
No.2ベストアンサー
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いつしか秋になったので、世の中はいっそうしみじみとした哀趣をたたえ、荻の葉末を吹きわたる風の音も、遠い配所の人たちの気配のひそやかな物音になぞらえられるのだった。
播磨からも但馬からも、日ごとに使者参上している。北の方のご病状は一段と重くおなりになったので、もうほかのことは何もおっしゃらず、「帥殿にもう一度お目にかかって死にたい。帥殿にもう一度お目にかかって死にたい」ということを、寝ても覚めてもおっしゃるので、中宮もたいそうおいたわしいことと思し召し、またこのご兄弟の方々も、どうしたらよいのかと思案なさるけれども、お会わせ申すことはやはりまことに恐ろしいことでもある。北の力はひたすら泣き慕い申していらっしゃる。この御有様を見聞き申す人々は穏やかならず思い申しあげている。播磨では帥殿がこうした様子をお聞きになって、「いったいどうしたらよいものか。帰京して、もしそのことが知られたら、この自分はまったく破滅の身となって、もう都に還り住むこともならずじまいということになるのだろう」など、さまざまにお思い続けになり、ただあれこれと御涙ばかりが止めどなく流れることではある。「ままよ、この身がいまさらどうなるというのか。ただいまの情けなさにまさりようもあるまい」というお気持ちになられて、「親の臨終でいらっしゃるのをお看取り申したからといって朝廷もいっそう重い罪に落とし、神仏もお憎みになるのだったら、それも宿命なのだとあきらめよう」と決心なさって、夜を日に継いで都へお上りになる。お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
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