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- 回答日時:
「粘土を焼くとどうして固まるのか(かつ縮むのか)」は「焼結・粒成長理論」として古くから研究されており、基本的な理論はほぼ確立しています。
以下はamanjackさんが既にご存じの内容と重なる部分があるかとも思いますが、その節はご容赦ください。同じ物質1kgであっても、細かく砕かれた状態であれば塊の状態に比べて表面エネルギーの分だけ余分のエネルギーを有しています。表面エネルギーとは何か?ということですが、まず以下の説明をご覧ください。
ある物質の塊を順々に二つに切断して、最終的には粉にするとします。いま(A)のような塊を二つに切り分け(B)にするとします。切断するためには一定のエネルギーが要ります。表面エネルギーは材料に新たに表面をつくり出すために必要なエネルギーのことです。
(A)
┌───────┐
│ │
│ │
└───────┘
(B)
┌───┐┌───┐
│ ┃┃ │
│ ┃┃ │
└───┘└───┘
(B)の状態は(A)の状態に比べ、太線部の面2枚分だけ表面エネルギーを余計に有しています。さらにどんどん細かく切断していくと、その物質の表面エネルギーはどんどん増えていきます。
細かい粉末は凝集・結合することで表面エネルギーを解放し、最終的には一つの塊になろうとします。ただしその過程にどれだけ時間がかかるかは別の問題で、数分で固まってしまうことも、何十万年かかっても粉末のままのこともあります。
粘土の粉末は室温で放置しておいても通常は粉末のままですが、温度を上げる(焼く)と、
(1)原子そのものが動き易くなる(熱エネルギーを多く有するので)
(2)粘土を構成する成分の一部が反応して液体のような成分(液相)を形成し、その液相を通じて物質が移動し易くなる
の二つの効果により凝集の速度が大きくなります。このようにして粒子同士がだんだんくっ付いていくことを通常「焼結(sintering)」といいます。また小さい粒子は大きい粒子に吸収されて次第に消滅し、粒子の平均粒径はだんだん大きくなりますが、これを「粒成長(grain growth)」といいます。
焼結についてうまく説明した図はないかな、と探しておりましたら大変分かりやすい解説のページを見つけました。(イナックス)。丸い粒子同士がくっつき、一つの大きな粒子に成長していく様子の図があります。その他の部分も参考になると思いますのでぜひご覧ください。
http://www.inax.co.jp/yakimono/tedukuri12.shtml
まとめますと
Q: 粘土を焼くとなぜ固まるのか
A: 粘土を構成する粒子同士が、表面エネルギーを下げようとして互いに結合するから
と言った辺りになると思います。
答えになりましたでしょうか。
参考URL:http://www.inax.co.jp/yakimono/tedukuri12.shtml
この回答へのお礼
お礼日時:2003/04/06 14:04
ご丁寧な回答ありがとうございました。
なかなか難しいんですね。
私の知能のレベルなりに理解出来たと思います。
これで何とか陶芸の趣味の門をくぐれそうです。
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