No.5ベストアンサー
- 回答日時:
どうも、#4釣りバカ再びです。
> 「下手に塗る」とは
うーん。。。聞いた事ねえっすね、伝統工芸目線では。
っつーのもそういう色むらが出たら失敗っすから。
よーく考えてみると見えてくるんっすけど、日本の和竿は紀州・江戸・庄内・仙台等などなど。。。全ては徳川家と所縁がある藩が力を入れていたジャンルなんっすよ。江戸時代に平和になって旗本御家人衆が戦闘集団だったのに急に暇になっちゃったけど将軍様の大事の時にはすぐに駆けつけられるように、って江戸から離れられなくて暇つぶしでお堀で釣りをして過ごしたのが江戸時代の釣りブームのきっかけだったんっすよ。
で、江戸の庶民にも広まって文化文政期には町人まで釣りを楽しんでそれが明治維新まで続いたんっすよ。と同時に関ヶ原の合戦で徳川に付いた各藩の武将も江戸駐在時に釣りを嗜んで、いつの頃からか「我が藩ではこんなにすごい竿を作れるんだぜ」っつー藩の名誉を掛けた釣り竿自慢にも火が付いたんっすよ。紀州なんか徳川吉宗を輩出した御三家の御領地だったし。仙台なんか最後まで徳川に抵抗した独眼竜・伊達正宗の藩だったけど、徳川に忠誠を誓ってから積極的に江戸文化を取り入れるようになったんっすよ。だから仙台竿にも力を入れた、と。
そんな殿様相手の仕事で色むらのあるモノを持ってったら即打ち首獄門っすよ。
今でもウチのロッドで塗りムラになっちゃったら100、アウトレットで出すか折っちゃうか近所のガキにでもあげちゃうっすよ。お金を払うお客様の目線は下手な殿様より厳しいっすから。
でも庶民レベルでの漆芸だとそういうのがあったのかもしれねえっすね。それともどこかの地方の漆芸技術にそういうのがあるんっすかね。実は漆を塗るっつっても青森から沖縄まで微妙に違う手法を用いてるっすから。
漆は意外と最近まで普通に使われていて高度経済成長期にアメリカから簡単に塗れてすぐに乾くポリウレタン製の塗料がやって来てから急に増えたっすからね。
それまでは、例えば割り箸を蕎麦屋とかで使うでしょ?あれは今みたいに使い捨てじゃなくて、3回くらい洗って使い回したら漆を塗って折れるまで使う、折れたら薪にくべて燃料として使い切るっつーリサイクル循環になってたんっすよ。器用な人は自分で塗ってたんだろうけどたいていはちり紙交換的に町を巡回していた塗り屋さんに任せてたんっすよ。
残念ながら庶民レベルの塗りとなるとあんまり書物に残ってないんっすわ。
チヂミになるのは漆自体が乾燥するからじゃなくてヨーグルトみたいに『発酵』して固くなるからなんっすわ。発酵させるには酵素が快適に発酵する温度と湿度があるんっすけど、厚く塗ると外側と内側で温度差湿度差ができちゃう。そうなると外側は先に固くなるけど内側はまだドロッドロな状態っすね。丁度あっためたミルクに膜が張ったような状態っすわ。で、漆は固まるとチョイ体積が減るんっすよ。だから内側が固まり始めると外側の被膜がシワッシワになっちゃう。だから薄塗りが条件なんっすよ。
でも庶民レベルの漆塗りだと殿様に出すような技より耐久性が重要だから多少縮んでも、ま、いっか、って感じで、そのムラの感じが良いんじゃね?って感じだったんじゃねえっすかね。
でも色むらだらけのモノに8万とか10万とか払う気になれます?私なら、出せてもせいぜい1万円っすね。それでもかなり太っ腹な感じっすよ。
っつーのもそういう偶然の文様なら津軽塗なんかで有名な蟲食文様とか鹿の子文様とか根来塗りや曙塗りで勝負するっすから。そっちのほうがキレイだし、8万とか10万って値を付けても納得してもらえるしね。
uraryoushiさん、更に詳しいお返事、ありがとうございます。
下手にとかではなく、まずは上手に塗ることを心がけます。
先のお返事でいただいたように、現在、タンポンで塗っています。
早くも、薄め液を使って筆で塗っていたときとは色合いが
違って濃くなってきています。
今のところ、筆で5回ほど、タンポンで2回塗っています。
辛抱強く、もうあと何回か、塗り重ねてみようと思います。
それっぽくなっていて、最高の塗料と言われる所以も
わかるような気がします。
今回のご助言は、非常に勉強になりました。
本当にありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
どうも、釣りバカです。
本物の漆は『自然の風合いを出すため』なんて人を食ったような分かったような分かんないような理由でなんか塗ってねえっすよ。
本物の漆は酸やアルカリに強くて熱にも強い、おまけに地球上の塗料の中で一番薄く塗る事ができる最強の塗料なんっすわ。それに素材の呼吸を妨げないからあらゆる素材に優しいんっすよ。
だから塩水に晒されて寒さや暑さの中で酷使される宿命の釣り竿にはまたとない理想的な塗料なんっすよ。
#3さんがおっしゃる通りカシューはニセモノうるしで、漆は弱いだの漆は溶けるだのと言ってるのは実はカシューを漆として売っている業者が多いのが実情なんっすわ。とんだとばっちりっすね。
スイマセン、仕事で国産総漆塗りロッドを製作しているモンっすから、命掛けてる事だけに熱くなっちゃいました。
っつー事で本題っすけど、薄く塗るっつーのは薄めるんじゃなくて薄く延ばして塗る事なんっすよ。
