
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
イランとアメリカの対立は、パーレビ王制の崩壊に起因します。
アメリカは、当初イランのパーレビ王権を支援し、多額の軍事援助などを与え、石油の産地であるペルシャ湾沿岸の警備をまかせる一方、イラン国内に数多くの石油利権を得ていました。
パーレビ時代に、イラン国内での貧富の差の拡大が進行し、貧しい人達の不満が高まります。
1978年イランに暴動が起こります。
その暴動の中心にむなったのが、イスラム宗教勢力でした。(イラン・イスラム革命)
後にホメイニがこの勢力を掌握し、イランはイスラム神聖国家となります。
この時イラン国民の反感は、パーレビ王制を支えたアメリカに向けられ、イラン国内のアメリカ利権は取り上げられ、イランのアメリカ大使館占拠事件などが起こり、アメリカの権威は失墜します。
これ以降、アメリカとイランは対立するようになります。
イランの革命騒ぎに乗じて、1980年イランとの国境問題を抱えるイラクが、イランに攻め込みます。(イラン・イラク戦争)
この時のイラクの大統領が、フセイン元大統領で、アメリカは、イラクを支援し、イラン人の反感をより買う事になります。
戦争は決着がつかないまま終戦(1988年)となりますが、戦後イラクの経済は、壊滅的打撃を被ります。
そのため、フセインは、以前から国境問題の有った豊かな国クエートに攻め込み、占領します。(1990年)
クエートは、アメリカと親密な関係にあり、アメリカが無数の利権を持っていたため、即座にアメリカの反撃を受けます。(湾岸戦争)
この時のアメリカ大統領が、現在のブッシュ大統領の父親のブッシュ大統領です。
湾岸戦争では、イラク軍をクエートから追い出す事で終結しますが、この事は、イラク側にアメリカへの不満を募らせる一方、徹底的にイラクを攻撃し、イラク内にアメリカの利権を確立できなかったアメリカサイドにも不満を募らせます。
この事が、今回のイラク戦争へとつながります。
すばらしい回答ありがとうございました。
私のような政治オンチにもすごくよくわかりました。
なんて、知識が多いのでしょう。
感謝、感謝です。
No.5
- 回答日時:
#4ですが、米国側の考えという話があったので蛇足を・・。
元々米国は英国ほど統治と言う事に長けていなく、中米・中国・ベトナムと「支持した側の敗北」と言う失敗を続けています。
どうも「我々は正しいのだから、支持を受ける筈」といった独善的思い込みが直らない様で、今回のイラク戦でもそういった面が現れています。
また、米国内では大統領に影響力を様々な勢力があり、「とにかく戦争が起きれば良い」と言った、軍需産業を中核とした一団があります。
彼らにとっては戦争が起きればとにかく利益が得られ、過去の日本の様に自国が破滅しない限りは、例え後で外地から撤退する事になっても損害は発生しません。
ライスさんが本当はどういった考え方をしているか判りませんし、過去のマクナマラ氏の様に「実は反対だった」と言うかも知れません。
要はブッシュ氏が・・・。
No.4
- 回答日時:
歴史的流れは既に詳しく書かれていますので、宗教的側面を多少補充します。
イランはイスラム教シーア派の原理主義によって国が運営されています。
イスラム教は大きく分けてスンニー派とシーア派に分かれており、一般論で言えばスンニー派は旧支配者層に多く、抑圧されていた側がシーア派となります。その構図はキリスト教における、カトリックとプロテスタントに近いと言えるでしょう。
イランの旧パーレビ王室はスンニー派で、一時成立した反英米独立主義政権をCIAが転覆させて造られた政権でした。
そのパーレビ政権が革命により、再び中東で最大人口を抱えるシーア派原理主義の反米政権になった事は、米国だけでなく周辺のスンニー派政権であるサウジ王朝やイラクにとっても脅威と受け取られていました。
そういった中でイラクのイラン侵攻が始まり、米国は厚い支持・援助をフセインに与えましたが、地力と士気の差でイラクは得るものもなく終戦となりました。
イラクは中東2位の人口の国で在った訳ですが、米国はそのフセイン政権を自ら滅ぼし、民主主義を標榜する為スンニー派からシーア派に政権を移動せざるを得ないと言う嵌めに陥りました。
イラン・イラクが共にシーア派政権になり、もし協調する様な事になれば、何より大事な筈の産油国における軍事バランスは一気にイラク側に傾いてしまいます。
ですから米国は「引くに、引けず」何とかイランの影響力を削ぐ形を模索し、様々な対イラン戦略を仕掛けている訳です。
こちらの回答もすばらしい。
知性の高さを感じました。
ありがとうございます。
とてもよくわかりました。
ライス国務長官の考えがわかりません。
「米国はそのフセイン政権を自ら滅ぼし、民主主義を標榜する為スンニー派からシーア派に政権を移動せざるを得ないと言う嵌めに陥りました」と書いておられるように、アメリカの行動がちょっとわからないのです。ただ単に、失敗した、にっちもさっちもいかなくなった、と考えればいいのでしょうか。
No.3
- 回答日時:
今、何故と言う点からいえば、今のイランの政府が「イスラム原理主義」を基に動いているからです。
経済的利益や政治力の拡大などを目的として、国政の運営が行なわれている場合には、第三国からでも利益供与や軍事援助など、お互いに交渉の手段や譲歩の余地が色々あり、落としどころも作ることが出来ます。
しかし、宗教的信念で動いている場合、第三者の立場で、しかもイスラムと対立するキリスト教徒の多い国の政府であるアメリカが、イラン政府に関与することはほとんど出来ません。
そのイランが核兵器を持った場合、イランの国政・原子力開発を担当する人々の対米感情が良くないため、(その理由はNo2のかたの説明で明らかです。)イスラム原理主意を信奉するテロリストに核兵器が流れる可能性がないとはいえないと、アメリカ国民は思っているのです。
No.1
- 回答日時:
パーレビ国王の頃はイランは西洋化されて友好的だったのですが、イラン革命でアメリカ大使館を長期間占拠され、それ以降イランと西側諸国は非常に仲は悪いですよ。
イランイラク戦争では、アメリカはイラクのフセインを応援しました。
その後大きなトラブルはありませんでしたが、今のイランの大統領はちょっと過激なのです。
イラクの(事実上の)内戦にも係わっているでしょう。
イラン国内では、狂信的な原理主義を支持する人はそれほど多くありません。しかし、表だって穏健なことを言うと、やばいという雰囲気はあります。戦前の日本のようか感じですね。
対米姿勢を強めることで、過激な勢力を煽り、政権を維持しようとしているのでしょう。
普通なら、イランのまともな連中が政権を取れるような工作をするところですが、ブッシュの支持率がどんどん下がっていますので、あのアメリカ人達の大好きな武力行使を行う可能性はあると思います。
日本は板挟みですね。イランはおしんが大好きな親日国家ですし、西側で唯一と言っていいパイプを持っていますので、アメリカと足並みを揃えるデメリットはアフガンやイラクとは次元が違います。
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