「教えて!goo」に「結局、レジ袋の有料化はプラスチックゴミの削減に役立ってるんでしょうか?」という質問が寄せられているが、いよいよ2022年4月1日からプラスチック資源循環促進法施行ということで、今回はプラスチック資源循環促進法の制定の背景や、私達消費者と事業者にとってどんな変化が生じるのかを法律の専門家である井上義之弁護士(富士見坂法律事務所代表)に伺った。
■Reduce Reuse Recycle Renewable
まずはプラスチック資源循環促進法制定の背景を伺った。
「この法律は、海に流れ込んだプラスチックごみが分解されずに海中に蓄積されていることに国際的な関心が高まっていることや、諸外国の輸入規制に伴いプラスチックごみを資源として輸出することが困難になり日本国内で完結させる必要性が高まったことなどを背景に制定されました」(井上義之弁護士)
プラスチックが社会問題となっていたことは間違いないようだ。
「プラスチックによる環境負荷を軽減するため、設計・製造、販売・提供、排出・回収・リサイクルといった一連のサイクルの各段階で合理的な措置を講じよう、というのが法律の概要です。この法律では、事業者も消費者も、プラスチックに関して、ごみ削減(Reduce)、繰り返し利用(Reuse)、再利用(Recycle)、再生可能な資源への置き換え(Renewable)、という3R+Renewableを意識した取り組みをすることが期待されています」(井上義之弁護士)
■4月から始まったプラスチック資源循環促進法が事業者に与える変化
プラスチック資源循環促進法は事業者に何をもとめているのだろうか。
「設計・製造段階では国の環境配慮指針に沿ってプラスチックごみをできるだけ出さないようなモノづくりが求められます。販売・提供段階では特に使い捨てプラスチックに関する取り組みについて国が判断基準を定め、それに沿った対応が求められます。排出・回収・リサイクルの段階では排出抑制・再資源化により積極的に取り組むことが求められます」(井上義之弁護士)
事業者にどのような変化が起こるのだろうか。
「使い捨てプラスチックに関する取り組みや排出抑制・再資源化に関する取り組みが著しく不十分な一定の事業者に対して、主務大臣が勧告・公表・命令等を行うことができるようになりました」(井上義之弁護士)
ちなみに命令違反をすると、罰金50万円以下の可能性もあるというので注意が必要だ。
■4月から始まったプラスチック資源循環促進法が消費者に与える変化
プラスチック資源循環促進法は消費者に何を求めているのだろうか。
「プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制すること(なるべく長期間使う、過剰なプラスチック使用製品の使用を避ける等)、再生プラスチック使用製品を使用すること、プラスチック使用製品廃棄物を分別して排出することなどが求められます」(井上義之弁護士)
消費者にはどのような変化が訪れるだろうか。
「想定される変化としては、使い捨てプラスチック削減のための有料化のほか、容器包装以外のプラスチックごみを資源として回収する自治体の増加などが挙げられます」(井上義之弁護士)
これから訪れるかもしれない変化の中で、最大の気がかりはレジ袋のときと同様にプラスチック削減を目的とした有料化だろう。もしも有料化が始まれば反発は必至だろうが、代替となっているエコバッグが今や完全に市民権を得ていることや、環境保全の一助となるのであれば、悪いことばかりとは言えないだろう。
専門家プロフィール:弁護士 井上義之(第一東京弁護士会) 事務所HP ブログ
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記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
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