
■今年のエアコンの供給状況
いつでも購入できると思っていたエアコンが、手に入りにくくなるかもしれないと聞くと不安になる。供給不足がささやかれる原因から教えてもらった。
「もともと供給が追いついていなかった半導体が、東南アジアでのコロナウイルスの感染拡大や、コロナ禍による需要拡大により、さらに不足しました。そのことにより、2021年は複数のメーカーでエアコンの生産や供給に影響が出ました」(竹下さん)
今年の状況はどうだろう。
「今のところ半導体について目立った影響は見られません。ただし4月になり、中国の新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの影響が出はじめました。上海にあるエアコン部品の製造工場が操業を停止し、メーカーによっては供給遅延が発生しています」(竹下さん)
日本への影響もあるのか。
「日本向けの船便の出港が遅れ、通常通り製品や部品が入ってこないことがあります。また、中国でエアコンの組み立てを行っているメーカーの場合は、供給遅延が起きています。このような供給遅延の状況は、ゼロコロナ政策が終わらない限り続くと見られています」(竹下さん)
だが慌てる必要はないという。
「中国のロックダウンによる影響をさほど受けていないメーカーもあるので、昨年ほどの状況は考えにくいと思います」(竹下さん)
買い替えをする人にとっては、機種の選択に制限が出る可能性があるかもしれない。
■自宅のエアコンの点検方法
供給が遅延することを踏まえると、夏に向け、自宅のエアコンの動作確認をしておきたいところ。エアコンの適切な点検方法を教えてもらった。
「まずは、電源プラグやコンセントに変色や汚れはないか、リモコンの電池が切れていないかを見ましょう。リモコンで操作できるか、フィルターは汚れていないか、室外機の前や後ろに物を置いていないかも確認してください」(竹下さん)
エアコンを運転するのは、半年~1年ぶりという家庭が多いかもしれない。そのため、基本的な「電源」と「動作環境」のチェックから行おう。
「次に、冷房モードで試運転します。室温を18℃に設定して10分程度運転し、冷えることを確認してください。室内機から異音、異臭はないかを確認後、さらに30分程度運転します。異常を示すランプが点灯、もしくは点滅していないか、室内機から水漏れはないかをチェックしましょう」(竹下さん)
もし異常を感じたら、取扱説明書を確認して欲しいと竹下さん。
「取扱説明書にはさまざまな不具合についての対処法が記載されています。故障かもしれないと思ったら確認してみてください」(竹下さん)
見当たらない場合は、販売店やメーカーに相談するとよいだろう。ネットでも取扱説明書の掲載がある機種も多いので、検索してみてほしい。
猛暑日にエアコンが使えなくなったら一大事だ。修理する場合も、部品の供給遅延などにより、通常より対応が長引く可能性もある。今のうちから、自宅のエアコンを点検しておくとよいだろう。
●専門家プロフィール:竹下 英男(エコ・プラン)
(株)エコ・プラン 環境事業本部 ESC事業部 第3営業部 気分爽快2課 課長。空調メンテナンスのスペシャリスト集団として、主に業務用エアコンの取り付け、工事に携わる。エアコンを長く使用して頂くため、オーバーホール、修理、メンテナンスにも力を入れ、安心と信頼のサービスを提供している。
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