No.1
- 回答日時:
漱石の作品では一番好きですね、虞美人草。
読んだのはもう10年以上前なんで恐縮ですが。
突然の藤尾の死。
死因に関する明確な記述がないのですが、素直に読めば精神的なショックによる突然死だと思います。ただ、服毒自殺という説があるのは藤尾をクレオパトラになぞらえているんじゃないでしょうかね。
当時としてはかなり年を取っていた藤尾にとって小野との結婚の道が破れたことは、われわれ現代人には到底理解しえないほどの衝撃と屈辱。
その死は唐突ですが、藤尾ならショック死も起こしかねないです。ピーンっと張り詰めた糸のような女性ですから、小さな刺激だけでその糸を切るのは簡単だったのです。
「文明」という言葉が何度も出てきましたが、旧態依然の藤尾の血管が、社会の「変容」と人の心の「変容」のダブルの力で遮断され、心臓が止まったのだ、と思いました。
解釈は色々あるんでしょうね。
この回答へのお礼
お礼日時:2005/07/28 10:31
小野に裏切られた藤尾の心情をくみとると、やはりショック死という結論に自分も落ち着きました。
「文明」「変容」という観点でも読み返してみたいです。
お返事ありがとうございました。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
私はショック死だと思います。理由は2つ。
まず、藤尾くらいプライドがつよい人だと、「自殺」しないんじゃないかと思うからです。「自殺」は敗北だから。むしろ、生きて生きて、復讐の権化になりそうな気がするんです。
つぎに、「自殺」するには、倒れた後、また息を吹き返す必要があるわけですが、藤尾みたいな人だと、その時点で、たぶん「自殺」はできない状態になっていると思うからです。つまり、狂っちゃっているんじゃないか、オフィーリアみたいに、と思うんです。
で、私が残念なのは、藤尾を狂わせて、廃人として藤尾を生かしたほうが、文学作品としての凄みは増したのに、と思うんです。
一方、それじゃ残酷すぎる、あのまま息を吹き返さずに死んだ方が、救いがある、とも思います。でも通俗的になってしまう。
想像ですが、きっと漱石は迷ったかもしれない。で、発表媒体が新聞ということで、通俗的に受け入れられやすい結末を選んだんじゃないかと。
ちょっと深読みですが、まあこんなこと考えるのも文学鑑賞の面白さなんで、機会を与えてくださったpsloveさんに感謝! です。
漱石はこの後、通俗性を離れ、「凄い」作品を発表していきますよね。「行人」なんか、ここまでしなくても、ってくらいに。そして「明暗」で、本当に人間が救われる可能性を、ちょっと臭わせたきり、亡くなってしまう。大学生のころ、それが本当に残念で、人間に、本当に救われる方法を知られては困る何者かがいて、そいつが、漱石を殺したんじゃないか、とまで思ったものです。
ご参考になれば。
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