■「冷やしたご飯は太りにくい」って本当?
冷やしたご飯を食べるだけでダイエットできるならこんな楽なことはない。炊飯ジャーの保温スイッチを切れば、すぐにご飯は冷めるし、コンビニなどのお弁当だって温めなければよいのだ。本当にダイエット効果があるのだろうか。
「炊き立てよりも冷やご飯の方が太りにくいというのは本当です。ご飯にはデンプンが多く含まれています。デンプンは『糖質』なので、小腸で消化吸収されると血糖値が上がり、これが太る原因になるんです」(さくらさん)
確かにご飯は太るからと、食べる量をおさえている人が筆者のまわりにもいる。
「デンプンは冷えるとレジスタントスターチ(難消化性デンプン)に変化します。レジスタントスターチは消化されにくい形をしているため小腸で吸収されないまま大腸に届き、そのまま排出されます。これにより血糖値が上がりにくくなります」(さくらさん)
ご飯のデンプンは、冷えると消化されにくい性質に変化してしまうのだ。
「その他にもレジスタントスターチには食物繊維と同じような働きがあり、糖や脂質の吸収をおさえ、善玉菌のエサになって腸内環境を改善する効果も期待できます。ダイエットだけでなく便秘の解消にも役立ちます」(さくらさん)
それなら一石二鳥だ。しかしダイエットのためとはいえ、主食に冷やしたご飯が続くのはつらい気がする。
「レジスタントスターチは、豆類やいも類でも同様に摂取することができます」(さくらさん)
煮豆やポテトサラダなどがおすすめだという。他の食材でも同様の効果があるのはありがたい。
「ただし、ご飯を冷やしてもデンプンが全てレジスタントスターチに変わるわけではないので、食べ過ぎは要注意です。また、レンジスタントスターチは温め直すと再び元のデンプンに戻ってしまうので、再加熱もNGです」(さくらさん)
太りにくいからと食べ過ぎには気をつけたい。
■「ご飯は硬い方が太りにくい」って本当?
では「硬いご飯」はどうだろう。
「ご飯は硬い方が太りにくいというのも本当です。軟らかいご飯より硬いご飯の方が消化に時間がかかります。消化に時間がかかると、それだけ血糖値の上昇が緩やかになり太りにくくなるんです」(さくらさん)
こちらも血糖値の上昇を和らげることによって、ダイエット効果をもたらすのだ。
「また咀嚼回数が増えることも太りにくくなる理由です。しっかり噛むことで、咀嚼中枢や満腹中枢が刺激されて脳が『満腹状態だ』と判断します」(さくらさん)
軟らかいご飯を飲みこむように食べてしまうが、太る原因だったのだ。
■太りにくい食事にするためにはどうすればよい?
食事をする際のポイントも聞いてみた。
「食べる量を減らすというより食べた物を過剰に吸収させない食べ方を心がけます。食事の時は、代謝を上げるたんぱく質、血糖値の上昇を抑える食物繊維やお酢、糖質の代謝に必要なビタミンB群やミネラルを一緒にとることで太りにくくすることができます。たとえば白米よりもチャーハン。卵や焼き豚などのたんぱく質は代謝を上げ、油でコーティングされたご飯は血糖値の上昇を抑え満足感も持続します。ざるうどんやざるそばも、たんぱく質や脂質の多い天ぷらそばやとり天うどんのほうがおすすめです」(さくらさん)
炭水化物だけではなく、他の栄養素と一緒に上手にとることが大切だ。
「ペペロンチーノよりミートソースや魚貝のパスタ、軟らかいカルビより噛み応えのあるホルモン、牛丼より栄養バランスの優れた卵が入った親子丼がおすすめということになります。ラーメンはチャーシューや野菜を多めに乗せ、大豆を原料にした醤油や味噌ベースのスープがおすすめ。いずれにしても、具から口へ運び、ご飯や麺は後から食べましょう」(さくらさん)
普段何気なく食べている食事も、温度や硬さ、他の栄養素との組み合わせ、食べる順番を工夫することでダイエット効果があることが分かった。今後の食生活にぜひ活かしてほしい。
●専門家プロフィール:さくらはる子
薬膳アドバイザー・雑穀マイスター。病気をきっかけに毎日の食の大事さを痛感。元気にダイエットするための食事法などを発信している。