■“別れさせ屋”は根絶できない?
相手の人間関係を工作する“別れさせ屋”は、対象者などの調査を行うため、登録上は「探偵業者」となっているという。そもそも“別れさせ屋”の業務自体は合法なのだろうか。
「探偵に関する唯一の法律は『探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)』というものです。ここには“別れさせ屋”の規制がありませんので、業務自体は違法ではありません。ただし、都道府県の公安委員会からは、『工作業務(別れさせ屋のような仕事)は後々事件などのトラブルに発展する恐れもあるため、行わないで欲しい』と指導がありました」(ラブ探偵事務所)
グレーゾーンの稼業といえそうだ。今回取材協力を頂いたラブ探偵事務所のように、通常の探偵業務を行う事業所にとって、同業ととらえられるのは快くない場合もあるかもしれない……。
そもそも、“別れさせ屋”は需要があるのだろうか。
「浮気調査と同様に一定のニーズがあるのは間違いないでしょう。しかしグレーゾーンとなる”別れさせ屋”を取り締まる法律が存在しないため、踏み込んで規制することができないのが現状です」(ラブ探偵事務所)
“別れさせ屋”が扱う事案は若い男女間の話だけではなく、依頼者は20代から90代まで幅広い年齢にわたるそうだ。中でも高齢者は、自分の子供とその交際相手を別れさせるために依頼をすることが多いという。
■いい加減な仕事をしても隠ぺいできてしまう?
“別れさせ屋”に依頼をすると、必ず結果を出してくれるのだろうか。その実態は不明な点も多く、依頼するような場合は注意が必要だという。
「浮気調査とは違い、"別れさせ屋"は人の気持ちを左右させる工作活動なので結果が伴わないことが多い傾向にあります。一番注意して欲しいのは、仕事を受けるだけ受けて放置している業者も少なからずあるという現実です。『こんな工作をしましたが結果が伴わなかったです』と報告すれば、何もしていなくても工作活動をしているように装うことができてしまうのです」(ラブ探偵事務所)
グレーな業務ゆえ、相手の弱みにつけこむ業者もいるようだ。
「『このような事例は他ではどこも受けてくれませんよ』などと言って、高額な契約をさせる業者もいますので注意が必要です」(ラブ探偵事務所)
悩んでいるときに巧みに口車にのせられ、誤った選択をしてしまわないよう気をつけたい。
■探偵事務所では請け負えない業務
「探偵事務所」という名目で“別れさせ屋”を請け負うグレーな事業者もある一方、合法できちんと業務を行う探偵事務所が受けられない仕事とはどのようなものなのか。
「探偵事務所や興信所も、一般の方々と同様に法律や規制を遵守しながら各種調査を行います。そんな中で、探偵が受けられない仕事を一部ご紹介します。
1)ストーカー行為と判断される調査
2)つきまといと判断される調査
3)DV(ドメスティックバイオレンス)に加担すると判断される調査
4)個人情報漏えいに関わるデータ調査
5)個人情報漏えいに関わる違法調査
6)差別などに関する調査
おおまかには以上の6つです。これらを相談前の参考にしていただけたらよいと思います」(ラブ探偵事務所)
このほかにも、盗聴、盗撮など犯罪に関わる行為は行えない。このような行為を行っている業者の場合、注意が必要だ。
「相手を振り向かせたい」「大切な家族を守りたい」などという純粋な気持ちから依頼する人もいる“別れさせ屋”。しかし、公安委員会の指導にあるように、人間関係の工作はトラブルに発展しかねない。叶わない想いや人間関係における心配ごとがある場合は、自分が大切に思う相手の幸せを第一に考え行動したい。
●専門家プロフィール:ラブ探偵事務所
浮気調査や素行調査で法的専門家からも定評がある創業23年のプロフェッショナルな探偵事務所。「出逢った人を笑顔にしたい」という思いで調査依頼を受けたクライアントのために日々鋭意調査を行う。インスタグラムなどの各SNSからも気軽に相談できる。
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