No.3ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
よくぞ質問してくださいました!
実は私も長い間、ボッケリーニってコウモリみたいな、ヌエみたいな存在だなあ・・・・何故なんだろう?と疑問を抱いているものです。
というわけで回答もできないのに乱入してしまいました。
でもそれだけではあんまりなので手元のフランス語の書籍をご紹介しますね。どちらも一般人向けの書籍ですが、大出版社によるものです。
Fayard社の「西洋音楽の歴史 Histoire de la musique occidentale」(Jean & Brigitte Massin著)ではボッケリーニは18世紀前半のイタリア器楽音楽としてドメニコ・スカルラッティと同じ章で紹介されています。(バッハより前のページ!)
「・・・彼の功績は通奏低音のくびきから室内楽を解放したことにあり、来るべき『古典派』のシェーマに向かうよう仕向けたことにある・・・・・この意味で彼はイタリアにウィーン様式を紹介した稀な存在であった・・・・・・だが、世紀末にはイタリアからは音楽家が大量脱出し、国力は衰えた。器楽曲の未来はウィーンにあった」
そして18世紀後半のイタリア音楽のページにもちょこっと言及されているのですが、イタリア作曲家のエネルギーはオペラに吸い取られてしまい器楽曲の作曲家はほとんどいなくなってしまった、例外としてはボッケリーニとクレメンティがいるだけである、というような記述です。
やっぱりコウモリ的な扱いだと感じます。
またBordas社の「音楽大辞典 Encyclopedie de la musique」(Marc Honegger著)には以下のような記述がみられます。
「・・・・ボッケリーニの作品の美学的価値および音楽史における影響力はいまだに完全に明らかにはされていない。『galant』様式の演奏家であった彼は、すでに古典派であったが、それは形式の尊重に依るというより思考の明晰さに依るところが大きい・・・・」
この『すでに』というあたりが曖昧かも・・・・。
イタリア人(のちにスペイン人)だったのでカテゴリー分けのときにはみ出してしまうのか、それとももっと音楽的な理由によるのか、とても興味があります。
私が偏愛するチェロ奏者のアンナー・ビルスマ(この名前だけでもバロックの香りがプンプンしますが)は以前「ボッケリーニについてなら何冊でも本が書ける」と言ったとか・・・早く書いて出版してほしいものです。
熱いコメントありがとうございます(^^)
海外でも古典派より前でまとめられてるんですねぇ。国内だけじゃないんだ。
それにしてもスカルラッティとひとまとめとは。スカルラッティって、バッハと完全に同時代なのに。
ところで、「Fayard社の西洋音楽の歴史」のほうは、本当にボッケリーニについての記述なんでしょうか?
来るべき『古典派』?
18世紀前半っていうのも妙ですね。
何か違うような・・・・
No.7
- 回答日時:
No.6 ふたたび。
>でも、「古典派への道を切り開いた」と言うと、年代的にはボッケリーニは違うかなという気がします。
これはちょっと違うと思いますよ。ボッケリーニは1743年生まれですよね。モーツァルトとは13年、ハイドンとは11年の違いですよ。モーツァルトの兄貴分であり前古典派の代表の一人でもあるヨハン・クリスチャン・バッハ(1735年生まれ)より後に生まれているんですから。
彼の有名なメヌエットなどは明らかにハイドンやモーツァルトの書いたメヌエットよりモダンだと思いませんか?