本物の漆だと女性の髪の毛で作った専用の刷毛(日本人女性の黒髪が最高とされているんっすよ)に漆を取って手早くサーッと薄く延ばしていくんっすよ。この作業は塗るっつーより刷毛でなすりつけるっつー言い方のほうが的確っすね。
でも私が使ってる漆刷毛は横幅3寸で¥15.000っつートンデモナイ高価な代物。とてもカシューでお勧めできねえっす。
薄く延ばすには紀州竿や庄内竿なんかで用いられている方式が一番一般的っすね。
まずは木綿と綿でてるてる坊主を作るっす。で、てるてる坊主の頭で漆を取って竿になすりつけるんっすよ。これなら安価だしそれなりに薄く仕上がるっすよ。塗り上げたらすぐに和紙で拭き取るのがいわゆる『摺り漆』『拭き漆』っつー手法で、より薄く仕上げる事ができるんっすよ。
もっとせっかちな江戸っ子らしい江戸和竿には常識破りの手法があるんっすよ。
なんとかぶれるでおなじみの漆を指に取って指でなすりつけるんっすわ。当然本物の漆だとかぶれる街道まっしぐらっすけど、カシューの殻を絞ったルーシー(汁)を混入しているからかぶれる人はかぶれるんっすけどカシューは一応かぶれない事になってるから、指でなすりつけるっつーのもできそうっすね。
薄く塗るにはサンドペーパーで磨くっつーのは基本的な流れっすけど、摺り漆・拭き漆をした場合は磨かなくても大丈夫っす。和紙で拭き取った時点で研ぎを入れたのと同じ効果が得られるっすから。最初のうちは摺り漆で終始行うと失敗はしないっすよ。
薄く塗る利点はズバリ、耐久性の向上っす。
どんな被膜でも2度塗ったほうが、3度塗ったほうが、5度塗ったほうがより強くなるっす。基本っすね。カシューだと5回の重ね塗りくらいが理想でこれを超えると厚くなっちゃうっすけど、本物の漆だと10回~20回重ね塗りをしても0.08mmくらいの被膜っす。私のロッドは平均14回だけど竹の凹凸がハッキリ現れてるっすよ。
漆器の世界になっちゃうけど、輪島塗や津軽塗は100回重ね塗りをして当たり前っすから、どんだけ丈夫なんだよ、っつー器になるんっすよ。
最初から薄く塗らないと、カシューでも本物の漆と同じ「チヂミ」っつー糸ミミズが大量発生したみたいな仕上がりになってキッタネエっすよ。
お返事ありがとうございます。
いやはや、プロの方ですか。
文面に熱気が伝わってきます。
貴重なご意見として伺います。
4名様のご意見を総合して、タンポンで少しずつ塗っていく方法を
採ってみようと思います。薄め液は使わず、ですね。
この機会に、もしよろしければもう一つ教えていただきたいことが
あります。
漆の研ぎ出しで「下塗りを、下手に(雑に)塗ると、面白い模様が出る」
と聞きます。マッチ棒を重ねたもので塗る、という方法も聞いたことが
あります。
「下手に塗る」とはどういうことなのでしょうか?
実は、マッチ棒を重ねたもので敢えてべとべとに盛り上げて下塗りを
したことがあります。そしたら、恐らくなんですけど、
おっしゃっている「チヂミ」みたいな山盛りができました。
こんなものなのかなぁ、とそれはそれとしているのですが・・。
それとも敢えて「下手に」塗らなくても、素人が普通に塗っていたら「下手に」なるもんなのでしょうか??
No.3
- 回答日時:
カシューは漆ではないです。
重ね塗りするのは、塗装面を均一にする為です。
コツは、初めは濃く。
次は倍。
その次はその倍の、薄め液を足します。
何処で止めるかは、難しい問題です。
塗っては、乾燥、研ぎ出し。
漆は、全く違う状態で硬化します。
カシューは、溶剤が乾燥することで硬化します。
同じなのは、曲がってもはがれない柔軟性でしょう。
お返事ありがとうございます。
No.2さんへの回答でも書きましたとおり、
フグ印のチューブ漆を使っています。
カシューとは別なんですね。
他の方の回答にはない、
段々と薄くしていく方法を取られているのですね。
No.2
- 回答日時:
cherrytroutと申します。
漆塗りですが、竿に塗る場合、比較的薄い色を使用して、竹など自然な風合いを生かすために、重ね塗りをします。
厚く塗るとムラが出来やすく仕上げが綺麗に出来ません。
カシューなら薄めて使いますが、チューブ入りの新ウルシ(フグ印)でしたらそのまま使用します。
塗装膜を薄く仕上げる方法。
ガーゼで丸く1cm位のタンポン(てるてるぼうずみたいな感じ)を作り、割り箸の先に輪ゴムで止めた物を筆代わりに使います。勿論使い捨て。
漆を小皿に出し少しずつしみ込ませて塗布していきます。
最初は塗っても少し光るくらいで、変化が分かり難いですが、5回ほど塗ると塗装面が厚くなり綺麗になっていきます。
この方法は最後の仕上げの段階でコンパウンドを使用して磨き上げて終了となります。
研ぎを入れ重厚な感じに仕上げる方法。
ある程度塗装面が厚くならないとペーパーで研ぐ事は出来ません。
筆を使うと厚塗り出来ますが、表面に起伏が出るので均一にするのに研ぎます、また厚塗りになるので接着性を上げるために研ぎを入れます。
漆は薄めず使用します。仕上げに薄めた漆を塗る事は有りますけど・・・
自分のイメージに合わせて塗布の方法を変えてください。
お返事ありがとうございます。
そう、私はふぐ印の漆を使っています。
No.4さんのご意見と同様、タンポンで塗布するんですね。
非常に勉強になりました。
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