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ピアノ曲をハープ用にアレンジされているCDがありますが、ピアノ曲をハープ曲にする際に、移調以外ではどのようなアレンジがなされている事が多いでしょうか?

A 回答 (1件)

前の質問の回答にも書いたように、ハープは1オクターブ内に、


「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7本の弦しかありません。
それぞれの弦は、2段階のペダルで♭→♮→#と音高を変えられるようになっています。
したがって、ハープのために編曲する場合にまず問題になるのがペダリングです。
曲そのもののアレンジよりも、まずこのペダリングをどうするかが最大の課題です。

ペダルは、楽器の左側に3本(レドシの弦に対応)、右側に4本(ラソファミの弦に対応)あり、
隣接したペダルは1本の足で操作することも可能なので、
理論的には最大で4本の弦の音の高さを同時に変えることは出来ますが、
ペダルの踏み替えはなるべく少なくしなければなりません。
そのため、音の変化が複雑な場合、ピアノの楽譜に書いてある音を
異名同音で読み替えていかなければならないケースがたくさんあります。

たとえば、ピアノの楽譜で「ド」の音符であっても、
ハープでは「ド」の弦は使わずに「シ」の弦を半音上げて、
「ド」と同じ高さの「シ#」に変えて弾かなければならないようなことがよく起こります。
転調が頻繁に起きる個所では、先の方まで読んだ上で、
全体としてペダルの踏み替えの頻度ができるだけ少なく済ませるため、
「ミ」の音はすべて「ファ♭」として弾いたり、
逆に「ファ#→ソ→ラ♭」という3音の連続を、
すべて1本の弦をペダルで変えて「ソ♭→ソ♮→ソ#」と弾いた方が
ほかの弦の音を変えずに済む場合など、さまざまなケースがあります。

同じ音の急速な反復なども、ピアノでは一つの鍵盤を連打しますが、
ハープでは2本の弦の音高を同じにして交互に弾いた方がよいため、
「ドドドドドド」の代わりに「ドシ#ドシ#ドシ#」と弾くか、
それができない場合は同音反復をあきらめてオクターブ上下しながらの反復に変えます。

また半音階は、それほど速いテンポでなければ
ペダルを踏み替え続けることである程度演奏可能ですが、
短い音符で連続する半音階は演奏不可能です。
半音階がその性格を決めるような曲、
たとえばリムスキー=コルサコフの『熊蜂の飛行』などは、
最初から編曲をあきらめるしかありませんが、
半音階がわずかに出てくる曲をどうしてもハープで弾きたいとなった場合は、
半音階のパッセージの部分だけ半音を使わない形に新たに作り直さなければなりません。
(譜例 ショパン『幻想即興曲』)

それから、これも前の質問の回答中に書きましたが、
ハープの演奏には4本の指しか使いません。
片手で5音から成る和音を弾くのは原則として不可能です。
(隣接する弦を、1本の指を滑らせることでアルペッジョのように演奏することは可能)
また、和音ではなく分散和音の形でも、5本の指を使うことが前提として書かれている
ピアノ曲中のパッセージの中には、ハープでは演奏困難な場合があるので、
いくつかの音を省略するか、別の音型に書き換えるかなどの処理が必要になります。
(譜例 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第14番『月光』)

基本的には以上で、それらの問題が解決されればピアノの原曲を大きく変える必要はありません。
ただ、ハープはピアノのように音量が出ないため、
可能ならばハープ特有の奏法であるグリッサンドを使って効果を上げることも考慮されます。
ほかにも、ハープの特殊奏法を使って音色の効果を出すなどの編曲はあるでしょう。

なお移調は、#系の調だとペダルを踏んで弦の音高を上げると張力が高くなるため、
弦が豊かに響く♭系の調が好まれます。
「ハープ用にアレンジされたピアノ曲。」の回答画像1
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この回答へのお礼

やはり原曲そのままというわけにはいかないのですね。移調だけでなく、細かい音の工夫もなされているんですね。幻想即興曲の音の形、原曲からかなり変わっていて驚きました。

お礼日時:2017/02/15 18:06

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