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(1)
HAとNAを有するA型インフルエンザウイルスは短期間で変異(進化?)するが、同様の抗原を有するB型はさほど変異しないとお聞きしました。同じような抗原を有するのに、A型とB型ではなぜそのような違いが生じるのでしょうか。

(2)
C型はB型よりも更に安定的であるとお聞きしました。なぜそのような違いが生じるのでしょうか。

よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

 何度も忠告しましたが、同系列の質問をいくつも立てるのは控えて頂けませんか。


 本質問の回答に対するレスと新質問の内容が被っているので、回答する私がどちらでどう回答すれば良いか混乱します。

 1つの疑問に対する答えをきちんと消化しないまま次々に疑問を膨らませるのは楽しいでしょうが、「勉強」の正しい姿勢ではありません。
 足元をきちんと固めて初めて次のステップに踏み出せるのです。

 "連続変異"と"不連続変異"は、「A型インフルエンザのHA抗原性状の変異」を説明する際に使われる用語です。
 もちろん抗原性が変異している背景には必ず遺伝子の変異があるわけですが、連続あるいは不連続変異という"言葉"は、「抗原性の変異」を説明する言葉です。

 連続変異と不連続変異の背景にある遺伝学的な現象は何か、ということはNo.1で説明しています。今読み返すと遺伝的背景のみで説明しているので、あまり良い説明とは言えないと反省していますが。

 でも、B型インフルエンザのところで、

>言い換えれば「遺伝子再集合は起きるが抗原の不連続変異は起きない」ということになりますか

 と書いています。この一文の意味をよく熟慮してみて下さい。

>ここで仰せの「変異」は「連続変異」のことでしょうか

 「HA遺伝子の変異」ですから、連続変異とか不連続変異という概念がありません。この言葉はA型インフルエンザウイルスのHA抗原性を説明するための言葉ですから。

 連続変異の遺伝的背景は、「遺伝子の突然変異に起因する変異」で、不連続変異の遺伝的背景は「リアソータントに起因する遺伝子組み換えに起因する変異」です。No.1でも説明していますが。
 ですから、HA遺伝子の変異、を説明している時は、常にその変異は「HA抗原に連続変異をもたらす変異」です。
 不連続変異を起こす時は、HA遺伝子は別のウイルスのものとごっそり入れ替わっているわけですから、「変異」とは違う現象です。

 つまり、「不連続変異」という言葉は、抗原を見ているから「変異」なのであって、遺伝子を見ると「組み替え」なのです。

>ここで仰せの「ほぼ共通」は、「連続変異速度がほぼ同じ」ではなく「塩基配列がほぼ同じ」ということでしょうか。

 「遺伝子が共通」という場合、素直に「塩基配列が同じ」という意味です。
 「A型インフルエンザの迅速診断キット」を作ることができるのは、MやNPといった蛋白がA型インフルエンザウイルス全体で同じ抗原性を持つからです。だから1つの抗体でA型インフルエンザ全てを検出することができるわけです。
 抗原性が同じ、ということは蛋白質が同じ形をしている、ということであり、それはアミノ酸配列が同じ→塩基配列が同じ、ということです。

>「MやNPといった遺伝子」とは、HAとNA以外の全ての遺伝子(つまり、M、NP、PA、PB1、PB2、NS)のことでしょうか。

 「MやNP」なので、MとNPのことです。他の遺伝子については、ここでは触れていません。

>「変異率」とは「RNAのコピー1回でRNAが変異する確率」のような意味でしょうか。

 そういう理解で良いと思います。

>なぜ「サイクルを止めるまでの力」がないのでしょうか。抗NA抗体が産生されればNAは作用できなくなるので「サイクルを止めるまでの力」が生じるのではないでしょうか

 例えば1個のウイルス粒子に対して1個の抗HA抗体があれば、ウイルスが細胞にする=感染することを防御できるとします。要するに「感染防御」には、たった1個の抗体があれば良いわけです。

