ある既成のソフトウェア製品(SW製品)をある米国ベンダから輸入し、
それを日本国内に販売するビジネスを予定しており、現在、当該ベンダと
販売店契約の締結交渉中です。
その中で、ベンダは「SW製品が日本市場において特許権を始めとする
第三者の知的財産権の侵害をしていても、一切の責任を負わない
(当社をhold harmlessしない)」と主張しています。
[質問]
この主張を当社が呑んだ場合において、
(1)万一当社がある日本の企業から知的財産権侵害を理由に訴えられたとき、
当社はそもそも被告の適格性があるのでしょうか。
(2)被告適格性がないとした場合、ベンダが訴訟当事者になると思いますが、
ベンダは契約上の無責性を理由にベンダに係った訴訟費用・賠償金などを
当社に請求することになるのでしょうか(当社は支払わざる得ないので
しょうか)。
(3)SW製品を対象とする固有の保険を国内でつけること可能でしょうか。
また、この主張が契約書上明記されているとしても、(裁判所等が)
その有効性を否定する可能性はあるのでしょうか。
以上、個別解答でも構いませんのでアドバイスありましたら、
是非ともご教示のほどよろしくお願い申し上げます。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
被告云々については他の回答者の方の仰る通りです。
私からは一般的な知的財産権侵害に関する条項について...。いわゆる「Software Distribution Agreement」を締結する際において、「知的財産権侵害に関しAS ISで提供するものとする」という条件は少々ベンダ側に有利に過ぎると思われます。(上記のAS ISの旨が裁判でどのように判断されるかは、管轄裁判所がどこかによって変わってきますので、一概に答えは出せません。)
通常であれば、「ソフトが知的財産権を侵害している旨第三者から代理店に対して主張された場合、ベンダは代理店を保護すべく対応すると共に、第三者から請求された金銭を代理店に支払わなくてはならない。
但し、上記で言う「対応」とは(1)ソフトを非侵害品に交換・改変する、(2)第三者と直接交渉して主張を取り下げさせる、(3)第三者から使用権を得る、(4)ソフトの代金を返還する、のいずれか1つに限られる。
なお、上記のベンダの責任は、上記侵害が代理店もしくはエンドユーザーにより引き起こされた場合(代理店もしくはエンドユーザーの仕様・改変等に基づく場合、ソフトと他の製品の組み合わせによる場合、ソフトの使用方法に関する侵害の場合)には発生しない。」
となるのではないかと思われます。
損害賠償の上限については交渉の結果変わってきます。
なお、知的財産権侵害に関する保険というのは一応存在するということを聞いたことがありますが、保険料があまりにも高額なためあまり利用されていないようです。
keatonさん:
ご教示ありがとうございます。
以上の条件(「」内)は、私も馴染みがある販売店契約の一条項です。
ベンダとしては、知的財産権侵害請求から販売店等を防御する義務があるとともに、自らの知的財産権を守るために第三者からの請求等と直接争う権利がある(販売店のような製品知識の乏しい者に勝手に第三者と交渉を進められても困る)と考えていますので、結果として、keatonさんのおっしゃるところが(第三者的な見方をしたときにも)シックリくるというのが私見です。
No4のyoshinonさんのご指摘のとおり、私も、当社がベンダの立場でしたら会社の利益のため無責性を主張することもありますが、取引成立が絶対であれば、(交渉決裂の場合)最終的には、製造業者の責任と権利からkeatonさんのおっしゃるところに落ち着くことになると思います。
もちろんこれも交渉事ですので、製品の性格や当事者間のbargaining powerによって、責任分担や賠償範囲が左右されると考えます。
以上から、もう一度ベンダに対して知的財産権侵害訴訟からの防御を主張し、それでもベンダから譲歩が得られないようでしたら、保険を考えるなり、取引をやめるなりしようと思います。
ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
逆の立場になって考えてみたらいかがでしょうか?B国の業者が、
・当社が国内で販売している商品をB国で販売したい。
・B国で何かの権利侵害訴訟が起きたら、販売業者として製品に対する責任を取ってほしい。
と言ってきた場合を考えてみてください。
B国の業者が言っている事は正当だと思ってそのような契約にしますか? 通常は、「そのような面倒な話には付き合いたくない。別に、B国で売ってもらわなくてもかまわない。」と思うのではないでしょうか。当社としては、もし何かあったとしても、絶対に損が出ない条件にしておかないと、ビジネスとしては非常に危険だと思います。
No.2
- 回答日時:
そもそも特許法では第二条に
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一 物の発明にあつては、その物を生産し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸入し、またはその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡または貸渡しのための展示を含む。以下同じ)をする行為
とあるように、侵害しているのは輸入した業者です。(海外の業者を訴えるにはあまりにも特許権者に不利)
であるので、もし侵害していて損害賠償を請求されても「一切の責任を負わない」
とする内容の契約があるわけです。
少し考えてみるとわかると思いますが、
有る特許製品がものすごく売れているので、海外の業者に模造品を作らせて輸入したとき、当然輸入業者が訴えられますよね。
保険についてはわかりません。
yoshioさん、s777-asukaさん:
ご回答ありがとうございます。
私も特許法を見てみましたが、お二方のおっしゃるとおりのことが記載されて
いました。確かに当社が被告となり得ないのは、原告にとって面倒なことです。
勉強不足ですみません。
ただ、SW製品を原因とする知的所有権侵害訴訟・賠償請求に対し、
単に販売店として転売利益を得ている当社が、SW製品自体から利益を
得ているベンダから防御されないというのは、腑に落ちない感じが否めません。
また、ベンダは、本来、製造業者として製品に対する責任は負うべきでしょうし、
日本市場に商圏を広げて自らの利益を拡大することになる点も責任を負うべき
根拠と思います。
当社としては、自ら知的財産権侵害訴訟・賠償請求の相手をするのは理解できる
ところでありますが、この請求等で受けた損害や費用をベンダに転嫁したい
ものであります。
この点、何かご見解ありましたら是非ともお聞かせ下さい。
ちなみに、フリーウェアでもない限り、知的財産権侵害についてベンダが販売店や
エンドユーザをhold harmlessしない例は今までに経験しておりません。
No.1
- 回答日時:
(1)(2)について、
特許法、実用新案法、意匠法、商標法、不正競争防止法、著作権法では、外国から日本に輸出する行為は問題にならなかったと思います。
問題になるのは、国内に輸入したり、国内で販売したりした場合です。
ですから、被告はベンダでなく、当社という事になると思います。
ベンダとしては、日本の法律や日本で(日本語で)成立している特許について全て調べるのは無理な話ですから、契約時に「第三者の知的財産権の侵害をしていても、一切の責任を負わない 」という条項を入れるのは自然な事だと思います。
なお、「第三者の知的財産権の侵害をしていても、受け取ったライセンス料以上の責任を負わない 」という内容に変更するよう交渉する余地はあると思います。
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