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「結婚は人生の墓場だ」という言葉を耳にすることがある。もともとは、フランスの詩人であるボードレールが若者の性の乱れを戒めて言った「墓のある教会で身を清めてから愛する人と結婚しなさい」という主旨の言葉が、いつしか人々の間で曲解されていったという。だが、結婚が墓場だという言葉が今なお残っているのは、そのフレーズが人々の心に刺さり、ある部分では共感を呼ぶものだったからかもしれない。「教えて！goo」には、こんな質問が寄せられている。「結婚したら人生が終わってしまう気がする」。20代女性だという質問者は、「結婚したら人生が終わってしまうような気がしてとてつもなく不安です」と言う。
結婚することによって、自分自身の生き方に制限が生まれ、妻や母として生きていかなければならないことにプレッシャーを感じるとのこと。これに対し、ユーザーからさまざまな回答が集まった。どれも「結婚とは？人生とは？幸福とは？」といろいろなことを考えさせてくれるものばかり。いくつかの回答をピックアップしてみたい。
■人生の幸せをどこに見いだすか
まずおさえておきたいポイントは、質問者が決して既婚者の方々を否定しているのではなく、むしろ結婚後の人生の楽しみや幸せについて知るためにこの質問を投げかけているという点だ。
回答の中には手厳しく見えるものもあるが、若い質問者に対するアドバイスともとれる。例えば、以下のような回答である。
「多分今の考えでは結婚しても続かないと思います。（中略）結婚だけが幸せでは無いので遊び回るのも良い人生だと思います」（akamegane3さん）
なるほど確かに、結婚にプレッシャーを感じるなら結婚しない人生を選べばいいという気もする。独身でいることに対する偏見もかつての日本に比べればあまりなくなってきている時代だし、そもそも結婚というスタイルが性格に合わないという人もいるだろう。
一方、実際に結婚を経験した上での意見にはこのようなものがあった。
「実際結婚して出産して子育てしてきました。人生って一度きり。なんでも体験したもの勝ちだと思ってます。失敗、後悔を怖がったら自分の進む道が限られてしまうから勿体無い」（惟空さん）
たとえ結婚が失敗に終わることになるとしても、事前に怖がり過ぎて行動できないというのではむしろ自分の自由を制限してしまっているのではないか……と、そんな風に受け取れるコメントだ。
また、人生を大きく変化させるのは結婚ではなく出産ではないかという意見もある。
「子供を育てるとなると、経済的にも時間的にも制約がいっぱいできてしまう。多分そこに『母親としてのプレッシャー』を感じているのではないですか。（中略）今高3と中3ですが、一緒にピアノの練習したり、料理したり、走ったり、楽しいですよ。お金は厳しいですけどね笑」（田舎はどこださん）
出産直後の数年間は子どもから目が離せず、自由を感じるような時間が極端に減ってしまうこともあるだろう。しかし、そのような子育てからしか得られない大きな喜びも確実にあるはず。
考えを進めていくと、「結婚は墓場」、「独身は孤独」などと決めてしまわず、その時々に自分が楽しみを感じる進路を選ぶのが一番なのではないかと思えてくる。
40代独身だという方のこんな回答が心に残った。
「結婚しようがしまいが、日々いろんな選択をしながら自分の人生を作っていくことに変わりはないと思います。家庭を持って、子どもの成長を見守るのも素敵な事だと思います。とはいえ、質問者様が今から無理に結婚を目指す必要もないです。（中略）結婚は良い人が現れたらそのときに考えればいいと思いますよ」（poco_2さん）
独身でいるにせよ、結婚するにせよ、質問者さんが充実した日々を送れることを祈りたいと思う。
