■花を咲かせるための栄養を蓄える茎
ブロッコリー生産や新種のブロッコリー開発を行う株式会社ナコスに茎の栄養価について聞いた。
「ブロッコリーの茎は細くて硬いため、欧米諸国では食べる対象ではありませんでした。しかし、花を咲かせるための栄養を蓄えているのが茎。むしろ茎に栄養が蓄えられているともいわれています。近年では、茎に特化した種類のブロッコリーも開発されています。弊社でも、キャベツと交配することで太く短く食べやすい茎のブロッコリーを生産しています」(株式会社ナコス)
同社では茎ブロッコリーという、花蕾が小さく茎が長い一般的なブロッコリーのイメージとは異なるタイプも生産している。それだけに「ブロッコリーの茎は捨てる部位」という思い込みはもったいないという。
■茎はブロッコリー嫌いの人にオススメ!
しかし、ブロッコリーの茎を活かしたレシピをあまり目にしないのが現状だ。そこで、今度はオイシックス・ラ・大地株式会社に茎の活かし方を聞いた。
「茎は生でも食べられますが、硬さや青臭さがある場合はさっと茹でましょう。ピクルスやぬか漬けなど、漬ける場合には生のままで構いません。サイコロ状にカットしサラダのアクセントにしたり、くたくたに茹でてポタージュにしたり、縦にカットしグリルしてもおいしいです」(オイシックス・ラ・大地株式会社)
リンゴ酢や砂糖、塩で作ったピクルス液に漬け込む「ブロッコリーのピクルス」など、ブロッコリーの茎ならではの、コリコリ食感を活かしたレシピもおすすめだとか。
さらに手軽な「ブロッコリーの茎とわかめのナムル」のレシピを教えてもらった。
「材料は、ブロッコリー1個分の茎、戻したわかめ約30g、白ごま少々。調味料としてごま油少々、塩、醤油を用意しましょう。茎の外側の硬いところをカットし薄切りにします(縦向き、横向きどちらでもお好みで)。茎を熱湯にくぐらせて水気を切り、わかめを戻して水を切っておきます。ボウルにブロッコリーの茎とわかめを入れ、全体に絡むようごま油を和えます。塩をふりかけ醤油をひとまわしし全体を混ぜ合わせ、白ごまをふりかければ完成です」(オイシックス・ラ・大地株式会社)
何かと敬遠されがちな茎だが、実は茎の方が花蕾よりも甘さがしっかりあり、青臭さも少ないそう。ブロッコリーが苦手な人にはむしろ茎の方が食べやすいかもしれない。そんな栄養価が高くクセの少ない茎を余すところなく使ったレシピに挑戦し、日々の食卓にもう一品添えてみてはいかがだろう。
●専門家プロフィール:株式会社ナコス
三重県津市に会社を構え、ブロッコリーの育種・採種・種子販売をメイン業務とする。数年前よりブロッコリーなど野菜の青果栽培も行う。「アレッタ」や「ブロッコリーケール」などの変わり種野菜の開発にも取り組む。
●専門家プロフィール:オイシックス・ラ・大地株式会社
「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の国内主要ブランドを通じ、安心・安全に配慮した農産物、ミールキットなどの定期宅配サービスを提供。また「サステナブルリテール」(持続可能型小売業)として、畑から食卓まで、サプライチェーン全体でのフードロスゼロを目指している。
画像提供:ピクスタ