どうも。
古典派以降はどうもダメなのでハイドンもモーツアルトもあまり持ってないのですが、
聞いた限りで、あのボッケリーニのメヌエットは古典派のメヌエットとは明かに異質ですね。
モダンかどうかはともかく、同じくピチカートの上にメロディーが流れる
赤毛の牧師さんの冬のラルゴと並べてもとくに違和感は感じないですね。
だからバロックに入れられてしまうのだろうか・・・・
No.6
- 回答日時:
音楽史に「前古典派」というカテゴリーがあってボッケリーニはその時代の代表の一人と言われています。
「マンハイム楽派」に代表される、古典派への道を切り開いた時代の作曲家と見ていいでしょう。ただ、ボッケリーニはスペインに留まっていたために(プロイセンに招かれたという説は今では根拠のないものと言われている)ドイツやウィーンの作曲家たちとは一緒にされていないのだと思います。
作品表を見ても交響曲、弦楽四重奏曲などなど明らかに古典派の方を向いていますよね。
イタリア人であり1743年生まれであるということからバロックの中に入れてしまうんでしょうが、明らかに間違いだとオレは思います。
ちなみにドメニコ・スカルラッティはバッハと同時代でありながらバロック音楽はほとんど書いておらず、古典派の器楽の先駆者として前古典派に分類されるのが正しいと思います。
そもそもバロックというジャンルが誤解されているんですよ。これ、なかなか修正されないんだけれど、バロック(「いびつな真珠」説)とはそれまでの円熟しきってしまった誇張や装飾が過多な音楽に対してシンプルさを取り戻そうとした運動です。その意味ではバッハはバロックの音楽家ではなく、「バロック時代の」音楽家なのです。
ありがとうございます。
ボッケリーニは年代的には古典派なんですが、音楽としてはウィーン古典派とはあきらかに異質で、やっぱり前古典派なんだろうと思います。
でも、「古典派への道を切り開いた」と言うと、年代的にはボッケリーニは違うかなという気がします。
だから、個人的には「遅れてきた前古典派」なんていうのがはまる気がします。
この点からすると、同時代的には時代遅れといわれながら曲を書いていた
バッハの立ち位置と結構似てるかもと思ったり。
No.5
- 回答日時:
こんにちは。
雑談好きのただの素人の憶測ですが。
なぜか家にボッケリーニ作曲のスターバト・マーテルという珍曲?のCDがあり(いろんな作曲家のスターバト・マーテルを集めるのに凝っていたことがあるのでたぶんその時に購入?),ほとんど記憶になかったのであらためて聴いてみたところ,ある部分はモーツアルトやハイドンのアリアのようでもあり,ある部分はバロックの宗教音楽のようでもあり,とても不思議な印象を持ちました。
---
*ちなみにCDはこれ↓
http://www.amazon.co.jp/dp/B0000BI004
#3,#4さまが触れていらっしゃるビルスマさんも演奏に参加しているらしいです。
ボッケリーニフェチ?(笑)
---
以下,私の単なる個人的な感触ですが,時代としては確かに古典派で内容も古典派的ではあるけれども,きちんとした古典派の土台の上にはのっていなくて,理知的に様式を組み立てたというよりは自身の美的感覚によって結果的にバロックから少し抜け出している,という印象があります。
例えば,旋律の自由な流れ方や簡素な低音など,雰囲気・情緒としてはバロックよりは古典派(ロココ)的だけれども,声部の対比のさせ方や和声進行などの技法・語法はまだバロックを引きずっている部分もそこそこ残っているような気がしました。
(「形式の尊重に依るというより思考の明晰さに依る」というのはそういうこと??)
聴感上は古典派のようでも様式上は古典派とも言いきれないし,古典派を準備したものとして紹介するには流れから外れていて(ハイドンやモーツアルト,あるいは来るべきベートーヴェンとつながりがない)イタリアバロックの続きという要素も大きい,などなどの理由により,イタリアバロックの残り火のような扱いになってしまっているのかもしれませんね。
現段階ではまだそれほど研究が進んでいないのだろうと思いますが,今後進展すれば音楽史上の立ち位置ももう少しはっきりするかもしれません。
ビルスマさんに期待!(笑)
回答ありがとうございます。
ボッケリーニのスターバトマーテル。これ、二種類ありますね。
ソプラノ独唱用の初稿版とソプラノ、アルト、テナー用に拡張された改訂版。
手持ちをあさってみたら、初稿版と改訂版抜粋が出てきました。
上で紹介されているCDは初稿版のようですが、確かにこれはどことはなく、バロックの声楽曲っぽく聞こえますね。
でも、改訂版のほうはやっぱり古典派のそれだという気はしました。
ただ、このへんは演奏者によって大きく変わるかもしれません。
ボッケリーニの研究、もっと進んで欲しいですね。
No.4
- 回答日時:
また来ました。
>ところで、「Fayard社の西洋音楽の歴史」のほうは、本当にボッケリーニについての記述なんでしょうか?
そうなんです!
ちゃんと生年と没年の記述もあります(1743-1805)。
この章では圧倒的な若さです(次点がピエール・ドメニコ・パラディージで1707~1791)。
「来たるべき」はちょっと私の意訳(誤訳?)で「じきに『古典派』となるシェーマ」と訳した方が忠実でした。ごめんなさい!(それにしてもヘンだという気はしますが、イタリアではこんな感じだったのでしょうか???古典派の風が吹くのが遅かったとか?????)
