
高校物理の教科書で疑問点があり、質問させていただきます。
ラザフォードの原子モデルの問題点について記述がありました。
「電子が原子核のまわりを円運動すれば電磁波を放出してエネルギーを失う。」
教科書ではX管によるX線の発生原理や交流電源による電磁波の発生については
習いましたが、円運動する電子が電磁波を出すことは習っておりません。
なのに、いきなりこんなことを言われても…と思ってしまします。
自分なりにいろいろ考えてみましたが、エネルギー保存則を考えてみますと、
0.5mv^2+hν=一定 が成り立つとすると、この速さvはスカラー量ですから
等速円運動をする場合は速さ=一定となり、電磁波が発生することに矛盾して
しまいます。
この点どのように考えればいいでしょうか?よろしくお願いいたします。
No.9ベストアンサー
- 回答日時:
>この速さvはスカラー量ですから等速円運動をする場合は速さ=一定となり、電磁波が発生することに矛盾してしまいます。
速さはスカラーですが、速度はベクトルです。方向を変えると、スカラーとしての速さに変化がなくても、加速度運動になります。なお、運動エネルギーの2乗は正確にはスカラーとしての速さの2乗ではなく、同じベクトルの内積ですが、内積はスカラーとなるため、方向は無関係になります。しかし、お考えのように、
>エネルギー保存則を考えてみますと、0.5mv^2+hν=一定 が成り立つとすると
ということになります。これは、電磁気力が電荷の間に働くという考え方(遠隔作用説)からすれば、そうなりそうです。しかし、遠隔作用説の電磁気学では電磁波の解は出て来ません。
電磁気学の基本的な方程式として、マクスウェルの方程式がありますね。微分方程式の形で書かれていますが、電荷がその周りに電磁気的な場を作るという考え方(近接作用説)をするため、そのような形式で書かれています。
近接作用説では遠隔作用説で説明不能の問題が解決されます。電荷の運動量、運動エネルギーについて、遠隔作用説では説明不能の不足分が出るのです。近接作用説では、その不足分が「電荷の周囲の電磁場も運動量、運動エネルギーを持つ」と出て来ます。
そのため、電磁気学は原則として近接作用説で考えます。遠隔作用説で説明することも多いですが、問題の出ない範囲に限定しなければなりません。お考えの「0.5mv^2+hν=一定」というのは、電荷だけに注目した、つまり遠隔作用説の式です。エネルギー保存則を考えるなら、電荷の周りの電磁場が欠けています。
遠隔作用説の電磁気学の式では電磁波の解は出てこないのですから、電磁波の解が出てくる近接作用説の電磁気学の式で考える必要があります。そして、電磁波は電荷の加速度運動で出るというのは分かりやすい説明ですが、不正確です。電磁波は電磁場の加速度運動から出て来るのです。電磁波の解の導出は例えば、
http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/lectures/G …
で説明されているように出します。上記ページでは「変位電流」ということを前提としています。真っ直ぐな導線を流れる定常電流ではないわけです。電流が流れる導線が真っ直ぐでない、例えば円形電流でも電磁波は出ます。円運動は加速度運動(例えば遠心力を生じますから、慣性運動ではないですね)だから、電磁波は出るのです。
しかし、導線をコイル状にした電磁石に直流電流を流して、電磁波を観測するということはありません。それは、導線中の電子の速さが極めて遅いからです。時速3センチくらいでしかありません。そこまで遅いため、加速度が極めて小さく、観測できるほどの電磁波が出てこないのです。
CERNなどの素粒子実験器はリング状のパイプの中で電子や陽子を加速し、光速度に非常に近い速度を得ます。そこまで速いと明らかに電磁波が出ます。速さの変化でも電磁波は出ますが、円運動という加速度運動のせいでも出ます。
それらの電子や陽子から出てくる電磁波はエネルギーがあるわけですから、どこかからエネルギー供給されているはずです。その電磁波のエネルギーは、電子や陽子の運動エネルギーを奪って、出てきたものです。さらにその先を考えると、電子や陽子を加速しているエネルギーが電磁波として出て行ってしまうわけですね。
そのエネルギーロスのため、リング状の加速器では限界に達しつつあります。加速で与えら得るエネルギーが全部電磁波となって出て行ってしまい、加速できないという状態になります。そのため、直線状で素粒子を加速するリニアコライダーの建造計画が持ち上がっているわけです。電子や陽子をもっと加速できないと、実験できないことがあるからです。
