■食品の温度に気をつける
食中毒を避けるために、まず何に気をつけなければならないのか。
「一番気をつけたいのは温度管理です。菌は30~40度くらいの温度帯で増殖しやすいので、調理したものを常温で置いておくのは危険です。加熱した料理は粗熱を取り、速やかに冷蔵庫や冷凍庫へ入れて冷やしましょう。保存容器や調理器具、手をしっかり洗って、清潔な状態を保つのも重要です」(馬原さん)
粗熱を取る目安は、手で触れる程まで冷ますこと。常温で素手でも処理可能な程度に冷まし、清潔な容器に入れ冷蔵庫に保存したい。
冷蔵ではなく冷凍保存に向く食品もあるという。
「たとえば、ご飯は冷凍に向いています。冷蔵で保存すると、水分が抜けて硬くなるのでおすすめしません。また炊飯器で保温していても、6時間を超えるとパサついたり変色したりする場合があります。すぐに食べない分は冷凍保存がよいでしょう。炊き立てのうちに保存容器に入れて、粗熱が取れたら冷凍庫に入れるのがおすすめです。ポイントは、炊き立てご飯の湯気ごと閉じこめることです」(馬原さん)
パサつくことなく、解凍後もふっくらご飯が食べられるとのこと。
料理を消費する期限の目安を聞いた。
「水気のある野菜を使った料理は消費期限が短く2~3日、しっかりと火の通ったハンバーグなどは3~5日程度が目安です。あくまでも目安なので食べる前に確認しましょう」(馬原さん)
煮物などは水分を飛ばし、水分を減らすと腐りにくくなるそうだ。
■夏場でも痛みにくいつくり置きレシピ
続いて、夏におすすめのつくり置きレシピを聞いた。まずは手軽につくれる「キャロットラペ」からだ。
「材料は、にんじん(2本)、塩(小さじ1)です。調味料として、酢(小さじ4)、サラダ油(大さじ3)、塩(少々)、砂糖(小さじ2)を準備します」(馬原さん)
調理方法はとても簡単。
「にんじんは5cmの長さに千切りにして、塩をふり10分おきます。時間が経ったらサッと洗って水気を十分絞りましょう。ボウルに調味料の材料を合わせ、にんじんを加えて一晩置けば完成です」(馬原さん)
続いて、暑い夏でも食欲をそそる「肉団子の甘酢あんかけ」だ。
「材料は、豚ひき肉(200g)、豆腐(150g)、卵(1/2個)、長ねぎ(1/2本)、しょうが(1かけ)、片栗粉(大さじ2)、揚げ油(適量)です。豚ひき肉と合わせる調味料(A)は塩(小さじ1/2)、砂糖(小さじ1)、酒(大さじ1)です。たれの材料は水(150g)、醤油(大さじ2)、砂糖(大さじ4)、酢(大さじ1.5)、ケチャップ(大さじ1)、片栗粉(大さじ1強)です」(馬原さん)
そしてつくり方だ。
「1)豆腐は水切りしておきます。長ねぎ、しょうがはみじん切りにします。2)豚ひき肉に『A』と卵、『1』の豆腐を合わせてよく練り混ぜます。長ねぎとしょうがと片栗粉を加えて混ぜ、直径約3㎝の団子にして油で揚げます。3)小鍋にたれの材料を合わせてよく混ぜながら火にかけ、沸騰したら火を止めます。4)肉団子に、あんを絡め完成です」(馬原さん)
ごはんに合いそうな一品である。
揚げ物や焼き物、酢やレモンなどで酸味をきかせたおかずもいたみにくく、夏のつくり置きにおすすめだという。今回教えてもらった保存法やレシピを参考に、夏場もより安心に料理を楽しもう。
●専門家プロフィール:馬原 香織
料理研究家。調理師。食育インストラクター。フードビジネスプランナー。飲食店向けのコンサルティング会社にて、フードコーディネーターとして勤務した経験を活かし、「家族が喜ぶ、何度も使えるレシピ」をコンセプトに「Cooking Salon Mahara」を主宰。企業様向けのレシピ開発や料理ライターも担う。
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