日本人が純文学をやたら特別視するのは何故ですか?
日本では芥川賞受賞者のような純文学者が直木賞受賞者などの大衆文学者よりも格上として扱われていることに疑いようは無いと思います。
しかしイギリスのブッカー賞などを見ていればわかるように、世界では純文学と大衆文学の境界など最初から存在しないのではありませんか?
作家としての創造性という意味では、具体的な体験を元に私小説みたいな物ばかり書く純文学作家よりも、空想によって0から物語を構築できる娯楽作家の方が圧倒的に優れていると感じます。実際、直木賞作家は継続的にヒットを飛ばし続ける売れっ子が多いのに対し、芥川賞作家の大半はあっという間に消えますよね。あれは純文学者は具体的な経験からしか物語を生み出せないのですぐにネタ切れを起こすからでしょう。
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
ご質問自体が変だと思う。
純文学雑誌は5つあるが、合計してもわずか3万数千部らしい。4誌は月刊で「文藝」は季刊で、月刊換算したとしてである。しかも、全国の公立図書館や大学図書館も買っているのだから、それらを差し引けば、日本人の数千人に一人しか純文学雑誌を買わないのだ。純文学は、書下ろし作品以外の場合、その5誌のどれかに載ることが多い。もはや、日本で純文学は「特別視」ではなく無視されている。
また、「世界では純文学と大衆文学の境界など最初から存在しない」とおっしゃるのも誤りだろう。たとえばノーベル文学賞は大衆文学では受賞しにくい。例としてよく挙げられるのが、フィリップ・ロスは受賞できなかったがトニ・モリスンは受賞したことである。アメリカ人たちも驚いていた(そもそもトニ・モリスンを知らなかった)。両者ともアメリカ文学の大家だが、前者のほうが圧倒的に売れている。
もっとも、スウェーデンのアカデミーは人を驚かせるのが好きで、ボブ・ディランも受賞した。しかし、我らが村上春樹はもらえないみたい。大衆文学的と思われているらしい。
それでも、「芥川賞作家の大半はあっという間に消えます」とおっしゃるのは当たっている。
再デビューさせるのに苦労するらしいですね、出版社は。小川洋子もそのパターンと思われる。芥川賞受賞後、いったん消えて、『博士の愛した数式』で再デビューを果たすまで大変だったみたいだ。今や大家となり、作品の一部は中学高校の教科書などにも載っている。一方、再デビューできないまま消えた人もいる。
ただし、「純文学者は具体的な経験からしか物語を生み出せない」とおっしゃるのは誤りだ。モデル小説という手があるじゃないですか。三島由紀夫もそれが得意だった。たとえば『青の時代』『金閣寺』『宴のあと』。
三島はお金のためにくだらない作品も量産した(のちにコロニアル様式の豪邸を建てた)。たとえば『幸福号出帆』(1955年)。しかし、同時期に書かれた『金閣寺』(1956年)は紛うことなき純文学である。
主人公の溝口(モデルは徒弟僧で放火犯の林承賢)には三島の個性が色濃く投影されている。溝口は哲学的に煩悶するのだが、林承賢はそんなにインテリじゃなかったようだ。
今思い出しましたが(だらだら長い回答でゴメン)、埴谷雄高(はにやゆたか)は「空想によって0から物語を構築」してますが、「娯楽作家」ではありません。『死靈』(しれい)は何十年もかけて断続的に書き継がれ、発表のたびに読書界の話題をさらいました。もっとも、篠田一士などは埴谷に好意的でしたが、いつまでも完結しないので、終いには「漫画なんだよな」と怒ってました……。
〔文学の森ダイジェスト〕平野啓一郎が読者の質問に答える——優れた小説のタイトル、純文学とは何か?(引用者注:平野啓一郎は芥川賞作家)
https://k-hirano.com/articles/bungakunomori_202203
〔引用開始〕
大衆文学と純文学と分けているのは日本だけ、という言い方も随分されましたが、必ずしもそうではないと思います。フランスのノワールとか、推理小説などのジャンルは、レーベルも分けられて、「純文学」とは区別されています。だから、そういう小説がノーベル賞をとることはまずないですし、海外のカフカ賞やゴンクール賞などは、日本で言ういわゆる純文学作品が受賞しています。ただ、ブッカー賞は、日本で言うなら直木賞的な作品も受賞しているようですし、
〔引用終り〕
No.2
- 回答日時:
日本人が純文学をやたら特別視するのは何故ですか?
↑
大衆文学が単なる娯楽であるのに
対し、
純文学は、芸術であり哲学だから。
そういう評価があるからだと
思います。
御指摘のように、文学にそんな区別が
本来的にあるのか、
あるとして、どうして娯楽より
芸術、哲学が上なのか
という疑問はあります。
No.1
- 回答日時:
日本で純文学が特別視される背景には、いくつかの要素が絡んでいます。
以下に考えられる要因をいくつか挙げますが、これらは一般的な傾向であり、すべての日本人に当てはまるわけではありません。文学の歴史と伝統: 日本は古くから豊かな文学の歴史を有しており、古典文学や日本独自の文学形式が発展してきました。これにより、日本文学は高い評価を受け、国民の共通の文化的背景となっています。
教育の影響: 学校教育においても、日本文学や古典文学が教えられることが一般的です。このような教育環境により、日本人は文学に対する関心や評価が高まる傾向があります。
評価基準の違い: 純文学と大衆文学の評価基準は異なる場合があります。純文学はより芸術的な要素や文学的な表現を重視する傾向があり、その評価は作品の形式や言語表現の洗練度に対して行われることが多いです。一方、大衆文学はエンターテイメント性や読者の需要を重視し、広く人々に受け入れられることが重要とされます。
これらの要素により、日本社会では純文学が一般的に特別視される傾向がありますが、それは必ずしも他の国や文化と同じとは限りません。文学の評価は主観的な要素も含まれるため、人々の好みや文化的な背景によっても異なる場合があります。また、純文学作家と大衆文学作家の間には作品やスタイルの違いがありますが、優劣を一概に比較することは難しいですし、それぞれの作品には独自の魅力があります。
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