原子のラザフォードモデルに立ち返りますと、電子より陽子のほうがはるかに重いため、電子が陽子の周りを回っているとしてよいです。しかし原子のサイズを考えると電子は陽子に極めて接近しており、電子に働く電磁気力は非常に強いとせざるを得ません。
だとすると、電子が陽子の周りを公転する遠心力でバランスを保っているとして、その公転速度は非常に速いものになります。円運動は加速度運動ですから、明らかに電磁波が観測できるほどの公転速度です(大雑把には、公転直径を直線状に行き来していると考えてもよい)。
原子は素粒子加速器のように、外からエネルギーを供給されてはいません。そうなると、陽子の周りを回る電子の運動エネルギーと位置エネルギーから電磁波は出て来ざるを得ません。そうなると、電子は陽子に落ち込んでしまうはずです。
しかし、原子は安定して存在しているし、電磁波も出したりはしていません。それなら、電子が原子の周りを公転しているという考え方がおかしいわけです。それを解決するため、電子は公転ではなく陽子の周りの波動と考えるようになり、さらに量子力学へと発展していきます。
No.8
- 回答日時:
ラザフォードの原子模型だと、電子の軌道を横から見ると、単振動に見えるはずです。
★円運動は等加速度運動であって、等速度運動ではない!!
加速度運動をすると、電磁波を発生する。
エネルギーを失う
電子は落下する。
電子は原子核の周囲を円運動しているわけではない!!
ここまでです。
この矛盾に解決は、ニールス・ボーア( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%BC% … )が、マックス・プランク( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83% … )の量子論を原子模型に適用するまで待たないと・・
No.7
- 回答日時:
>等速円運動をする場合は速さ=一定となり、電磁波が発生することに矛盾してしまいます。
物理でいう速度とは方向を含むベクトル量なのです。
方向が変化する運動は、全てが加速度運動です。
>高速の電子が磁場などで曲がるときに電磁波が発生する?ということを
示す実験などを載せてくれれば理解できるのですが、そういう実験はあるのでしょうか?
電子レンジではマグネトロンで電磁波を発生しています。
マグネトロンの内部では電子を円運動させることで電磁波を発生させています。
こちらを参考に
http://www.tdk.co.jp/techmag/ninja/daa52000.htm
http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/intercom …
No.6
- 回答日時:
No.2です。
相対論的効果を用いてますが、理化学研究所の施設であるSpring-8は光速に近い速度まで加速した粒子を円運動させることでX線を放射させています。
これを応用して研究がなされるなど、実用化がされています。
http://www.spring8.or.jp/ja/
http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/whats_sr/ge …
No.5
- 回答日時:
これは大変難しい問題です。
結論だけ言えば、加速度運動する荷電粒子は電磁波を放出するということで、実験的には間違いのないことです。たとえば、SPRING8のような放射光施設がちゃんと稼働してることからも疑う余地はありません。http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/whats_sr/ge …
X線の発生原理のうち、連続エックス線についてはターゲット金属にぶつかったときに急速に減速することが電磁波(この場合はX線)発生の原因で、制動輻射と呼ばれています。
しかし、これの定性的な説明はたぶん簡単ではない。というか、見たことがありません。あるのかもしれなあですが。
計算すればそうなることを示せますが、それは、今ではたぶん学部レベルではやらない難しい計算になります。
ということなので、高校レベルでは、加速度運動する荷電粒子は電磁波を放出するのは実験事実であるとして飲み込んでおくのが無難かと思います。
No.4
- 回答日時:
#1のお答は「分かっているのか、分かって居ないのか分からない」不思議な議論です。
多分全く分かっていない。
そもそも、
>現実には原子核の周囲を回る電子は電磁波も放射せず、原子核に落ち込むことなく運動を続けています。
