
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
つぎのようなものをまだ見ておられなければ一度手にとってみることをおすすめします。
蓮實さんと同系統の論者の考え方の大半がわかるとおもいます。より詳しい文献も紹介されています。◆読むための理論 小森陽一他著 1991 \2,500 世織書房
◆ワードマップ 文学理論のプラクティス 土田知則・青柳悦子 著 2001 \2,400 新曜社
◆ワードマップ 現代文学理論 土田知則・神郡悦子・伊藤直哉 著 1996 \2,400 新曜社
この回答へのお礼
お礼日時:2004/01/21 20:38
回答、有難うございました。ワードマップの二冊は読んだことがありますが、出来るならもう少し範囲を絞りたいのです。この二冊には文学理論の多くのキーワードが提示されていますが、その中の特にどれが蓮実先生と直結してくるのかがいまいち分からないままでして。
No.3
- 回答日時:
#2です。
補足を。
どうしてもわからない、ちっとも先へ進まない、というのだったら、まず『小説から遠く離れて』(河出文庫)から読んでみてください。こちらの方が、ずっと読みやすいはずです。
この評論では具体的な小説、村上春樹や井上ひさし、丸谷才一の作品を、「物語」「説話論的」など、いくつかのタームから読み解いてあります。こうした概念を、作品を読み解いていくプロセスに沿って、漠然とではあっても、“ああ、ここらへんのことを言っているのだな”と理解することができれば、『物語批判序説』も、その概念に引きずられて、なんとか理解していけるかと思います。
No.2
- 回答日時:
これ一冊読めば、蓮實重彦がわかる、という本があるなら、私もほしいです(笑)。
ドゥルーズやバルト、フーコーの影響を受けたといっても「ネタ元」などという性格とはほど遠いものであるし、ポスト構造主義の流れにいる、と雑に言ってしまっていいのかぁ?という疑問もあります。
それほどまでに、蓮實重彦は蓮實重彦でしかない、際立った存在であると思います。
ご質問の『物語批判序説』、こんなふうに始まりますね。
「それを博学と呼ぶには彼の知識はあまりに貧弱であったし、ましてや言語学的な卓見を誇りうるほど事情に通じていたわけでもないのに、一人の男が、あるとき、不意に辞典の編纂という途方もない計画を思い立ち、知人や親しい仲間たちに向かって、その高層をぽつりぽつりと洩らしはじめる」
この男がギュスターヴ・フローベールであることが明かされるのは、なんと文庫本で23ページ目です。
そうして、なぜそのような書かれ方がなされているのか、言い換えれば、そうすることの蓮實の戦略が徐々にあきらかにされていきます。
「だが、(注:フローベールのことを)知っているとはどういうことなのか。ほとんどの場合、知っているとは、みずから説話論的な磁場に身を置き、そこで一つの物語を語ってみせる能力の同義語と思われている。フローベールとは、十九世紀フランスの小説家で、『感情教育』などの客観的な長編小説を書いた、というのがそうした物語である。(略)そんな物語の一つをつぶやくとき、人は、そこで主題となっているものを知っていると思う。知は物語によって顕在化し、また物語は知によって保証されもするわけだ」(p.24)
フローベールのことを“知っている”ような気になって、他人がすでに語った言葉を自分の言葉と錯覚して物語る、だれもがそうした“知っている”ことだけを語り合うような場が説話論的な磁場なのです。
「説話論的な磁場の保護から出て、誰もがごく自然に口にする物語を、その説話論的な構造にそって崩壊させるというのが、彼の倒錯的な戦略であったはずだ」(p.25)
この部分の「彼」はフローベールのことですが、この戦略にもとづいて同様にバルトも説話論的な磁場の崩壊を試みる、というより、フローベールやバルトを通して、蓮實はそのことを試みていくのです。
これが『物語批判序説』のごく大雑把なアウトラインであることが、こうやって冒頭であきらかにされていきます。
「いったい何を言っているのか」と結論を求めるのではなく、論理の進め方を丁寧にたどり、読み進んでいく以外に、蓮實重彦の批評の読み方はないと思います。
がんばって読み進んでいってください。
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