No.2ベストアンサー
- 回答日時:
シャーロック・ホームズの邦訳で最高峰は河出書房版でしょう。
格調高く、かつ時代の雰囲気を的確に捉えてとても読みやすい訳文になっており、解説も大変に詳細で初心者にもわかりやすいです。ただし、単行本のみで文庫版はありませんので高価ですし、現在は品切れ状態で書店でも入手しにくくなっています。
新潮文庫版は日本で最も古いホームズ全集で、その雰囲気を的確に表現した格調高い訳文には定評があります。ただし、改訂はされているため読みにくくはないものの、さすがに現在読むと文章が古くなっている感は否めません。解説もほとんどありません。
また最大の問題が、刊行時に諸般の事情で短編集に全部の作品を収めることができずに、一部を削除してしまったことです。削除した作品は後に『シャーロック・ホームズの叡智』という作品集にまとめて観光されていますが、それ故、全9冊のホームズシリーズが新潮文庫のみ全10冊となってしまい、オリジナルと同様には読めません。
創元推理文庫版は訳文が古くなったため、現在改訳作業が進行中ですが、まだ完了していません。そのため、現在揃えると『恐怖の谷』と『シャーロックホームズの最後のあいさつ』が旧訳版になってしまいます。新訳版の翻訳はなかなか評判がいいので、揃えるなら改訳が終了してからでしょう。もう2~3年くらいはかかるんじゃないかと思いますけど。
ハヤカワ文庫版は現在刊行されているホームズ物では最も翻訳が古いです。ほとんど絶版で2冊くらいしか残っていませんので、あえて選ぶまでもないでしょう。
ちくま文庫版はホームズ物を実際に事件が起きたと思われる順番に全て並べ直し、それに膨大な解説をつけたものです。解説に関しては文句なくナンバーワンです。何せ、本編よりも解説の方が長いくらいですから (^^;)。ホームズ全集と言うよりはホームズ物の研究書という方が近いので、初心者にはお勧めできません。
角川文庫版も現在改訳作業ですが、まだ3冊しか出ていません。今のペースだと全部出揃うには10年くらいはかかりそうです。1巻目の『シャーロック・ホームズの冒険』は訳文が女性的すぎて今ひとつピンと来ませんでしたが、2巻目から訳者が交代になり、無難な感じだと思います。
光文社文庫版は全集としては最も新しい翻訳になります。そのため、現代的で読みやすい訳文が特徴ですが、その分格調の高さに欠けるという声もあります。解説も河出版ほど詳細ではないですが、必要十分なものが付いています。
取り立ててこだわりがなければ、光文社文庫版あたりを勧めておきますが、ドイルの著作権は既に切れているため、読むだけなら全作ネットで無料で読めます。
http://www.221b.jp/
古臭い文章は気になりませんのでそこは大丈夫です。
訳にもいろいろとあるのですね。お書きくださった河出書房が気になりますが、注文はネットからになりますしやはり高いですね…。
全集を揃えたいので、そうなると角川やハヤカワなどは除外することになり、解説はありがたいですが本文がメインなのでちくまは微妙なところです。
No.4
- 回答日時:
著作権失効ずみなので、「コンプリート・シャーロック・ホームズ」(
http://www.221b.jp/)で読むのが、著作権の切れた挿絵を集めていたり、ホームズのトリビアを読めたりで、手頃だと思います。授業前の朝の読書で読みたい向きなら、こちらは代表作だけ読めればいいのか、全部読みたいのかで違ってきます。鬼門は、『緋色の研究』で、こちらは、ホームズとワトソンの出会いと共同生活が前半、第三章になってようやく事件が起きるという趣向で、当時のアメリカ合衆国の秘密結社めいた怪奇さが色濃くけっこう読みにくいので、後回しにしておいて読むのでもいいように思います。Wikipediaで「シャーロック・ホームズ・シリーズ」項目を引けば、国内の主な翻訳判について触れられています。小林司・東山あかねの訳による90年代後半の河出書房新社版は、揃えると豪華なものですが、外出先に持ち出して読むという用途には向いていません。ちくま文庫版の『詳注シャーロック・ホームズ全集』は、もとが東京図書から刊行された単行本で脚注が占める分量が多めだったのが、文庫版になって尋常じゃないくらい多くなり、ほかの出版社から出ている本より分厚くなってしまっています。どちらかというとかつて読んだ人が昔を懐かしみなら詳注を読んでトリビアな話題を見つけて喜ぶ向きにはいい本です。
一応、シリーズ全作を同じ文庫で読みたいというのであれば、新潮文庫、創元推理文庫、光文社文庫に絞られます(ほかの出版社は絶版・品切れ)が、新潮文庫の延原謙訳版が時代がかっている点を除けばさほど違いがないように思えます。19世紀末から20世紀初めのロンドンが舞台の中心なので、隔世の感がある昔。とはいえ延原謙の「ベーカー街221甲」といった古めかしい訳もありますが、90年代に延原展が修正しているので読みにくさは緩和しているでしょう。どっちにしろ、翻訳者は、延原謙(明治30年生まれ。個人)+延原展(90年代に修正。昭和1ケタの生まれと遅めにみてもかなりの高齢)、阿部知二(明治36年生まれ)→深町真理子(昭和6年生まれ。近年、阿部訳から新訳に交代)、日暮雅通(昭和29年生まれ)と、高齢者なので、若い読者は気にしても致し方ない感はあります。児童向けの、偕成社版や講談社青い鳥文庫版もあるので、中学生くらいまでなら、読みやすいでしょう。