ちなみにこの古典派のシェーマとは、「いくつかの楽器による会話」だそうですから室内楽を指しているようです。
私はギター五重奏曲が好きなのですが、ギターのある室内楽自体が珍しいので「古典派より前だよ!」と言われてしまうと素直に納得してしまいそうで日和見な自分が情けないです。
やっぱりボッケリーニですか。
イタリアはずいぶん遅くまでバロックだったんでしょうか?
それらしいことを、聞いたことはないですが。
私もギター五重奏曲は好きですよ。
でも、録音自体なかなかないですよね。
No.2
- 回答日時:
道楽でチェロを弾いています。
ボクの素人感覚ですと、バロックの特徴は、メロディラインよりも、多声的で音程の上下動が複雑な音型を持った音楽であるという感覚があります。
それに対して、古典派ではメロディがバロックよりも重視されます。
そういう観点から言えば、ヴィヴァルディのコンチェルトは明らかにバロックコンチェルトであり、ボッケリーニのチェロコンチェルトは古典派のコンチェルトです。
また、チェロ2本の弦楽五重奏にしても、むしろ古典派的な特徴を備えていると思います。
ただ、バッハ、ヘンデルといった様式の完成者というほどの位置づけがなく、音楽的な重要度も同時代のハイドン、モーツアルトに比べて数段劣るために、前時代の音楽に含まれてしまったのかもしれません。
というか、音楽の流れは古典派ですが、同時代に大物が多すぎて、並列させるわけにはいかなかった。で、バロックに放り込まれた。
言いすぎか!?(笑)
素晴らしいコンチェルトを残してくれたチェロの大先達に深謝。m(__)m
どうもありがとうございます。
ハイドン、モーツアルトの影には隠れてしまうが、そのまま捨ててしまうには惜しすぎる・・・ってことでバロックなんでしょうか。
音楽的にも明らかにバロックじゃないとは思うんですが、
不思議とバロックといわれても違和感がないというかなんと言うか。
弦楽五重奏なんかでもモーツアルトと比べると旋律を束ねて作った感じがするので、
そのせいかもしれないと思ってみたり。
No.1
- 回答日時:
同時代の人でも作品の様式でバロックに分類されたり古典派に分類されたりしています。
ボッケリーニが多くの作品を残している弦楽五重奏曲は,形式としては,やはり古典派ではないかと思います。
ボッケリーニはバロックの作曲家…というのは私は聞きませんが,古典派の作曲家としても影が薄いです。
名前に関しては知名度は高いですが,他の古典派を代表する作曲家に比べると存在感が小さいです。
バロック扱いされているなら,
古典派というと,ハイドン,モーツァルト,ベートーヴェンがまず思い浮かびますが,
彼らはウィーンを中心に活躍したドイツ,オーストリア系であるのに対し,
ボッケリーニもウィーンで活躍していますが,イタリア人であることが,
イメージとして古典派と結び付かず,古典派作曲家としての存在感も小さいので,
ヴィヴァルディなどと混同されているのではないかと(想像ですが)思います。
この回答への補足
どうもありがとうございます。
たとえばですね、ちょっとぐぐっただけでも
シンプリー・バロック
http://www.amazon.co.jp/dp/B0002ZF08U
パッヘルベルのカノン/イ・ムジチ~バロック名曲集
http://www.amazon.co.jp/dp/B0009N2VL4
バロック名曲集
http://music.jeugia.co.jp/details/1048388-997601 …
パッヘルベルのカノン~バロック名曲集
http://item.rakuten.co.jp/book/3792464/
極上のクラシック4 バロックBEST
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0001BU …
といったCDに堂々と収録されていたりします。
再発売になった古楽レーベルのハルモニア・ムンディ50周年記念ボックスにも、1枚ボッケリーニが入っています。
バロックよりあとだと、グルックとボッケリーニだけ。
ほかに、CD屋でバロックの棚に置かれていたとか、FMのバロック番組の常連だとか。
いまだとバロックの森では、
2008年5月21日(水) ご案内:赤塚健太郎
(副題:スペインとバロック音楽(3)―ボッケリーニの音楽)
2008年5月23日(金) ご案内:赤塚健太郎
(副題:スペインとバロック音楽(5)―バロック時代のギター音楽)
http://www.nhk.or.jp/baroque/playlist/index.html
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