
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「斧(よき)、琴(こと)、菊(きく)=良き事を聞く」と言う言葉の由来は、三代目尾上菊五郎が愛用した「語呂合わせ紋様」から来ていると思われます。
↓http://www.viva-edo.com/komon/komon_kabuki.html
一種の「験(げん)かつぎ」と言うか、だじゃれでこしらえた「縁起物」と解釈すべきでしょう。
原作での説明では↓「もとは那須神社の三種の神器。那須神社の神官野々宮大弐がその言葉を考え出して守り言葉とし、黄金製の斧・琴・菊を作って神器にした、それを佐兵衛に贈った」とありますが、前述の尾上菊五郎の事にも触れていますから、おそらく発想の原点はそこにあると考えて良いと思います。
http://www.bestlife.ne.jp/hobby/monogatari/06.html
ただし、「犬神家の一族」における「三種の神器」と言うのは、あくまでも「本来おめでたいはずの縁起物」が「見立て殺人」に転用されたと言うギャップの面白さを出すための設定に過ぎず、それ自体に深い意味があるわけではありません。
もともと横溝正史は「見立て殺人」の発想を日本でもやってみたいと考えたのですが、日本には英国のマザー・グース「コック・ロビン(誰がコック・ロビンを殺したか?)」↓などのように、トリックに転用できそうで、なおかつ大衆によく知られた童謡がなかったため、作品ごとに「俳句」だの、創作「伝承唄」などを考えざるを得なかったようで、毎回相当苦心していたようです。
http://blog.hix05.com/blog/2008/06/_cock_robin.h …
「よき、こと、きく」も、そうしたトリックの為に、いわば「半ば強引にひねり出した発想」だったのでしょうが、正史が歌舞伎にも造詣が深かった事は、金田一シリーズにもいろいろ現れているようです。↓
http://www.yokomizo.to/library/kkbook5.htm
ありがとうございます。よくわかりました。
まず、尾上菊五郎が語呂合わせで紋様を作り(これは現実なわけですが)、それを引用する形で那須神社の神官野々宮大弐が黄金の家法を製作した。だから物語の中で「良い事を聞く」の語呂合わせがあるわけではない。それから、神器というのは私は現実に日本の古代史なんかにあることかと勝手に思っていたのですが、劇中で野々宮という神官が作成したから神器だったわけですね。マザーグースのくだりはなるほどと思わされました。「見立て殺人」という言葉は初めて聞きましたが「そして誰もいなくなった」「セブン」などもやっているあれですよね。松田優作の「野獣死すべし」でも、「リップ・ヴァン・ウィンクル」を引用して近い事をやっていました。
実は、さらに質問があるのですが、(以下重大なネタバレアリ)
1.最終段階でわかることですが、静馬が松子をかばい自分が身代わりになろうとしたのはどういう理由からですか?。
2.遺言の内容ですが、佐兵衛は、第二案として、静馬に最大分与が行われる案を提示しています(3人の孫が1/5ずつで静馬は残りの2/5)。しかし、第一案では、珠世に最大に有利な提案がなされる(3人の誰かと結婚すれば全財産が珠世夫婦に。)も、静馬はゼロです。第一案と第二案で、静馬への分与がオールオアナッシングなのは佐兵衛の心中はいかに?。(つまり第一案でも静馬に分与がなされてもよさそうという意味です)
3.静馬と佐清は入れ替わっていたわけですが、つまり本当は静馬があおい輝彦なわけですが、本当の佐清の方には配役はなかったのでしょうか?。或いは、最後まで顔が出なかったのでしょうか?。確か回想シーンで、静馬と佐清が戦場で入れ替わる約束をするシーンがあったような気がしますが、そこで顔は出なかった?。
4.野々宮大弐は、佐兵衛の恩人との設定ですが、具体的にはどういうエピソードを持って恩人なのでしょうか?。
No.5
- 回答日時:
>1.静馬と佐清は裏で契約をしているわけです~
最初の松子夫人の殺人を二人は目撃している為、佐清(あおい輝彦)は、静馬に脅迫されて言いなりになっていました。佐清は母を庇う為、止む無く静馬に従うしかなかった、と映画版でも金田一幸助が解説しています。即ち、静間は佐清に母の殺人を黙っておいて欲しければ自分の言う通りにしろ、という取引です。
映画版で、静馬は、松子夫人に自分の正体を明かす時に、自分の目的を犬神家への復讐だった、と語っています。珠代と結婚し犬神家をのっとり、しかも実際にはその為の二人の殺害を松子夫人がやってしまったので、生涯に渡り松子夫人も佐清も自分の言いなりに出来るという完璧な復讐を目論んでいたのだと思います。
>2.~「斧」はどのように~
スケキヨが逆さまになって湖に体半分沈められている状態が、ヨキ(斧)の見立てです。(ヨ・キ・ケ・スの前半分です。ちょっと苦しい見立てという感は否めませんが)
ありがとうございます。
そうでしたか、佐清は脅迫されていたのですね。ということは、(そもそも何も覚えてなくて申し訳なくなってきたのですが、)整理するとどういう意図の殺人が順に行われたのでしょうか。
1.佐清と珠世を結婚させたい松子がそのライバルである佐武を菊人形に見立てて殺す(しかし、この時点で佐清と珠世は両想いなのにどうして殺人をする必要があるのでしょうか)。
2.静馬が佐智を琴に見立てて殺す。
3.松子もしくは佐清が静馬を殺す(しかし、みんな佐清と思っている)。
であってますでしょうか?。
スケキヨが逆さになってるからヨキだったのですか!?。それはびっくりです。
No.3
- 回答日時:
原作でも、金田一が古館弁護士との会話で、「なるほど、それじゃ斧琴菊という言葉、ならびにそのミニチュアに関しては、格別の子細はないわけですね。
」と答えていますから、やはり「良き事を聞く」と言う言葉自体に特別の含みはないようです。最初は那須神社の「三種の神器」だったものを、事業を始める際、前途を祝して贈られた犬神佐兵衛が、代々犬神家に伝える「三種の家宝」にしたわけです。
ですから、犬神家の関係者は、原作でも映画版でも「斧、琴、菊」を「三種の家宝」と呼んでいます。
※以下、ミステリのネタバレになりますので、未見の方は御注意下さい!
