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F.スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」について。
よく、ジャズ・エイジというとフィッツジェラルドや
この小説の名前が挙がりますが、
小説そのものはどいういう風にジャズ・エイジを象徴していると思いますか。
具体的にどの場面がジャズ・エイジらしいのでしょうか。
小説だけを読んでもよくわからなかったので、
どなたか教えてください。

A 回答 (2件)

おそらくこれは課題だと思うので、参考文献の提示に留め、直接の回答はしません(※そういう意味でなく、純粋に、『グレート・ギャツビー』を深く理解したい、という趣旨の質問であれば、補足してください。

そうした性格の回答をします)。

まず、〈ジャズ・エイジ〉とはなにか、を見ていかなくてはなりません。

スコット・フィッツジェラルドが1920年代という時代を「ジャズ・エイジ」と名づけたことはよく知られていますが(これに関しては、ロジェ・グルニエ『フィッツジェラルドの午前三時』白水社刊 に詳しい)、この1920年代という時代は、非常に特殊な時代だった。

その「時代の気分」を掬い取り、ひとつの言葉に結晶化させたのが、〈ジャズ・エイジ〉なのです。
つまり、この「ジャズ」というのは、直接に音楽の一ジャンルを指しているわけではなく、あるいはまたギャツビーが開いているようなパーティを直接に指しているわけではない。修辞法でいう提喩であることを理解してください。

フィッツジェラルドは別名「1920年代の桂冠詩人」とも言われますが、つまり、詩人が一枚のバラの花びらに、過ぎ去った恋愛のすべてを象徴させたように、フィッツジェラルドは、ほかのどの時代ともちがう、1920年の禁酒法の制定から、1929年のウォール街の崩壊までの十年間を、そのことばで象徴させたわけです。

ヘミングウェイやフィッツジェラルドの作品を通じて1920年代をとらえた本に、Malcolm Cowleyによる"A Second Flowering: Works and Days of the Lost Generation"という本があります。あるいはこの作品の前編にあたる"Exile's Return: A Literary Odyssey of the 1920s"は、1920年代をさまざまな角度から見ていったものです。

どちらも〈ジャズ・エイジ〉を理解するためには必読の本なのですが、邦訳はされていません。

要点だけ簡単に述べるとこの二十年代というのは

・宗教的には、教会が支配力を失って、ピューリタニズムが攻撃された時代

・民族的には、イギリス系ではない移民、遅れてやってきたドイツ系、アイルランド系、イタリア系移民が、それぞれアメリカに根をおろし、二代目が生まれ始めた時代(『ギャツビー』のなかでも、ブキャナン、キャラウェイを始め、主人公のギャツビーを除いたほぼ全員が、アイルランド系の名前です)

・社会的には、アメリカの都市化が進んだ時代(西部や南部からやってきた人々がニューヨークに集まり、そこが文化の中心になっていった)

・経済的には、大量生産が主流となり、「消費は美徳」といった考え方が支配的になった時代

・禁酒法の時代(禁酒法の制定によって、逆に酒を飲むことは「反逆」であり「遊び」になった)

マルカム・カウリーの本をわかりやすく紹介したものに常盤新平の『はじまりはジャズ・エイジ』(講談社文庫)という本があります。これも現在は入手困難ですが、図書館などを探したら、おそらく見つかるのではないかと思います。

このように、〈ジャズ・エイジ〉が指すところを理解していれば、『グレート・ギャツビー』のなかに〈ジャズ・エイジ〉が描かれている部分はおのずとわかってくるのではないでしょうか。
さらにいうと、ジェイ・ギャツビーは〈ジャズ・エイジ〉を体現する人物なのか、それともそうでないのか、あるいは語り手のニック・キャラウェイはどうなのか、そういうところまで考えは進んでいくと思います。
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この回答へのお礼

回答とても参考になりました。
「ジャズエイジって言われている割に、小説の中にジャズあんまり出てこないよな・・・」と思っていたのですが、
やはりジャズエイジとは、ジャズ音楽そのものではなくもっと1920'sを総称した言い方なのですね。
挙げていただいた本も見つかればじっくりと読んで、
この本をもっと知りたいと思います。
どうもありがとうございました。

お礼日時:2005/06/26 13:32

やはり、ギャツビーが連日豪華なパーティを開いているというところがジャズ・エイジらしいのではないでしょうか。

ジャズ・エイジというとお酒と音楽とダンスに熱狂する若者たちというイメージがありますから、ギャツビーの豪華な生活ぶりはそれにぴったりなものでしょう。しかも派手なのに心が満たされていないというところがポイントです。

 お読みになっているのがこの版かどうかはわかりませんが、例えば野崎孝訳、新潮文庫版210ページの

 「というのは、デイズィは若かったし、彼女の住む人口の世界はやはりランの花の世界、楽しく陽気な洗練された技巧などが常道であり、オーケストラが人生の悲哀と夢を新しい調べに乗せてその年のリズムを奏でるでかいだったからだ。夜どおし、サキソフォーンが『ビール・ストリート・ブルース』の虚無的な厭世観をすすり泣くと、それに乗って百組もの金色や銀色の舞踏靴が床に撒かれたきらめく粉をかき乱した。そして夜が白みかけるお茶の時間には、どこかの家の部屋がきまってこのなまぬるい甘美な情熱に絶えざる鼓動を打ち続けるかと思うと、若々しい顔が淋しいサックスに吹かれて床に舞うバラのようにあちらこちらをただよった。」

 というところなどは、音楽も出てきますし、華やかさとけだるさというジャズ・エイジのイメージにぴったりの場面だと思います。

 フィッツジェラルド自身はジャズはほとんど聴かない人だったようですが、妻ゼルダと連日パーティ漬けになって、流行の先端のような派手な暮らしをしていました。しかしこうした生活には不安や悲哀もつきもので、そうした面を一番うまく描き出したのがフィッツジェラルドだったと言えると思います。

 なお、ジャズ・エイジはローリング・トゥエンティースとも言われていますし、フィッツジェラルドは「失われた世代」の一員でもあります。『グレート・ギャツビー』はロバート・レッドフォード主演で映画にもなっていますし、他のジャズ・エイジの代表的作家であるドロシー・パーカーを主人公にした『ミセス・パーカー ジャズ・エイジの華』という映画もあります。こういった映画を見るとちょっとはジャズ・エイジの雰囲気をつかめるんじゃないかと思います。

参考URL:http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/artscape/artword …
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この回答へのお礼

丁寧な回答どうもありがとうございました。
とても参考になりました。
もう一度読み直してみようと思います。

お礼日時:2005/06/26 13:23

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