No.4ベストアンサー
- 回答日時:
「蝉しぐれ」は彼の小説のなかでも最上級品なので、これに質感の似たものというのはあまり多くないんです。
ほかのはやはり多少肌理があらいところがあります。小説の質感、情感、丁寧な抒情を求めるなら「海鳴り」(文春文庫)が比較的「蝉しぐれ」に近いと思います。おそらく藤沢唯一の恋愛小説です。また、まったく内容は違いますが「本所しぐれ町」(新潮文庫)という市井ものも、しっとりとおちついた良作です。
お家騒動と若者の成長という話の筋で似ているのは「風の果て」(文春文庫)で、これは中年以降も描かれているところが特徴。ただし色恋は抜きです。
剣術と恋、という要素でゆくと、少々毛並みは違いますがこれを色濃く打出している作品のひとつに「闇の傀儡師」(文春文庫)というのがあります。おそらく全藤沢作品のなかで主人公がいちばんつよい小説ではないかと。
「三屋清左衛門残日録」(文春文庫)は相当地味ですが、これはこれで淡々とした日常の描きかたがいい作品で、「蝉しぐれ」とはまったく逆の魅力があります。
ドストエフスキーは若い女の人に「ディケンズは何と何をお読みになりましたか? 二作だけ? すばらしい。あなたにはまだそれだけ人生の楽しみが残っている」といったそうですが、ゆきつくところまでゆきつくと、藤沢周平は「たったこれだけしか小説書いてないのか……」と思える作家です。
kankasouroさん、はじめまして。
「蝉しぐれ」に感動した藤沢作品初心者ですので、やはりそれに近い作風は是非読みたいと思っていました。
頂いたご回答は、大変参考になりました!作品の内容も丁寧に紹介して頂き嬉しかったです。
少しずつ時間をかけて藤沢作品に触れていきたいと思います。
ご回答をどうもありがとうございました。
No.6
- 回答日時:
これだけは是非!という3点に絞ってお勧めします。
1、「用心棒日月抄」
機会があれば勧めています。
いわゆるお家騒動に巻き込まれて脱藩した侍が、江戸で様々な「アルバイト」をしながら、
国許から次々送り出される追っ手と死闘を繰り広げる。
ひとつづつの「アルバイト」が、忠臣蔵の裏事情と絡み合いながら展開する。
「アルバイト」の中身自体も面白く、刃鳴りが聞こえるかのような剣戟シーンは絶品。
(お気に召したら、「孤剣」「刺客」「凶刃」と、シリーズ第4作まである)
2、「暗殺の年輪」
藩の重臣暗殺を依頼され、権力争いに翻弄される若き武士。
18年前の父の死に、何が隠されていたのか?
1973年上半期直木賞受賞作。
3、「秘太刀馬の骨」
疾駆する馬を骨ごと断ち切るという「馬の骨」。
こう命名され、本人以外には封印されつつ代々継承されてきた秘太刀の真の遣い手は誰か?
現実感迫る推理が、息もつかせぬ展開に拍車をかける・・・。
少し宣伝調になってしまいましたね。
「蝉しぐれ」は名作ですね。
この3作は、ともかく「面白い」そして「圧巻」。
hakobuluさん、はじめまして。
作品のご紹介と解説をどうもありがとうございました。
3作品是非読んでみたいと思っています。先日、このなかにもありました、「用心棒日月抄」シリーズを書店で探したのですがあいにくなく、今は短編集の「花のあと」を読んでいます。
ご回答どうもありがとうございました!
No.5
- 回答日時:
既に沢山の回答がありますが藤沢周平の作品で出てないものに
「玄馬」、「蕎麦屋町昼下がり」、「雲奔る」、
「春秋の檻」、「風雪の檻」、「愛憎の檻」、「人間の檻」
「橋ものがたり」、「春秋山伏記」、「義民が駈ける」
「秘太刀馬の骨」
などがあります。
ss79さんはじめまして。
ご紹介ありがとうございます。ひとつひとつ作品の内容を調べてみようと思います。
「橋ものがたり」も面白そうですね。
No.3
- 回答日時:
No.2さんが出されていますが、私も用心棒日月抄4部作が好きですね。
藤沢作品の初期のものは暗くて、読むと落ち込んでしまうものもありますが、この辺からだんだんユーモアが加わっています。
わけあって脱藩した主人公が、用心棒のアルバイトをしながら、いつもおなかをすかせているのが、強くて美男なのにちょっと哀れです。
彼を命がけで助ける女忍者の佐知が、ストイックに情熱を秘めて、何とも素敵な女です。故郷で留守を守る妻の由亀も可憐です。
現代女性にこんなものを求められたらしんどいけど、彼の描く女性はいいですね。
これまでの回答者さんお勧めのものは、皆安心して読めますが、あとは「花のあと」とか、ちょっと暗いけど「隠し剣」シリーズなど
pastoraleさん、はじめまして。
「用心棒日月抄」面白そうですね。あらすじも教えて頂けたので嬉しいです!他にご紹介頂いた作品もチェックしたいと思います。
ご回答をどうもありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
私も「たそがれ清兵衛」「蝉しぐれ」で藤沢さんのファンになりました。
女性の藤沢ファンが増えるのは嬉しいです。私は文庫本のカバーに載っている藤沢作品を片っ端から読みましたが、とにかく作品が多いので前に買った本をまた買ってしまい、書店で交換してもらったこともあります(笑)。
全作品がオススメですが、とりあえず◆獄医立花登手控えシリーズ◆よろずや平四郎活人剣(上)(下)◆彫師伊之助捕物覚えシリーズ◆用心棒日月抄シリーズあたりはいかがでしょうか。
藤沢作品は「たそがれ」「隠し剣」と映画化され、今年は「蝉しぐれ」も公開されます。こちらも楽しみにしているんですよ。
reikomamaさん、はじめまして。
「たそがれ・・・」は、TVの映画で観ました。今思うと原作から読みたかったなと思います(登場人物の顔が俳優の顔で浮かんでしまうので)
「蝉しぐれ」も、文庫本の帯に印刷された俳優がどうしても浮かんできてしまいました。
秋公開のようですので、観てみようかと思っています。
はたして、文四郎=市川染五郎、ふく=木村佳乃が原作のイメージとあうか??楽しみです。
ご紹介頂いた作品、参考にさせて頂きます。
ご回答をどうもありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
三屋清左衛門残日録はどうでしょう。
NHKで同じくドラマ化されましたが実に味わい深い話です。
参考URL:http://www.e-yamagata.com/unasaka/sekai/10/10.htm
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