 さて、感染防御できずに1個のウイルスが細胞に感染すると、100万個に増殖するとしてみます。

 すると、1個の細胞から出芽しようとするウイルスを完全に阻止するためには、100万個の抗NA抗体が必要です。
 仮に抗NA抗体が99万9999個しかなかったとすると、たった1個ですが細胞から出芽してしまうウイルスが出現してしまいます。
 そのたった1個取り逃がしたウイルス粒子は、隣の細胞に感染して100万個に増殖するわけです。

 これだけ考えても、NA抗体でウイルスの増殖を完全に抑えることができるはずがない、ということがお判りかと思います。

>ここで仰せの「変異」は「連続変異」と「不連続変異」の両方のことでしょうか。
>つまり、B型の「連続変異」はA型の「連続変異」と、B型の「不連続変異」はA型の「不連続変異」と、それぞれ同じようであるということでしょうか。

 これはNo.1中でちゃんと回答していますので、もう一度よく読んで下さい。

>B型インフルエンザウイルスの抗原はどんな蛋白質(名前、病原性など)なのでしょうか。B型には亜型は1つしかないとお聞きしたのでHA(H1~H16)やNA(N1~N9)ではないと思うのですが...。

 B型もHAとNAはありますよ。抗原そのものに病原性があるわけではありませんが。亜型はありませんが、B型インフルエンザウイルスにもHA蛋白とNA蛋白は存在し、その役割もA型インフルエンザウイルスと同じです。

 なお、C型インフルエンザウイルスは少し違う構造で、HEという蛋白がHAとNAの役割を両方こなしています。

>「個々の遺伝子そのもの」とは、例えばH1についてであれば「H1の塩基配列」ということでしょうか。

 そのとおりです。

 繰り返しますが、「連続変異」「不連続変異」というのは、A型インフルエンザウイルスの抗原性の変異を説明するための言葉で、ウイルス全体の話ではありません。

 遺伝的な背景を見ると、「連続変異」は何も説明する必要がない「普通の変異」です。分節遺伝子を持つウイルスに限り、リアソータントによって遺伝子組み換えが起きるので、「不連続変異」という言葉を使って説明しているだけの話なのです。
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この回答へのお礼

いつもお教えいただき、詳細かつ体系的な御回答を頂き、有り難うございます。

また、既に御回答いただいていた内容についてよく理解しておらず、同じことを重ねて質問して申し訳ありませんでした。

たいへんよく分かりました。
ありがとうございました。

お礼日時:2009/10/23 19:39

 獣医師でウイルスに専門知識を有しています。



 (1)と(2)に同時に回答します。
 まず、インフルエンザウイルスなどの分節遺伝子を持つウイルスに特有な変異(遺伝子再集合(リアソータント))については、質問者さんの別質問への回答に書いたので、そちらを参照して下さい。

http://okwave.jp/qa5361486.html

 まず細かいことを言えば、A型インフルエンザでも激しく変異(変位ではなく変異です)するのはHA遺伝子だけです。NAや他の遺伝子についてはA型もB型も変異速度はたいして違いません。MやNPといった遺伝子については、A型インフルエンザ全体でほぼ共通ですし。(だから"A型インフルエンザの迅速診断キット"を開発することができるわけです)

 変異率そのものは同じ酵素(ウイルスそのものが細胞内に持ち込むRNAからRNAを複写する酵素)で複写されるわけですから、HAでもNAでもNPでもMでも基本的に変わりません。A型とB型では酵素そのものが多少異なるでしょうから、私はそのあたりは詳しくは知りませんが変異率そのものも多少違うかもしれませんが、それでもこのような大きな差を生むほどのものではないでしょう。

 ではなぜA型のHA遺伝子だけが激しく変異するのか?
 まずHA遺伝子に絞って考えましょう。A型は後回しにします。

 それはHA遺伝子が強い「選択圧」を受けるからです。
 HA遺伝子がコードするHA蛋白は、ウイルスが細胞に侵入する際の「細胞の扉を開ける鍵」になる蛋白です。つまり、このHA蛋白に対して抗体を作られてしまうと、ウイルスは「感染」することができません。

