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天皇や皇族ってあるけどよ
皇って何?白い王?成り立ちわかる人教えて

A 回答 (1件)

王と皇の違いですね。



王も皇も「支配者」または「統治者」としての権利と権力を持っていることでは同じです。

違いは、
王は《誰か・特に宗教的な権威者によって即位の許可をもらう》
皇は《誰の許しも得ずに、自分で即位の許可を出す》
というものです。

たとえばこの間代替わりしたイギリス国王の戴冠式は、イギリス国教会の大司教が「神の許しを得た」と宣言し、大司教の手で国王に冠をかぶせます。国王が自分で冠を被ることができないのです。

逆に「自分で冠を掴んで被った」ことで「皇帝誕生」とされたのが、ナポレオンです。

で、皇にはヨーロッパ式とそれ以外があります。
ヨーロッパの皇つまりエンペラーは、古代ローマに源流があります。古代ローマは共和国で多神教でした。

 なので王は居らず、政治の頂点には元老院が選んだ執政官、平民会議が選挙で選ぶ護民官・ローマの各民族が信仰する神々を首都ローマに祀っていたのでその神々の儀式を行う最高神祇官の3つの役職があったのですが、ユリウス・カエサルが《執政官の政治権力と軍事指揮権&護民官の拒否権(VETO)&最高神祇官の終身制》を一人に集めた「独裁権力」を考え付きます。

カエサルは暗殺されますが、カエサルの養子だったアウグストスがこれを実現し、初代皇帝になります。ドイツ皇帝のカイザーはカエサルのドイツ語読みです。

そしてローマは皇帝制でさらに発展しますが、キリスト教を国教にしたことで、皇帝と教皇という2つの権力ができ、その結果ローマは崩壊していきます。ドイツ皇帝は《我々はローマの流れをくむ皇帝の国》という認識なのです。

もう一つのやり方は、それ以外の国で行われた《政治権力と権威の集中による皇帝制》で、こちらも政治権力・軍事指揮権・宗教権威を一人の人間が持ったことは同じです。

中国の皇帝は始皇帝に始まりますが、それ以前の「王」は儒者から即位の許可をもらっていたのに、儒者の権力を下げようとした始皇帝は、先祖崇拝を儀式化することによって《私は先祖たちから即位の許可をもらった》と自分で即位の理由を述べたことによって「皇帝」となりました。

始皇帝以降、皇帝は中国の各地にいる実力者を「王」と認めることで、地域の権力を認め、その代わり皇帝に服従するように求めました。

やり方はヨーロッパと中国で違うものの《政治権力・軍事指揮権・宗教権威を一人の人間が持つ》のは同じだったので、皇帝=エンペラーと訳されるようになったのです。

ちなみにイギリス国王はインド皇帝を兼務していたことがありますが、キリスト教だったイギリスで、司祭の権威を否定する皇帝は存在していません。
(つまり「イギリス皇帝」では無かったのです)

で、これらの皇帝=エンペラーは、成立過程が違っても「さまざまな地域や民族、それに伴う各民族の権力をひとつにまとめること」は同じだったので、のちの西洋による植民地化を「帝国主義」とよぶようになったのです。

さて、ようやく天皇の話です。

上記に書いた条件《皇は、政治権力・軍事指揮権・宗教権威を一人の人間が持つ》のは天皇も同じです。

ただ、日本の場合は古代に権力集中が行われため、正確な理由は分かりません。大和朝廷が成立する頃には、各地の豪族たちが《天皇を皇として従う権力構造》ができていました。

また天皇は軍事指揮権をもっていたため、征夷大将軍を任命することができ、征夷大将軍は軍事政権を作ることができたので後に鎌倉幕府以降の武家政権につながります。
 ちなみに徳川は15代の将軍を輩出していますが、代替わりするたびに天皇から「征夷大将軍の任命」を受けています。

さらに、天皇は《自分で即位する》やり方です。5年前の今上陛下の即位も「大嘗祭」で《天皇自らが日本の神々に祈りを捧げ、即位の許しを得る》というやり方をしています。

つまり天皇も《政治権力・軍事指揮権・宗教権威を一人の人間が持つ》「皇
」であり「皇」の翻訳語がエンペラーなのです。

現在世界で《政治権力・軍事指揮権・宗教権威を一人の人間が持つ》やり方をしているのは日本だけです。だから今でも「世界で唯一のエンペラー」なのです。
 (天皇は戦後になってから軍事指揮権を持っていないように見えるかもしれませんが、内閣総理大臣を任命することで付託しています。征夷大将軍に政治権力と軍事指揮権を付託したのと同じです)

大日本帝国が植民地を持っていたからエンペラーと呼ばれた、というのは誤解です。
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