という古典論を引きずり出したのは一体なぜだろう。
確かに電子は飛び飛びのエネルギー値しかとれないが、それだけ取って付けてどうする。
そして、ボーアモデルならこの古典論は避けられるがごとき議論ははっきりおかしい。
ボーアは古典論的量子論にたどり着きはしたが、理由を説明は出来なかった。
つまり全く分からなかったのだ。
古典的量子論(古典「論」的量子論と異なる事に注意)が確立されて初めて、電子は原子核の回りなど「回っていない」ことになった。
なぜ古典的量子論という言葉を使うかというと、現在の量子論は「場の量子論」に拡張され、特殊相対論を飲み込んでしまったからだ。
E MANの物理、をお薦めします。
http://homepage2.nifty.com/eman/
参考URL:http://homepage2.nifty.com/eman/
No.3
- 回答日時:
>ラザフォードの原子モデルの問題点について記述
「問題点」つまり「何か間違いがあるかも知れない点」について記述されているのですよ。
>円運動する電子が電磁波を出すことは習っておりません。
「ラザフォードの原子モデルは、どうやら間違いであるらしい」、つまり、「問題点がありますよ」って教科書に書いてあるんだから、間違った内容を教える訳がありません。
つまり「そんなのは永久に習わない」です。だから「習ってないのが当たり前」です。
>自分なりにいろいろ考えてみましたが
「間違ったモデル」を色々考えても無意味。どんなに考えても矛盾しか出てこないよ。
>この点どのように考えればいいでしょうか?
「教科書には正しい事だけが書いてあるとは限らず、間違った事が書いてある場合もあって、それがどうして間違いと判明したのかが書いてある事もある」と考えましょう。
貴方の「問題点」は「問題点と言う単語をスルーしちゃった」と言う点です。
ありがとうございます。
電子が加速する際に電磁波が発生するというのであれば、それを確かめる
実験を示すべきかと思いますが、教科書にはそれが全くない…
その実験をご存知でしたら教えていただけますでしょうか。
No.2
- 回答日時:
>「電子が原子核のまわりを円運動すれば電磁波を放出してエネルギーを失う。
」これは間違いではないが、読み手のレベルにより誤解を生む可能性のある記述であることは確か。
「加速度運動をする荷電粒子」ついては電磁波を放出することが電磁気学とある程度の大学数学を習得するとわかります。
円運動する物質は中心方向に加速度を持つ(これは高校数学の数学IIIあたりで習うはず)ので、「円運動」は「加速度運動」になります。
納得しようとすると↓のような勉強をしないといけない。
http://www.astr.tohoku.ac.jp/~chinone/pdf/Larmor …
ありがとうございます。等速円運動の場合は中心方向に加速度が発生することは
学習しており、その加速度は高校数学の微積の範囲で求められます。
つまりこういう理解でよろしいでしょうか?
高速の電子を磁場などで曲げるときに電磁波が発生する?ので
ラザフォードの模型に矛盾が指摘された。
ただ、高校物理の範囲では電子が磁場などで曲げられるときに電磁波が
発生するような実験などを示しておりません。X線管で極板にぶつかる電子が
減速する際にX線が発生する、みたいな記述は参考書に若干ありますが…。
高速の電子が磁場などで曲がるときに電磁波が発生する?ということを
示す実験などを載せてくれれば理解できるのですが、そういう実験はあるのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
ラザフォードの原子模型の破たん
ラザフォードの原子模型の場合、原子核の周りを回転する電子は、電磁波を発生してエネルギーを放出し、やがては原子核に落ち込んでしまいます。
ボーアの条件が提唱される前の古典電磁気学の法則としての、「電子が原子核のまわりを円運動すれば電磁波を放出してエネルギーを失う。」は間違いです。
現実には原子核の周囲を回る電子は電磁波も放射せず、原子核に落ち込むことなく運動を続けています。
電子が別の軌道に移るときは、エネルギー準位の差と同じエネルギーを与えられるか放出しなければならない。
すみません。ちょっとよくわからないのですが、次のことは何故そう言えるのでしょうか?
>ラザフォードの原子模型の場合、原子核の周りを回転する電子は、電磁波を発生してエネルギーを放出し、やがては原子核に落ち込んでしまいます。
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