 つまり、HA_aという抗原型のウイルスが存在したとして、そのウイルスが集団の中で流行して大半の人がHA_aに対する抗体を保有した、という状況では、もはやHA_aウイルスの生きる場所はありません。
 そこに少し変異したHA_bというウイルスが出現すると、極めて短期間でHA_aは消滅し、HA_bに置き換わってしまいます。HA_bはHA_aに対する抗体を持っている人にも感染できるわけですから。
 そして、HA_bも大半の人が感染すると、今度はHA_cが出現して置き換わり・・・といったことを繰り返していくわけです。

 それに対し、NAではどうか?
 実はNAもHAと同じ確率で変異自体は起きているのです。
 でも、NA_aが大半の人に感染した状態でNA_bが出現しても、「ウイルスの感染~増殖」に及ぼす影響は小さいです。抗NA抗体が産生されても、胎内でのウイルスの増殖は多少抑えられるので軽症化することになりますが、「感染→増殖→他人への感染」というサイクルを止めるまでの力はありませんから。軽症化した方が罹患者の行動範囲が広くなるので(感染したことにも気づかずに登校したり出勤したりして)、場合によっては却って「1人の罹患者が感染させる人数」は増える可能性すら考えられます。

 なので、この状態でNA_bが出現しても、それは「選択圧を受けない」のです。受けなければ、最初から数の多いNA_a型の方が優勢になるに決まってます。
 1万人がNA_a型に感染した時点でNA_b型が出現しても、NA_a型とNA_b型の増殖率(この場合は他人への感染率)が変わらなければ、ヒトの目にはいつまで経ってもNA_a型しか検出されないですから、「NAは変異していない」としか見えないわけです。
 MやNPに至っては、これらに抗体を作られてもウイルスには痛くも痒くもありませんから、なおのこと結果的に「変異しない」ということになるわけです。

 さて、A型B型の考察です。

 実はB型インフルエンザもA型と同じように「変異」しています。

 インフルエンザウイルスの変異は「連続変異」と「不連続変異」があります。連続変異は今述べたような「HA_a型がHA_b型に変異する」ような、遺伝子の突然変異に起因する変異です。
 不連続変異というのは、遺伝子再集合(リアソータント)に起因する、まるきり新しい遺伝子が組み換えによって異種動物由来のインフルエンザウイルスから持ち込まれることです。

 実はB型インフルエンザウイルスも、連続変異も不連続変異も起きています。ウイルス遺伝子の基本的な構造はほとんど同じですからそれも当然なのですが。
 ワクチンについても、毎年流行株を分析してその年のワクチン選択株を決定しているのはA型もB型も同様です。

 「B型が変異が少ない(A型に比べて)」という場合、それは「新型インフルエンザの世界的大流行を引き起こすような飛躍的な不連続変異をB型インフルエンザウイルスは起こさない」という意味なのです。

 その理由はごく簡単に言うと、「B型インフルエンザウイルスの宿主域が狭いから」だと考えられています。簡単に言うと「B型インフルエンザウイルスはほとんどヒトにしか感染しないから」です。

 A型インフルエンザウイルスが時に「新型インフルエンザの世界的大流行」を起こすのは、"まったく新しい遺伝子セットを持ったウイルスが唐突に出現するから"です。この「まったく新しい」というのが「人類にとって」というところがミソなのです。
 実際のところ、A型インフルエンザウイルス全体で見ると、今回の新型も個々の遺伝子そのものは以前から存在することが判っているものばかりで、別に「新しい」ものではありません。その組み合わせが"人類にとって"新しいのです。

 この"新しいパーツ"はヒトではない異種動物からもたらされます。
 A型インフルエンザウイルスは元々鳥類(カモなどの水禽類)が自然宿主ですが、鳥類全般、豚、馬、ヒトに感染します。これは1種のウイルスがこれらの動物に感染すると言うことではなく、それぞれの動物の間で流行しているA型インフルエンザウイルスが存在する、という意味です。

 これらが時に遺伝子再集合によって「新しい遺伝子セット」となって、ヒトの世界に入ってくるのが「新型インフルエンザ」であるわけです。

 B型インフルエンザの場合は、ほぼヒトにしか感染しません。つまり「ヒトでしか流行していない」わけです。
 なので遺伝子再集合が起きても、それは「どのパーツも馴染みがあるヒト由来のB型インフルエンザウイルスの遺伝子」なので、「人類にとって全く新しい」ウイルスにはなり得ないわけです。(言い換えれば「遺伝子再集合は起きるが抗原の不連続変異は起きない」ということになりますか)

