線も全てが一つの目的に収斂して行き、とらや白面などのデザインも良く、迫力もある。バランスの取れた本当に良い作品だと思います。
今思ったのですが、物語の途中で「そう言う意味だったのか」と思わせる描写(明示的な伏線の回収:獣の槍の文字、初期の九尾の狐のシルエット)の他に、イチから読み直すと「そう言う意味だったのか」という感想をもたらすもの(暗黙的な伏線の回収:札幌時計台での「獣の臭いのする~」)、も定義に加えさせて下さい。
また、絵で提示する伏線と言葉で提示する伏線の両者の手法もあるかと。
逆に実はこうだったんだ的なもので「へーそうなんだ」で終わるのを、仮に「裏設定」とさせて下さい(パトレイバーでの後藤隊長は奥さんと死別、ヘルシングで少佐が人間という設定は本編に重大な結果をもたらさなかったような・・・など)。
他にも深読みの余地のあるもの(「私は真悟」の名前ではマリンと悟から一字ずつ取っているが、「真理を悟る」と読めなくも無くて読者間で盛り上がれる)、藤田作品に見られる後付け設定、衝撃的展開をしたがストーリー上ありえなくもない展開(エヴァ初号機によるゼルエル捕食)、明後日の方向に展開(HXHのゴン覚醒。マンガ一本で伝えたい大意を伝えるという手法では失敗しているのですが、HXHはもともとそうしたマンガではありませんし、展開が楽しめるのでこれはこれでいいと思ってます)、新設定とその解明(DBでのスーパーサイヤ人)、暗喩(「ぼくんち」で「おねえちゃんはタイムカプセルやから、いつか一太と二太で迎えに来てな」とお姉ちゃんは言うが、当のお姉ちゃんのタイムカプセルは見つからなかった。タイムカプセルは見つからないかもしれないけれども、昔愛していたものを将来探しにきて欲しい、という姉ちゃんの思い)というのが伏線と並んで「おおっ」とか「ええっ」と言わしめる手法なのかなと(ダメな例としてはデウス・エクス・マキナなど)。
更に伏線の手法として、一度複線は回収したが、そこに隠れたその奥にある意味を更にもう一度回収する、という手法もあって、これも事例に加えさせて下さい。
(風の谷のナウシカの「青き衣」、ヒストリエでのエウネメスの夢とカロン、鋼の錬金術師での賢者の石、寄生獣のタイトルの意味)
サブストーリーがメインに収斂して行く方法では、個人的には浦沢先生は逆にそうではない方に入るのかな、と言う感じですね・・・。
サブストーリー単体を個々に見ていけば良いのですが、それが独立しすぎていて収斂はしていないタイプのような。
逆にうしとらはサブストーリーに出てきたキャラが、最後に白面の者と戦うので伏線回収ではないですけれども収斂はしてますよね。
何を伏線や謎かけの題材にすれば良いかというと、主人公の出自(とらは白面の分身である、元は白面を狩る獣の槍の使い手)、行動理由などをメインに据えてアイテム(獣の槍)などで補完していくのが良い手法なのかもしれません。
DBは伏線勝負というよりも新設定と解明、より強大な敵とその克服による快感がありますね。
そもそも少年漫画であればスカッとするものであれば何でもいいのですが、伏線があるのであれば、これを読む読者としては「マンガで伝えたい一つの大意」を表現の節々より自分で解いていく作業が快感であり、「実はこうでした」的な後付けは秘密でも何でも無くて評価を下げてしまう。最終ゴール地点(そのマンガの抱える最大の秘密とその解決)が決まっていない作品はそうした快感が得られにくいという事情があるように思われます。
DB含め多くの少年漫画に振り返ると「より強大な敵」というものは、「実はもっと強い敵がいたんですよ」といったゴール地点の延長でもあって、広義の「後付け」とも言えなくもないと思います。
No.5
- 回答日時:
・ 最初から最後まで、ずっと読んでいましたが、
「キャンディ・キャンディ」の「ウィリアム大おじさま」
アルバートさんだと分かるまでには、結構時間がかかりました。
・ 原作者・漫画家のケンカはやめて、もう一度日に当てたい作品です。
この回答への補足
皆様回答頂きありがとうございました。
質問を締め切らせて頂きます。
できれば回答して下さった方々全員にポイントを差し上げたいのですが、そのような事もできないので、この形で締め切らせて頂く事にしました。ご了承頂きたく宜しくお願い致します。
No.4
- 回答日時:
作品としてはヴァンパイア十字界とゲットバッカーズとスパイラルぐらいかな
(2)ですが個人的にですが、簡単に答えがでない。
