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録画分がまだ残っていましたので…
立ち入り禁止区域まる秘潜入SPECIAL
フランスTF1 NEVER SEEN BEFORE(知られざる世界) より
スイス西部の田舎町ヌーシャテル。今、重いゲートが開き一台のトラックが到着。
その荷台を覗いてみると…なにやら鉄くずのようなものが山のように積まれている。
ドライバー・ジョルジュ・エヌー「実はこの鉄くずを使って、ある貴重なものを作り出すんです」
一体何を作るのか?…ここから先は秘密の立ち入り禁止区域。
重そうな鉄の扉の先には何があるのか…今回は特別にカメラが潜入。
早速中に入ると、眩いばかりの光を放つ金塊の山々がズラリ。
そう、ここは鉄くずなどの廃棄物から金を取り出し加工する民間の工場なのだ。
金加工工場長 フィリップ・セトゥー
「廃棄物の中には、携帯電話やパソコンなどの電子機器類がありますが、その内部の接続部分には金がよく使われています。その金を取り出すんです。しかし、1kgの金を取り出すには500kgもの電子機器類が必要となるんです」
では、通常企業秘密である金の加工工程をご覧頂こう。
まずは、廃棄物から純金だけを取り出すため、高温で溶かしながら精製。
集まった金を一旦粒状にする。
そして、これを特殊な機械にかけ引き伸ばしながら加工すれば見事な金塊が出来上がるのだ。
この工場で作られる金の生産量は年間1000t。その額はおよそ2兆円を超えるという。
フィリップ「まさにゴミは宝の山なんです。そのため私たちはわずかな金も決して無駄にはしません」
そう、この工場内では1時間おきに床を徹底的に掃除。埃に紛れたわずかな金も見逃さない。また、手に付着した細かい金も配水管にある特殊フィルターでキャッチ。さらに、作業着に付いた金も丁寧に回収。これらを再び加工しさらなる美しい金を生み出しているのである。
**************************************************************
アメリカ:INTERPOL INVESTIGATES(インターポール調査報告書) より
エジプトの広大な砂漠に点在する古代遺跡。ここには、歴史的に価値の高い遺物が数多く眠っている。
そのため、今も昔もそれを狙った墓荒らしが後を絶たない。そんな歴史の中で、1991年前代未聞の知能犯が現れた。
それがこの男、ジョナサン・トクリーパリーだ。
なんとジョナサンは巧妙極まる手口でエジプトの遺物を国外に持ち出し、それを売りさばいて巨万の富を手にしていたのだ。
今夜は法の網を巧みにすり抜けた完全犯罪の驚くべき手口と事件の意外な結末をアメリカの番組からご覧頂こう。
『エジプトの歴史を盗んだ男』
イギリス人ジョナサン・トクリーパリー。かつて彼は名門ケンブリッジ大学を卒業。古美術の修復に関する技術を学んだのち、エジプトで遺物の修復に携わっていた。
ところが、1991年湾岸戦争が勃発。エジプトも戦渦に巻き込まれるという噂が流れた。この時彼に人生の転機が訪れたのだ。
ある晩、開戦の一報を聞いた二人の男が、国外へ脱出する金がほしいので隠し持っている財宝を買ってもらいたいとジョナサンに頼んできた。
それはなんと、古代エジプト第18王朝の王アメンホテップ3世をかたどった石像の頭部。見れば紛れもない本物であり、その価値は計り知れない。だがジョナサンはそれを6000ドルおよそ70万円で買い叩いた。
実はこれをエジプト国外へ持ち出し、さらに高く売り飛ばそうと企んでいたのだ。
しかし、遺物を国外へ持ち出すことは法律で固く禁じられている。そこでジョナサンは得意の修復技術を駆使して、ある驚くべき計画を考えた。
なんと、本物の石像に細工を施し、安物の土産物に見せかけるのだ。
その方法とは、まず石像が砕けないよう表面に特殊な樹脂を塗る。次にその上から金色の薄い箔を貼り付けていくのだ。
そして最後に、目や眉を描けば大量に出回っている安っぽい土産物が完成。
ジョナサンはこれを持って、空港の出国検査に望んだ。だがここで問題が…
検査員が本当に土産物であるかどうか、チェックしようと細工した表面をなんとキーで削ろうとしたのだ。
削られれば中に隠した石像がバレてしまう。…するとジョナサンは、「削るなら目立たない首のところにしてくれ」と頼んだ。一体どういうことなのか?
