dポイントプレゼントキャンペーン実施中!

座席を色で分けたり、凸凹させたり、ポールをつけたり、床面に線を引いたり…
個人空間をさりげなく誘導するようなことは、いつごろから始まったのでしょうか?
そしてどういう人達が関わって設計されているのでしょうか?
知っている方、又は研究に携わっている方がいたら教えて下さい。

A 回答 (4件)

鉄道車両で座席の色分が最初に行なわれたのは、#1,#2さんの書かれた通り1979年に登場した201系の試作車からです。



201系の試作車は、それまでの103系が7人掛け座席の座面(腰を掛ける部分)と背もたれを4-3と分割していたのを3-1-3の3分割に変更し、それに加えて座面の色を3人部分がこげ茶色、中央の1人部分がオレンジ色として、それまでの青色系が標準だった国鉄通勤電車のカラースキームを打ち破った配色を採用して話題になりました。
1981年から登場した量産車では、コストダウンの為に座面・背もたれの分割は昔どおりの4-3に戻され、4人用座面の中央一人部分がオレンジ、他部分と3人用座面がこげ茶と「簡素化」されましたが、その後登場した203、205系にも同様の配色が採用されています。
ただ、#2さんが書かれたように、色が変わっているだけではあまり着席誘導の強制力はないようで、201系になったからといって定員着席が守られるようになったということはありませんでしたね。
なお、JR化後に201、203、205系の座席は配色変更が行なわれ、現在の緑色+背もたれ部分に一人分ずつの模様付きに変わっています。

201系から205系までの座面の内部構造は、103系までのばねを主体としたものと殆ど変わっていませんが、これが大きく変わったのが1985年登場の211系です。
211系もばねを使っている座面なのですが、主体が分厚いウレタン系素材になり、一人分ずつ緩い窪みを付けた形にすることで着席誘導を行なうようにしています(これはウレタン化したから可能になった)。
ただし、201系から採用された色分割は廃止され、「蘇芳(すおう)色」というワインレッド1色になっていて、色での着席誘導は後退したといってもいいかもしれません。
ちなみに、211系は近郊型3扉車なので、着席誘導の必要なロングシートは10人掛けで座面は4-3-4に分かれていました。
座ってみた感触は、座面の窪みが緩く、なおかつ座面のウレタンが柔らかいので(それゆえ座り心地が良い)、2人分をまたいで座ってもあまりお尻に違和感は感じませんでした。

座席の完全一人分割が行なわれたのは国鉄最末期(1986年)に登場したキハ38です。
211系のウレタン系座面をベースにして完全に一人分ずつ区分の入った座席となっています。
ただ、コストダウンの為か211系のような分厚い座面ではなく、薄いものであるため座り心地は良くないようですが…。

国鉄がJRに分割民営化された後の1992年に登場したJR東日本901系(後の209系試作車)が近年の座席の一大転換点でしょう。
コストダウンと軽量化の為に、ベースフレームに薄手の硬質ウレタンを付けただけの硬い座り心地のシート(それゆえ、231系クロス車では座面のウレタンの取れかかった車両がいた)、座面・背もたれの一人分区分成型、座面片持ち支持化による蹴込み(座席下)部分の省略(これはドアエンジンがドア上部鴨居部分に移設されたからできた)、座面支持も兼ねたポールの設置による着席区分の強化等、以前の鉄道車両の座席を見慣れた目には、これまた簡素化された内装と相まって随分と異なった感じ(悪く言えば貧相)に見えたものです。
もっとも、着席誘導力は強烈かもしれませんが、実際の座りごこちは見た目どおり貧相で、さながら「駅のFRPベンチに座布団付けた」といった感じだったのには辟易としましたが…。