最初の方ででた問題の答えが不完全でこの不足部分が最終章で鍵だったりもしくは違う回答が示されたりするみたいな感じで二転三転するけど一話から見直したさいちゃんとすじがとってる。
駄目なのは二転三転してっても矛盾が大量にある物かな
回答ありがとうございます。
>ヴァンパイア十字界とゲットバッカーズとスパイラル
これらは読んだ事がありませんでした。
今度機会があれば読んで見ます。紹介して頂きありがとうございます。
>駄目なのは二転三転してっても矛盾が大量にある物かな
最近は無いですよね。あったらあったでそっちの方がエンターテイメントとして楽しめるかも。キン肉マンとか魁!男塾とか。
No.3
- 回答日時:
伏線で面白いパターンは、同じ話を異なる視野で描いたモノですね。
探偵側と犯人側の2つの小説を描いて、片方だけ読んだときに疑問に思ったところが、両方を併せると分かる、というタイプ。あとは、漫画ですが、風華がいる風景 のように、オムニバスである街の住人ひとりずつ主人公とし、生活している接点を作っていき、最後にまとめてしまうような作品。ただ、アイデアは秀逸なんですが、この作品も含めて、すごいというものにはまだ出会っていません。
なお、私は、ドルリー・レーンシリーズが、もっとも凄いと思っています。推理小説なので、詳細は書きません。
エラリー・クィーンこと、バーナビー・ロスが書いた、Xの悲劇、Yの悲劇、Zの悲劇と続いた作品の4作目で、最後の作品です。
内容もですが、著者も、この作品で、エラリー・クィーン本人であることを明かします。それまでは、悲劇シリーズはバーナビー・ロス、エラリー・クィーンは国名シリーズをヒットさせ、両者はライバルとして討論会を催したりしていました。
他には、ファウンデーション も伏線という意味だと面白いかも。大仕掛けで。
ちなみに、銀河ヒッチハイクガイド の伏線を全部拾えたら、SF通です。この作品、伏線を放り出すだけで、拾うのは読者の役割になっています。拾いきれない伏線は、わけの分からないストーリーになって返ってくるという内容です。
オムニバスを組み合わせて相互補完の全体像とするのはパルプ・フィクションの手法でしたっけ?
作品数が少ないのは労力に対して効果が薄いせいか割りに合わないせいからかと思ってしまいます。
元ネタ提示ナシのものもある種広義の伏線に入るのかもしれませんね。
No.2
- 回答日時:
伏線というのは「Aの結果Bが起きた」という因果関係のAもしくはBを意図的に伏せる技法です。
質問者さんが「良い伏線」の例として挙げているのはAを伏せる方法ですね。
Bを伏せる方法は、普通にやるだけでは単なる因果と同じ扱いになってしまうので(時系列で話が進むとすれば、全ての因果は時間差によってBが隠蔽されるのは当然)、工夫が必要です。
たとえば、夜に登場人物Xさんが窓の外に人影を見えたような気がして、一人で館から出て森の中に入り込むシーンがあって、次の日の朝、Yさんの視点から「Xさんがいない!」とか言って館を探すシーンを挟んだりすれば、まあ、ありきたりではありますが、そこそこXさんのその後が気になる(Bが気になる)サスペンスな雰囲気が出たりするわけです。
よい伏線というのは、隠していること自体が効果をもたらしているものではないかと思います。
つまり「実はこうなんだよ」というネタバラシの意外性や新奇さが重要なのではなく、因果の片方が見えない事そのものによってもたらされる、違和感や恐怖、誤解といった感情をどれだけ読者に与えられるかが重要なのです。それが大きいほど、伏線の解決時のギャップが大きくなる。
少し言い換えると、ネタバレしてても面白いのがよい伏線なんだ、とも言える。
たとえば、ある人物の行動理由が伏せられていたとしても、伏せられていることによって読者が何か感情を起こしていなければ、「実はこういう理由だったんだよ」とわかっても、何も感じませんよね。「なんてひどい奴なんだ!」などと思って(誤解して)くれてこそ、その伏線は役に立つのです。
具体例はパスします。連載漫画で優れた伏線を仕込むのは難しいでしょうね。計画通りに進まないのが連載というやつなので。だいたいは作者自身も予想しなかった衝撃の展開が待ち受けることになる(笑)
回答ありがとうございます。
良い設定とは、伏線回収前の謎に対するドキドキ感やミスリードが大切、という事なんですね。
>計画通りに進まないのが連載というやつなので。
できれば、のお願いなのですが、例えばどんな感じでぽしゃったとかなどご存知であれば教えて下さい。
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