実は、ジョナサンはこうした事態を予測し、あらかじめ石像の首の部分に石膏を厚く盛っておいたのだ。これなら中の石が見えることはない。
こうして、まんまと検査員を騙したジョナサンは飛行機に乗りイギリスに帰国。
そして、自宅に戻るとすぐに石像を表面の箔を溶かす薬品に浸してきれいに復元していった。後は買い手を探すだけ。だが、大きな問題が…
それは、エジプトの法律。
エジプト警察 アジズ・マクラード司令官「遺物が法律で管理されるようになったのは1983年。それ以降、無許可で発掘された遺物はすべて盗品とみなして政府が強制的に没収しているんです」
そこでジョナサンは、没収されずに売ることのできるある方法を思いついた。
石像を1920年代の古いコレクションに見せかけることにしたのだ。
まずは、もっともらしいコレクションラベルを作ると、それを古く見せるため紅茶で汚す。そしてオーブンで乾燥させてから、ラベルを石像に貼り付け、次に1920年代に使われていた補修剤で石像を修復し、当時の発掘品に見えるよう仕上げたのだ。
さらにジョナサンは、石像の価値をもっと吊り上げようと、今度は知人の古美術商の男性に頼んで、著名な考古学者に鑑定を依頼。もちろん石像は本物、偽装は完璧。こうして、考古学者を騙して、お墨付きの鑑定書までもせしめたのだ。
そして、この鑑定書を使い美術展にも堂々と出品。これが南アフリカの大富豪の目に留まり、なんと120万ドルおよそ1億3000万円もの高値で売却されたのである。
まさに法の網を巧みにかいくぐった完全犯罪。この成功に味を占めたジョナサンは、その後仲間を増やして遺物の密輸を繰り返し、わずか数年でブラックマーケットを仕切る人物にまでのし上がっていった。
だがそこで、ジョナサンの運命を大きく変えるある出来事が起こったのだ。
1994年5月。ロンドンの大英博物館にひとりの男が古い美術品を持ってたずねてきた。
考古学者ジェイムズ・スペンサー「持ち込まれたのは、古代エジプトの巻物の一部でした。価値を知りたいというので預かって調べてみると、それはエジプトのサッカラにある遺跡で保管されているはずの巻物に非常に似ていたんです」
不審に思ったジェイムズ博士は、このことをすぐに警察に通報。事件を担当したのは、美術品のブラックマーケットを専門に取り締まるリチャード・エラス捜査官。
博物館に残された預り証から男はロンドン郊外に住むアンドリュー・メイと判明。
エラス捜査官「すぐにジェイムズ博士を連れて男の自宅を捜査しました。部屋を調べてみると、古代エジプトの遺物らしきレリーフが見つかったんです。そこで博士に鑑定をしてもらった結果、大変なことが判ったんです」
なんと、それもまたサッカラの遺跡で管理されているはずの遺物だったのだ。そして、さらに押収物の中からある決定的な写真が出てきた。
そこにはサッカラの遺跡でレリーフを盗み出している男の姿が…。その人物こそ、密輸組織のボス、あのジョナサン・トクリーパリーだったのだ。
そこでエラス捜査官はインターポールの協力でエジプトのサッカラにある遺跡の調査を行った。入り口には鍵かかかっており、人が入った形跡はない。だが中に入ると、あるはずの遺物は全て無くなっており、略奪された後だったのだ。
エラス捜査官「その後の調べで、大英博物館に現れた男はジョナサンに雇われた盗品の運び屋と判りました。やつは組織から密かに盗品の一部を盗み、価値を探って横流ししようとしていたのです」
このお粗末な仲間の裏切り行為がきっかけで、密輸を繰り返し遺物を売りさばいていたジョナサン・トクリーパリーはついに逮捕。
裁判の結果、遺物の略奪および密輸の罪で6年の禁固刑が確定したのだ。
エラス捜査官「今回の逮捕でロンドンのブラックマーケットが一掃でき、さらにその驚くべき実態が明らかとなったのです」
共犯者はエジプト国内にも多数おり、その中にはなんと遺跡の警備員や警察官までもが含まれていたという。
そう、ジョナサンは遺跡を管理する役人たちまで金で買収し密輸に協力させていたのである。
エラス捜査官「この事件はエジプトでも大問題になりました。その為奴はイギリスで刑期を終えた後も、二度とエジプトには行けないでしょう」
実はイギリスとは別に、エジプトの裁判所はジョナサンに対し、15年の重労働の刑を下したのだ。もしジョナサンがエジプトに入国すれば、犯罪者としてたちまち拘束されてしまうのである。
その後、奪われた異物のほとんどが無事回収された。そして、カイロ美術館で『盗まれた芸術の帰還』と題して公開され、多くの考古学ファンたちを魅了したのである。
番組内のナレーションを文字おこししてみました。読みづらくて申し訳ありません。
誤字脱字はご容赦ください。
ありがとうございました。
どうしても気になっていて、もうそろそろ諦めかけていたのでとても助かりました!
>この工場で作られる金の生産量は年間1000t。その額はおよそ2兆円を超えるという。
す、すごいですね・・
あるところに着眼して大成功を収める人は、いるんですねー!
夢のような話、まさに「宝の山」なんですね・・。
>『エジプトの歴史を盗んだ男』
こちらも夢がある話ではありますね!
>このお粗末な仲間の裏切り行為がきっかけで、密輸を繰り返し遺物を売りさばいていたジョナサン・トクリーパリーはついに逮捕。
裁判の結果、遺物の略奪および密輸の罪で6年の禁固刑が確定したのだ。
結末は逮捕されたというのは、意外な事実でした。
>そして、カイロ美術館で『盗まれた芸術の帰還』と題して公開され、多くの考古学ファンたちを魅了したのである。
結果論的な発想ですが、無事に戻ったことによってより価値が見出された気がしますね!
>~なんと120万ドルおよそ1億3000万円もの高値で売却されたのである。
それにしても、現実離れした額ですよね・・。
最後に完璧なご解説、感謝致します!
大変参考になりました。
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