あなたの「必」の書き順を教えてください

ドビュッシー前奏曲第5番アナカプリの丘3小節目ですが、16分の12拍子です。写真の表記を見ると、16音符が11個しかありません。1番最後の8分音符は付点8分音符ではないでしょうか?どのように解釈したら良いのか教えてください。

「ドビュッシー前奏曲第5番アナカプリの丘3」の質問画像

A 回答 (2件)

第5曲『アナカプリの丘』の8分音符の音価の読み方は「楽典」の問題であって、演奏法、演奏解釈の問題ではないので、楽譜の解説で言及されることはありません。

楽譜の表記の読み方はあくまでも「楽典」の範囲内です。とはいっても、記譜法にはあらゆるケースがあり、楽典の教科書がそれを網羅できるわけではありません。楽典の基礎知識をしっかり理解したうえで、自分でよく考え、経験を積むしかない部分もあります。今はネット上にもいろいろな解説が出ていますが、不適切なものが非常に多いので、これも要注意です。

下のリンクの画像は、一応信頼できる海外の音楽理論サイトに掲載されている図です。
https://www.teoria.com/res/images/articles/debus …

1、3、9小節目を例にとり、冒頭の拍子の表記との対応を右上の楽譜にまとめています。Bが3小節目に対応しますが、最後の8分音符のあとにはカッコ入りで付点が補足されています。その真下のCの2/4拍子の8分音符に相当するということがわかると思います。この付点を、ドビュッシーは書いたり書かなかったりしているということです。なお、Aは1小節目のリズムを示していますが、本来は6/8拍子に相当します。ドビュッシーの表記が12/16と2/4だけなので、Aも12/16になっていますが、12/16という拍子は「16分音符×3×4拍子」で、8分音符が16分音符2つに分割される6/8拍子とは異なるので、本当は6/8です。このサイトもそこまでは説明していません。

第6曲『雪の上の足跡』の第1小節目は、決して変わった記譜法ではなく、ごく標準的な記譜法です。春秋社版がどうなっているかはわかりませんが、左手パートの「3」の数字は指番号ではなく3連符の「3」です。最初の半拍(=8分音符×1)が16分音符+8分音符という「1:2」の3連符に分割されていて、後の半拍は単純に8分音符1つです。この3つの音符を連桁で結合するので、これが標準的な書き方です。2小節目以降は3連符の「3」が省略されているだけです。なお現代の記譜では、3連符の個所で音符が3つ全部そろっていない場合、カギカッコで3連符の範囲を括って明確化する場合があります。
https://freshsheetmusic.com/claude-debussy-des-p …
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拍子の表記は12/16だけではなく、12/16=2/4となっています。

異なる拍子を混在させる表記法で、ロマン派以降にみられます。

この曲では、2/4拍子の8分音符1個が12/16拍子の16分音符3個に相当します。これを2/4拍子のみで表記すると、曲中の16分音符すべてを3連符として表記しなければなりません。12/16拍子の表記を使えばそれを回避できます。12/16と2/4の拍子割りを混在させることにより、2/4拍子の表記だけだと3連符にしなければならないところは12/16拍子内の16分音符として表記し、3連符に相当しない箇所は、1小節に4分音符2個(=8分音符4個分)が入る2/4の計算で音価を決めて記譜しているのです。やや特殊な記譜法でわかりにくいかもしれませんが、最後の8分音符に付点が付いていないのは、そこだけ2/4拍子の計算で書かれているからです。

ただ、同じ段の同じ小節内で12/16から2/4へ切り替えるというのは、必ずしもわかりやすい記譜法ではありません。フランスのデュラン社など多くの楽譜はこれと同じですが、アメリカのシャーマー版の楽譜では、この最後の8分音符に付点を補足して校訂しています。

この曲には、ほかにもわかりにくい記譜があります。49小節目のModéré et expressif以降で、拍子の表記に変更はありませんが、右手の上声(F♯)は2/4拍子表記、右手内声(D♯)は12/16拍子ではなく6/8拍子(この2つは異なります)に割り振り、さらに左手内声(D♯)は3/4拍子の表記で、1小節に4分音符が3つです。この箇所は、ハバネラのリズム(小節前半が3分割、後半が2分割)と、小節全体が2拍子と3拍子で重なり合う「ヘミオラ」のリズムが混在するという複雑な構造になっているため、すべての声部のリズムに対応する拍子を表記することはできません。曲の冒頭の拍子の表記と音符の割り振りは一致していないのです。53小節目では、デュラン社の初版などでは、小節後半の右手の8分音符には付点がありますが、左手の8分音符には付点が欠けています。おそらくですが、ドビュッシー自身の手稿で、1か所のみ付点を書いてあとは省略しているのではないかと思います。57、59、61、63小節目も、小節後半の8分音符に付点はついておらず、たぶんドビュッシーの手稿そのままなのだと思いますが、楽譜の版によっては、この箇所の8分音符すべてに付点を補足しているものもあります。
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この回答へのお礼

前回のメンデルスゾーンに続き、今回も詳しい解説ありがとうございます。よくわかりました。同じ前奏曲6番 雪の上の足跡 ですが、これの1小節目の書き方もこれまた変わってます。まぁ大体どのようにか分かりますが、楽譜がややこしくならないように書いてあると言う事だと思ってます。
今回は定評のある安川さんの楽譜を利用しましたが、不思議なことにこの弾き方については何も触れられていません。学習者が1番知りたいことなんですけど、不思議です。他の版ではこの解説があるんでしょうか?

お礼日時:2024/09/04 07:08

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