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日本国憲法第99条の条文の主語に「国民」が含まれてないことの意義について、「憲法」という言葉のさまざまな意味を踏まえて教えてください。

A 回答 (2件)

憲法第99条は、日本国が立憲主義に基づき運営されることを定める条文です。


国家権力は憲法の規定により制限されるという、国家の基盤的成り立ちを示してます。
よってこの条文の主語に「国民」を入れることは条文の趣旨に反します。

国民を制限するのは法律であり、憲法ではありません。法律は国家権力によって作られ執行されますが、その国家権力の権限を制限するのが、憲法の役割です。憲法のその機能を具体的文言として表したのが第99条です。
憲法理念上、主語に「国民」は含めません。

また、憲法改正は国民の意志により行われますが、憲法上で憲法尊重擁護義務を国民に科すことは自己矛盾になります。国民に対して「憲法を改正しようと思ってはならない」と憲法に記載された憲法は、憲法として成り立ちません。憲法改正権は主権者たる国民にあります。
ちなみにこの関係で、安倍晋三が総理大臣として憲法改正に躍起となってた現状は憲法99条違反の恐れを発生させます。

憲法の上に国民が立ち、その国民の上に法律が立ち、その法律の上に国家権力が立ち、その国家権力の上に憲法が立ってます。
国民に憲法尊重擁護義務を課すことは、この循環的仕組みを破壊します。あたかも憲法に国の最高の地位を与えてしまうことになります。
君主が国民に対し、「自分を尊重しろ、従え」と命令することが絶対君主制ですが、立憲主義の国で憲法が国民に対し「憲法を尊重擁護しろ」という義務を発することは、そもそも立憲主義を破壊します。それは民主主義でも国民主権でもありません。

国の権力者(だと自分で錯覚している者)は、自分の権力行使に制限をかける憲法を嫌います。機会をとらえて憲法の能力を低減させようと目論みます。
その典型的な例が平成24年に発表された自民党の改憲草案です。
そこには改正第102条において、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」とされました。自民党の憲法無効化宣言です。
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近代的意味の憲法、という言葉があります。


これは、憲法の存在意義は、国家権力の恣意を封じ
もって国民の自由、権利を護るのが憲法だ、とする
モノです。

これによれば、憲法は国家権力を規制する法規範ですから
99条に国民が含まれないのは、ある意味当然だ、という
ことになります。

しかし、近代的意味の憲法を採りならがも、99条に
国民が含まれないのは、国民が憲法を護るべきは
国民主権、民主制を採用している限り、
あまりにも当然だからだ、という説もあります。
当然すぎて、規定するまでもない、ということです。
これが通説です。

更に、価値相対主義を徹底し、国民には憲法を否定
する権利もある、だから99条では、あえて国民を
含めなかったのだ、という説もあります。
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