さて、私鉄で座席色分け等の着席誘導が最初に行なわれたのは、おそらく1986年登場の東急9000系からです。
この9000系は、7人掛け座席を4-3に分割する形で仕切りが設けられると共に、座面の色も3人掛けがオレンジ、4人掛けが茶色と、201系に似通った配色を採用しています。
その後、8000系の増備車や1000系にこの仕切りが採用されていますが、1000系の途中から仕切りが廃止されてJR209系のようなポール(スタンションポール)による着席区分に変更され、9000系も更新の際に仕切り撤去・ポール設置が行なわれています。

一方、床面の色分けは1984年に登場した営団地下鉄(現在は東京メトロ)銀座線用01系が嚆矢だと思います。
01系では、座っている客の足の投げ出し防止のフットラインとして、床面の中央をベージュ、外側を茶色とした2色の色分けとしています。
ただ、色を分けても皆さんあまり気にしないので効果はあるのかなあ…、というのが初めて乗車した時の感想でしたが…。
また、この01系はウレタン系座席に緩い窪みと背もたれ部分に一人分ずつ模様が付けられていました。

上記したような着席誘導が盛んに行なわれるようになったのは、マナーの問題もあるのでしょうが、日本人の体格が向上したのも一因であると思っています。
国鉄時代からロングシートの一人分は430mmとして設計されていましたが、昔と比べると食生活や生活環境が向上した為に体格が大きくなり、430mm程度ではきついために定員着席を守るのが難しくなったというわけです。
現に東武の8000系のように、「このシートは7人掛けです」と表記されている割に7人で座るのが非常に厳しい(そのためいつも6人掛け)という座席もあるくらいです。

それを裏付けるかのように、一人分の占有幅はJR東日本の209系(901系)では450mm、最新の233系では470mmと拡大傾向にあります。
また、東京メトロでも01系は440mmだったのが最新の10000系では460mmとこれまた拡大傾向にあります。

たかが数10mmですがこの程度のことでも座席幅を広く取って余裕を持たせると共に、ポールで仕切って半ば強制的に着席誘導を行なっていくというのがこれからの鉄道車両の座席の傾向でしょうね。

なお、座席の設計というのは基本的には鉄道会社の車両設計部門が行ないますが、そこだけでは手に負えない為、コンペを行なったりしてメーカーを選定し、メーカー担当者と打ち合わせて細かい仕様を決めていくこともあるようです。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

とても詳しい情報有難うございました、とても助かります!!!
これを機にもう一度、鉄道博物館に行って、実物をじっくり観察しに行こうと思います。時代背景を知っているのと知らないのとでは、体験してみたときに座り心地も随分違いそうですね、楽しみです。

「色」を変えたり、「窪み」をつくったり、「ポール」を立てたりと座席区分が始まって現在に至る約30年くらいでしょうか、変化といえば、色・模様の「変更」や、窪みによる「心地」、ポールの「配置」…と、実はあまり画期的な変化はないように感じました。そのうちベストな座席区分が見つかったらグッドデザイン賞になりそうですね。

乗車者の増減・年齢層・ファッション・体格…いろんな背景から考えるともっといろんなことが見えてきそうです。

またなにかありましたら、どうぞよろしくお願いしますm(*v*)m

お礼日時:2008/11/25 21:39

座席の間にポールがある電車が増えていますが、あのポールは座席区分という目的だけで設置されているものではありません。

座っている人が立ち上がるときにつかまったり、立っている人がつかまるための目的もあります。(つり革より安定しますし、つり革に手が届かない人でも利用できます。)
JR東日本では209系から座席間のポールを設置するようになりましたが、E231系までは直線的なポールでした。最新のE233系では緩やかなカーブのポールに変わりましたが、つかまりやすさを向上させたためです。さらに、E233系の優先席では3人がけシートにも1:2でポールが設置されるようになりましたが、真ん中に座っている人もポールを使って立ち上がりやすいように、という配慮です。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

