■「フォー」についての基礎知識
そもそも、フォーとはどんな麺料理なのだろうか。徳永さんに説明してもらった。
「フォーは、ベトナム北部が発祥の地といわれるスープ麺料理です。日本でいう『きしめん』のような形状の麺ですが、原料は小麦粉ではなく米粉です。スープは、鶏と牛の2種類に大きく分けられ、鶏骨でだしを取ったものを『PHO GA(フォーガー)』、牛のスープの場合は『PHO BO(フォーボー)』といいます。麺の上には好みによって、蒸し鶏や薄切りにした牛肉、肉団子をはじめ、モヤシやニラ、パクチー、バジルなどの野菜や香草、レモンやライムといった果物をのせ、チリソースやニョクマム(魚醤)などを加えていただくのが一般的です」(徳永さん)
具だくさんでヘルシーなイメージの反面、「ライスヌードル」を用いているため、糖質やカロリーが気になる。中には「ライスヌードル」と「中華麺」を選択できるお店もあるようだが、栄養士の観点からのおすすめを聞いてみた。
「フォーで麺を選ぶならどうするか? 私ならライスヌードル=米粉麺を選びますね」(徳永さん)
本家本元は「ライスヌードル」だからというような単純なことなのだろうか、その理由を掘り下げてもらった。
■1食分の麺の量によるカロリーの違いに注目
当然のことながら食べる量によってカロリーは変わる。そのことを認識して麺を選ぶべきと徳永さんは続ける。
「ライスヌードル100gのカロリーは377kcal、脂質1.6gと高いのですが、フォー1人前に使うライスヌードルの量は50gだといわれています。ライスヌードルは水分量が少なく1食分の量も少なくて済むためです。これに対して、中華麺100gのカロリーは281kcal、脂質1.2gですが、1人前で150g食べると422kcal、脂質1.8gになります。フォーに使う麺の量に注目すると、ライスヌードルは189kcal、脂質0.8gで低カロリー、低脂質といえるのです」(徳永さん)
単純な素材の比較ではなく、食べる量を比較したほうがよいということだ。
■ちょっと物足りないと感じたら、具材に工夫を
とはいえ、少なめのライスヌードルだと「ちょっと物足りない」と感じることもあるだろう。
「フォーの満足度をさらに上げるためには、具材の野菜や鶏肉を増やす、ヘルシーな海鮮フォーを頼むなどの工夫をしてみるのもよいでしょう。サイドメニューのオススメは、パクチー、バジル、大葉、ショウガ、トウガラシ、ニンニク、レモンなど、香り豊かなハーブや薬味を使った生春巻きですね。ただ、油断して食べ過ぎてしまえば、摂取カロリーは簡単に高くなってしまいますので気をつけてください」(徳永さん)
どんな料理でも、やはり「食べ過ぎ」には注意。フォーを含め、バランスよく、適量をいただくようにしたい。
「ベトナム料理はハーブや野菜をたくさん使っています。クセの強いハーブや薬味を効かせることで、食事の際、満足感を得ることができます。食べ過ぎを防ぐためにも、普段の食事にも取り入れたいですね」(徳永さん)
今回教えてもらったように、量や具材を工夫すれば、フォーのライスヌードルを敬遠する必要はなさそうだ。薬味をうまく取り入れることで、満足感を増し、糖質の摂取量の調節につなげたいものだ。
なお、「フォーの具」として、フォーのおいしい食べ方を「教えて!goo」では紹介しているので、こちらも参考にしてほしい。
●専門家プロフィール:管理栄養士 徳永美香
ソフィアプロモーション所属の管理栄養士。ソフィアプロモーションは全国毎月1万店舗で「おいしい~食育」を広めている。公式Webサイトや管理栄養士ブログも運営している。