日本語の受身の表現で、『・・されべき』というのは、文法的にはどう理解しておけばよろしいでしょうか?
夏目漱石の 「我輩は猫である」 の冒頭に、
『・・・人間というものの見始(みはじめ)であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶(やかん)だ。・・・』
のようなくだりがあって、その 『装飾されべきはずの』 という部分です。
『装飾され "る" べきはずの』 という表し方であれば、普通に使われるように思うんですが、
『装飾されべきはずの』 というのも、特に変則ということでもないんでしょうか?
ご存知のことがありましたら、どうぞよろしくお願いします。
A 回答 (4件)
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No.4
- 回答日時:
こちらのPDF論文の10頁に、この第12文目に関して「漢語表現で仰々しい「装飾されべき」とうまく対応し、それがまた傑作な感じを読み手に抱かせるしくみとなっている」とあります。
「文学の文法的読み方─『吾輩は猫である』をめぐって─中野はるみ氏」
http://library.niu.ac.jp/NiuDA/RNS/PDF/RN07-007. …
実際に読みながらでも、さほど変だという違和感が生じないのはどうしてなのでしょう。
もちろん明治38年に「ホトトギス」に連載されて以来百年余、漱石の弟子たちはもちろん膨大な有識者による注釈がなされずにこの箇所が原文のままとなっていることは、明らかに当時としての、あえて「仰々しい漢語表現」としての了解・承知されてきた背景があるものでしょう。
そこで例えば、次のように考えてみました。
装飾され{装飾せ(サ変動詞「装飾す」の未然形)+られ(受身の助動詞「らる」の連用形)}+べき(当然の助動詞「べし」の連体形)
「また、室町時代以後は、二段活用の動詞に付く時、「替えべし」「濡れべし」など、連用形に付く例が多くなる。」(「国語大辞典」小学館)
自身で腑に落ちたわけではなく、そのような具体的な例を漢文訓読体や候文で提示もできないので、そのあたりは識者の開示のほどを願います。
No.3
- 回答日時:
> 文法的にはどう理解しておけばよろしいでしょうか?
文法的には「間違い」としか解釈出来ないですね。
国語の試験で、「されべき」と解答したら、100%バツです。
質問者さんのご理解が、全く正しいです。
ただ漱石さんは、バケツを「馬尻」って書いたりするんですよ。
造語,当て字,変字,入れ替えも多くて、意図的なのか?ミスなのか?も判らないし、おまけに当時は出版・製版技術も未熟で、ソチラでの誤植なども多くありました。
余りの誤植の多さに、漱石さんが出版元に怒りを表したエピソードもある一方で、出版元も、漱石さんの文学的意図や遊び心なのか、あるいは単なるミスなのかが判らない言葉使いには、頭を痛めたと思います。
並みの作家なら、出版元で校正したり、再版などの都度に、現代風に書き直したりも出来るんですけどね。
しかし当時から文化人,教養人として高名で、現在では日本人なら知らない人は居ないと言って良い、大文豪の中の大文豪の漱石さんの場合は、そうもいきません。
「優れた作家の作品は、たとえ間違いであっても、その間違いを含めて楽しむモノだ!」なんて言う考え方もありますし、「そういう人間的な部分が、漱石文学たらしめているのだ!」などと言う意見もあります。
更には「ソコは『装飾されべき』であらねばならぬ!」と主張する人もいるでしょう。
結局、誰もが「明らかに間違いでは?」などと思いつつも、誰もが手を加えられず、未だにそれがそのまま再版され続け、現在に至ります。
漱石さんクラスになると、たとえミスや間違いでさえ、少なくとも漱石文学の中では「正」なんですね・・・。
ただ、もし実際に漱石さんに聞くコトが出来たら、案外「ゴメンね。ソコは間違い。直しといて!」って、照れ笑いするかも知れませんが。
No.2
- 回答日時:
夏目漱石さんは好きで全作読んでますが、
そんな箇所があったのですか・・・
No.1さんの回答に
>字が下手で誤字脱字の多い作家
とあるのでひょっとしたらそうかもしれないし、
もしくはそのころの「はなしことば」ではないでしょうか?
また、「我輩は猫である」は猫から見た話なので、「猫語」かもしれません。
どちらにしても読んでみれば
「されべき」は「されるべき」だと理解できます。
No.1
- 回答日時:
夏目漱石は字が下手で誤字脱字の多い作家として知られています。
「べし」は通常終止形につくはずですので、ご質問にある「装飾されべき」も恐らく文語の「装飾さるべき」の誤字、または「装飾されるべき」の脱字かと思われます。
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