>1.最終段階でわかることですが、静馬が松子をかばい自分が身代わりになろうとしたのはどういう理由からですか?。
最後、警察に自ら犯人として自首するのは青沼静馬ではありません。
やけどをしていない助清です。
顔にやけどを負った青沼静馬(ゴムマスクの男)は、「助清」として、湖で逆さに突っ込まれ殺害されています。
本当の助清(復員風の男)が自首したのは、もちろん、母親松子をかばうためです。
>2.遺言の内容ですが、佐兵衛は、第二案として、静馬に最大分与が行われる案を提示しています(3人の孫が1/5ずつで静馬は残りの2/5)。しかし、第一案では、珠世に最大に有利な提案がなされる(3人の誰かと結婚すれば全財産が珠世夫婦に。)も、静馬はゼロです。第一案と第二案で、静馬への分与がオールオアナッシングなのは佐兵衛の心中はいかに?。(つまり第一案でも静馬に分与がなされてもよさそうという意味です)
映画の方ではこの辺曖昧なのですが、原作では松子、梅子、竹子の三姉妹が、佐兵衛が一番遺産を遺したい珠世に危害を加えないようにするための「防備」として「静馬」の名前を出したに違いない…と後半説明しています。
つまり、静馬が遺産の分け前をあずかれるのは、珠世が死ぬか、珠世が三姉妹の息子達との結婚を嫌って、相続権を放棄した場合のみと記されているので、静馬とその母親青沼菊乃を心底憎んでいる三姉妹は、彼等母子に遺産を渡さぬためには、どうしても珠世を生かしておかねばならない(つまり、三姉妹には第一案を死守する以外に方法がない)ように、佐兵衛がしむけたのです。
佐兵衛には、心底、青沼静馬に遺産を渡そうなどと言う気持ちは、最初からなかったのかも知れません。
>3.静馬と佐清は入れ替わっていたわけですが、つまり本当は静馬があおい輝彦なわけですが、本当の佐清の方には配役はなかったのでしょうか?。或いは、最後まで顔が出なかったのでしょうか?。確か回想シーンで、静馬と佐清が戦場で入れ替わる約束をするシーンがあったような気がしますが、そこで顔は出なかった?。
顔にやけどを負いゴムマスクをつけた偽の助清(実は青沼静馬)も、マフラーで顔を隠し、湖の近くの旅館に泊まった復員姿の助清も、両方とも1976年版ではあおい輝彦、2006年版では共に尾上菊之助が演じています。
両名は瓜二つと言う設定ですから、映画で二人が会うシーンでは、確か、片方をスタントが後ろ姿で演じていたはずです。
>4.野々宮大弐は、佐兵衛の恩人との設定ですが、具体的にはどういうエピソードを持って恩人なのでしょうか?。
孤児で17の時に信州那須湖畔に流れ着いた、ぼろぼろの状態だった犬神佐兵衛に教育を受けさせ、大人になった佐兵衛が事業を始めてからも資本提供等をしてやり、一流会社に育つまでのいわばスポンサーになった人物です。
この回答への補足
度々すみません。またわからないところがありました。
1.静馬と佐清は裏で契約をしているわけですが、その内容はどのようなものでしょうか。佐清からすると単純に珠世と結婚すれば最大のメリットを得られるわけですが、静馬と結託して殺人劇に介入する意味はなんでしょうか?。
2.佐清は湖で逆さになって殺されますが、「斧」はどのように関わっているのでしょうか?。
ありがとうございます。すごくよくわかりました。
最初は神社のものだったのを寄贈したわけですね。佐兵衛のために作ったわけではない。
佐清と静馬の顛末は勘違いしていました。つまり、戦争で負傷したのは静馬であり、彼が佐清になりすまして犬神家にやってきた。那須神社の指紋鑑定の時だけ、佐清と入れ替わったが、湖にて殺されたのは静馬だったわけで、だから死体の指紋と那須神社の指紋があわなかった。というわけですね。生き残ったのは顔を負傷していない佐清であり、彼が実の母をかばった。
それから遺言状の真意についてですが、これも教えていただいてなるほどと思わされましたが、佐兵衛は、カムフラージュとして静馬を出したのですね。実は、選択肢を与えているようで、佐清を好いている珠世の利益だけを考えた遺言なわけですね。そして、争いが起こることも予想され、その争いの中、珠世は必ず生き残る算段になっている。
静馬と佐清が瓜二つという設定だったとは知りませんでした。
大弐は教育者にしてスポンサーだったのですね。
佐兵衛は、物語が始まった時点で既に死人であり、ルーツを辿ると、これまた、どこから来たかわからない風来坊だったとわかり、結局、これだけの大騒動を巻き起こしながら、その存在がルーツもわからず、現存もしないところが亡霊のようで、そういう存在しないもににふりまわされるという構成が実にいいですね。
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