他の作品とあわせて本棚を充実させたい向きには、次のような取り合わせも面白いでしょう。新潮文庫だと、ドイル傑作集(怪奇集など)、フリーマントル作『シャーロック・ホームズの息子』が読めます。創元推理文庫だと、シャーロック・ホームズのライバルたち・シリーズ(ソーンダイク博士ほか)、ジューン・トムソン作のホームズ・パスティーシュ、ジュリアン・シモンズの評伝『コナン・ドイル』(絶版かも)が読めます。光文社文庫では、山田風太郎作『黄色い下宿人』、島田荘司作『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』が読めます。ほかに、河出文庫から翻訳でシャーロッキアン(シャーロック・ホームズ研究家)が割と多く出ています。(博物学者南方熊楠が大英博物館勤務時代にホームズと対峙する短編(『荒俣宏コレクション 短編小説』、集英社文庫刊)があります)
ネットは便利ですが、紙面で読むほうが個人的には好みなのです。できれば全部の作品を読みたいところです。
古い作者の本も読みますので、文章が現代的ではないというのはあまり気になりません。児童書からも出版されているのですか、確かにそちらは読みやすいかもしれません。
取り合わせ、ということでいろいろあるんですね。パスティーシュというのは、パラレルですか? あまり聞かない言葉です。とりあえず原作を読んで、そういったものを揃えていくのも楽しそうです。
No.3
- 回答日時:
私は海外翻訳ミステリマニアで、現在までに本格(謎解き)・倒叙・サスペンス・スリラー・ユーモア・ハードボイルド・警察ミステリ・法廷・スパイ・冒険・謀略情報など、あらゆるジャンルを読み漁り、現在までにほぼ1000冊に達しています。
大学に入ってからですから、50年近くになり、ホームズ物は比較的初期に読みました。
私が読んだのは、創元推理文庫版でしたので、他の文庫と読み比べた訳ではありません。
ただ経験上の話ですが、50年も前の翻訳文は、当時でもやや読み難さを感じていました。
普通の日本語とは言えないような、ぎこちない訳文が多かったように思います。
その後、年を経るに従って、新しい翻訳者も続々登場してきて、翻訳も洗練されてきたようです。
1960年代や70年代に出版された本は、そのままの文章で長い間版を重ねていましたが、近年になって新しい翻訳者による新訳が出版され始めました。
昔読んだある別のミステリを新訳版で読み返したことがありますが、スッキリした日本語になっていました。
確か創元推理文庫のホームズ譚も、徐々に新訳に変わりつつある段階だと思います。
最近はハヤカワでも、新訳にするものが多くなっていますが、ホームズ譚がどうだったかは存じておりません。
それともう一つは、創元推理文庫とかハヤカワミステリ文庫のような、ミステリ専門出版社のものをお奨めします。
角川文庫や新潮文庫は、古くからある文庫で、元々は一般小説が主力でしたので、ミステリ系はマイナーの扱いだったように思います。(読んだ上での感想ではありませんが)
ホームズ譚は、ミステリの代表的作品ですので、各社のライン・アップに載せられました。
シャーロック・ホームズには、多くのマニアがいて、英国ではホームズ愛好家協会のような団体も結成され、日本にもその支部があるほどだということを、最後に追加させて頂きます。
物凄い量をお読みなんですね。私が読むのは歴史ばかりなのでミステリは全く未知数なのですが、出版社によっても違いがあるとは思いませんでした。ミステリが専門の出版社から選ぶ、というのもひとつかもしれません。
マニア、というのは所謂シャーロキアンのことですか? 聞いたことはあります、ホームズのことについて研究などをされているとか。長い時代を愛され、そこまでの熱意や愛情を傾けられ続けているというのは凄いことと思います。
No.1
- 回答日時:
>読んだことのある本のいくつかは一文が長くて段落も少なく訳文もわかりにくくて、正直なところ読みづらくてたまりませんでした。
ということでしたら、新潮社は翻訳が古いので、あまりお薦めしません。
翻訳が比較的新しい光文社のものなどいいのではないでしょうか?
http://www.amazon.co.jp/s/?_encoding=UTF8&bbn=46 …
訳者の日暮 雅通氏はシャーロックホームズの研究家でもあります。
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