 C型についてはあまりよく判りません。あまり研究もされてないウイルスですし。
 でも1つ想像できるのは、病原性が弱いというのが要因としてあるかなと。病原性が弱い=ウイルスの増殖がA型B型と比較して穏やか、ということは、"変異率"が同じでも"増殖数"が少なければ絶対的な"変異数"も少なくなりますから。ほとんど幼児しか罹患しないので、流行規模もA型B型と比較すると遙かに小さいわけですから、"増殖数"はA型B型と比べると桁違いに少ないことになりますし。

 まだ判っていないことも多いですし、単に私が知らないことも多いでしょうけど、とりあえず判っている範囲で書くとこういう事になるかと思います。

この回答への補足

いつも御回答いただき有り難うございます。
遅々としておりますが、少しずつ御回答を理解できるようになってきたのではないかと感じています。本当に有り難うございます。

さて、少しお尋ねしてもよろしいでしょうか。

>まず細かいことを言えば、A型インフルエンザでも激しく変異(変位ではなく変異です)するのはHA遺伝子だけです。

(3)
ここで仰せの「変異」は「連続変異」のことでしょうか。

>MやNPといった遺伝子については、A型インフルエンザ全体でほぼ共通ですし。

(4)
ここで仰せの「ほぼ共通」は、「連続変異速度がほぼ同じ」ではなく「塩基配列がほぼ同じ」ということでしょうか。

(5)
「MやNPといった遺伝子」とは、HAとNA以外の全ての遺伝子(つまり、M、NP、PA、PB1、PB2、NS)のことでしょうか。

>変異率そのものは同じ酵素(ウイルスそのものが細胞内に持ち込むRNAからRNAを複写する酵素)で複写されるわけですから、HAでもNAでもNPでもMでも基本的に変わりません。

(6)
「変異率」とは「RNAのコピー1回でRNAが変異する確率」のような意味でしょうか。

>でも、NA_aが大半の人に感染した状態でNA_bが出現しても、「ウイルスの感染~増殖」に及ぼす影響は小さいです。抗NA抗体が産生されても、胎内でのウイルスの増殖は多少抑えられるので軽症化することになりますが、「感染→増殖→他人への感染」というサイクルを止めるまでの力はありませんから。

(7)
なぜ「サイクルを止めるまでの力」がないのでしょうか。抗NA抗体が産生されればNAは作用できなくなるので「サイクルを止めるまでの力」が生じるのではないでしょうか。NAの構造的性格など何らかの原因のため、ヒトは(HAの場合と異なり)NAに対するよく効く抗体を作ることができないのでNAは100%ではないがかなりの程度に作用し続けるということでしょうか。

>実はB型インフルエンザもA型と同じように「変異」しています。

(8)
ここで仰せの「変異」は「連続変異」と「不連続変異」の両方のことでしょうか。
つまり、B型の「連続変異」はA型の「連続変異」と、B型の「不連続変異」はA型の「不連続変異」と、それぞれ同じようであるということでしょうか。

>ウイルス遺伝子の基本的な構造はほとんど同じですからそれも当然なのですが。

(9)
B型インフルエンザウイルスの抗原はどんな蛋白質(名前、病原性など)なのでしょうか。B型には亜型は1つしかないとお聞きしたのでHA(H1~H16)やNA(N1~N9)ではないと思うのですが...。

>実際のところ、A型インフルエンザウイルス全体で見ると、今回の新型も個々の遺伝子そのものは以前から存在することが判っているものばかりで、別に「新しい」ものではありません。その組み合わせが"人類にとって"新しいのです。

(10)
「個々の遺伝子そのもの」とは、例えばH1についてであれば「H1の塩基配列」ということでしょうか。

>C型についてはあまりよく判りません。あまり研究もされてないウイルスですし。

(11)
C型インフルエンザウイルスの抗原はどんな蛋白質なのでしょうか。C型には亜型は1つしかないとお聞きしたのでHA(H1~H16)やNA(N1~N9)ではないと思うのですが...。

補足日時:2009/10/16 18:02
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