そうですよね、ポールって掴まる目的の方が大きいと思います。
優先席1:2の間にもつけられていたとは知りませんでした~。高齢化社会ですね、そのうち優先席がほとんどになって、優先席っていう区分がなくなるような気がしました、今。
しかもおもしろいのは、人って割合端っこが好きじゃないですか?ポールがあることで端を感じやすいのか、ポールの近くに座る人結構居るなって、観察してて思いました。ポールは小さな障害物的役割にもなって、心地よさや落ち着きもつくり出しているんじゃないかと思いました。
とてもためになりました、有難うございます!まだまだいろんな事知りたいので、また色々教えて下さい♪

お礼日時:2008/11/23 15:58

 前の方が言っているとおり、私の記憶では中央線の201系試作車で見たのが最初です。

ただし、この車両のシートは、その後の量産車のものとは異なっています。
 
 試作車では、色・シート共にこげ茶:薄茶:こげ茶を3:1:3にしていたにも関わらず、量産車では色のみを3:1:3、シートそのものは従来と変わりない4:3のままの形をとる「手抜き」をしたため、せっかくの定員着席のもくろみが中途半端な形となりました。その後青色のシートに変わった際には、背面に区分を示す模様をつけるだけ(ごく1部シートをひとりひとりに区分した車両あり)の定員着席を促すには明らかに従前より後退した形となり、通勤時間帯以外の定員着席は定着しませんでした。
 
 国鉄(後にJR)で区切りをしっかりするようにしたのは、キハ37かキハ38ではなかったかと思います。八高線に導入されたキハ38はシートがひとりひとりに完全に区分けされていたことは間違いありません。その後現在のような2:3:2にポールで仕切る形が定着したのは209系でしょう。以降JRに限らず通勤型車両はポールで仕切る形式が増加しているようです。
 
 私鉄では、おそらく東急電鉄が最初ではないかと思います。JRの201系が出た頃は、すでにシートの中央に仕切板を設け、定員着席できる装備にしていたように思います。
 
 こういう取り組みに熱心なのは私鉄です。多くの会社が熱心に取り組んでいます。最近、西武線や東京メトロではシートが区分されているにもかかわらず、さらに仕切のポールを取り付けを行っています。一方、JRは現存する車両に対してこのような措置を行う気は、まったくないようです。車両そのものの更新を待っているだけの状況です。
 
 マナーの欠如が多くの場で指摘されるこの時代、マナーを向上させるための車両に対する取り組みは多くの鉄道会社で進んでいくにちがいありません。しかし、やる以上は人間工学を考慮したうえで導入前の検証をしっかりやってもらいたいものです。最近導入が進むE233系のような「とても検証がされたとは思えない」車両の導入はやめてもらいたいものです。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

昭和54年、随分最近なんですね~。その頃でも、通勤時間帯以外の定員着席が定着してなかったということは、譲り合いの精神とか他人への気遣いとか、乗合意識があまりなかったのでしょうか。個人空間への許容範囲はあるでしょうし、席が埋まらないのは人間の生理的な部分では当たり前という見方もできてしまいますが、携帯音楽プレーヤーとか、服装の多元化なども影響して、個人意識の高まりの現れなように感じました。公共の場で、個人をどこまで顕示すべきか考えるべき部分だと、私は思います。

車内の空間づくりは、歴史的に見たらまだまだ始まったばかりですね。でもあんまりやりすぎると、人同士、距離の取り方がわからなくなっていって、肩が触れるだけで不快になるような心の残念な人間になってしまうような気がして怖いです。座席の改良だけでは解決できない部分の方が大きいと感じてます。できることなら、そんな風に仕組まれなくても、個人個人が乗合意識を向上させてほしい、そんな風に思いました。

とても詳しいお話、有難うございました!自分でここまで調べるのは難しかったと思います。電車の名前検索して、一つ一つの車両の造りを見てみたいと思います。
また何か詳しい情報ございましたら、ご回答宜しくお願い致します。

お礼日時:2008/11/22 14:07

昭和54年の201系ぐらいからではないでしょうか。


座席中央を区分。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ありがとうございました!回答にも幅が出ました。

お礼日時:2008/11/22 13:34

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!