先日ツイッターで見た
「外では雨が降っており(A),かつ雨は降っていない」という前提から「源義経の母親はナポレオンである(B)」という結論を導け。
という問題についてです。
A∧¬Aが真だから(A∨B)∧¬Aも真となり
選言三段論法を用いてBも真となることが導かれるそうなのですが
A∧¬Aが認められるから選言三段論法では(A∨B)∧¬AからBが真だとだせないんじゃないんでしょうか?
自分の年齢もあり論理学のことをひとつも知らないので普通に解決する問題ならどういう仕組みなのか簡単に教えていただきたいです。
お願いします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
> A∧¬Aが真だから
というところがおかしいっすね。
何か論理式 X を書いたからって、それが真だということにはならない。単にXだと主張した、というだけのことです。(殺人事件現場で凶器を握りしめている血まみれの容疑者が「俺がやったんじゃない」と言ったからって、それが真だということにはならないのと同じ事情です。)じゃあ「Xは真である」と言いたいならどう書けば良いかというと、そんなことは論理式では実は書けない。たとえば恒真式(A≡A)を使ってX≡(A≡A)と書いてみたって、これ全体がひとつの主張になるだけだからです。
なので、お考えの問題は「矛盾(充足不能な論理式)であるA∧¬A という主張に公理と推論規則を形式的に適用すれば、どんな命題でも証明できる」ということ。標語的に「矛盾からは任意の命題が導ける」と言われますが、主張ということを意識して言ってみれば「矛盾の主張は、任意の命題の主張を含意している」ということです。
というわけで、真・偽から一歩離れて「主張だと見る」という観点でもう一度お考えになると宜しいかと思います。
No.2
- 回答日時:
#1です。
>ところで気になるところがあるんですが
>(A∨B)∧¬A=(A∧¬A)∨(A∧B)
>とはどうなったのでしょうか。
以下のようになります。
(A∨B)∧¬A
(↑「雨が降っている、または、源義経の母親はナポレオンである」かつ「雨が降っていない」)
=(A∧¬A)∨(B∧¬A)
(↑「雨が降っている、かつ、雨が降っていない」または「源義経の母親はナポレオンである、かつ、雨が降っていない」)
=B∧¬A
(↑源義経の母親はナポレオンである、かつ、雨が降っていない)
集合(※ドモルガン図的)で言えば「A∧¬A」は空集合です。空集合はどんな集合と「または」の関係になっても、関係された側の集合を変えません。
論理演算では、∧は乗算「・」、∨は加算「+」で、計算法則が普通の計算に似たものになります。それでやったほうが分かりやすいかもしれません。
(A∨B)∧¬A
=(A+B)・¬A
=A・¬A+B・¬A
=0+B・¬A
=B・¬A
先の回答にもう少し続けてしておいたほうがいいかもしれません。先の回答では「A∧¬A」(A・¬A)が無意味であることを強調するため、残してありますが、その無意味性はこのように消えてしまって、影響を残さないということにあります。
>(A∨B)∧¬Aも真となり
は「A∧¬A」(A・¬A)が無意味である(必ず成り立たない)ということを使えば、B∧¬A(源義経の母親はナポレオンである、かつ、雨が降っていない)が存在するといっているわけですが、その選言三段論法が使える前提は、AかB少なくともどちらかは成り立っていることが前提となります。
強い条件として、「A、Bが排他的に成り立つ(どちらか一方だけ)」ことが保証されているなら、「AまたはBである。Aである。」から「Bではない。」は出ます。もちろん、「AまたはBである。Bでない。」からは「Aである。」も出ます。
緩い条件として「AまたはBが成り立つ(両方成り立ってもよい)」で使えば、「AまたはBである。Aである。」から「Bではない。」は出ません。A、Bどちらも成り立つ可能性を検討していないからです。「AまたはBである。Aでない。」からは「Bである。」は出ます。
どちらでも、「Bである」は出るんですが、それには「A、Bのどちらも成り立たない」という状態が排除してあることが前提として必要です。
ご質問の件を振り返ると、「外では雨が降っており(A)、かつ、雨は降っていない(¬A)」は「A∧¬A」であり、必ず成り立たないことが言えます。それを以て選言三段論法を使いたいなら、「源義経の母親はナポレオンである(B)」を別途保証してやる必要があるのです。
それをせずに選言三段論法を形式的に振り回した風な論証なので、冗談か勘違いのどちらか、と申し上げたわけです。
ですので最も簡単な解の例として、命題C「命題Aが成り立つならば命題Bが成り立つ」の真偽について、命題Aが偽ならば命題Bの真偽を確認することなく、命題Cは真であることを使うべき、ということを申し上げてみました。
(この場合の命題A、B、Cは、以下の通り。
命題A:雨が降っており、かつ、雨が降っていない →偽に確定
命題B:源義経の母親はナポレオンである →真偽不明
命題C:AならばBである →Cは真だが、Bが真であるとも偽であるとも言っていない)
……こういったことは言葉で深入りすると、非常にややこしい事態になることがあるので、この辺りでギブアップします。お詫びの余興に、言葉での論理でややこしくなる例でも少し(以前にかなりしごかれたもので、未だに自分の中では完全解決していない)。
1.対偶の例(真である命題の対偶は真)
命題:叱られ『ない』と勉強し『ない』。
対偶:勉強すると叱られる。
2.語義の揺れによる三段論法例(英語)
Nothing is better than my wife.
(nothing>my wife)
A penny is better than nothing.(pennyは10円くらいの安い貨幣)
(a penny>nothing)
So, a penny is better than my wife.
(a penny>Nothing>my wife ∴a penny>my wife?)
なるほど!分配法則みたいなものがここでも使えるんですね!確かに三つの集合を使ってベン図を書いてみるとちゃんとなりました。感動です。
そしてA→BはAが偽だととりあえず真になるんですね。
最後の例も面白いです。いろんなことをこういう風に考えられれば面白い発見がありそうです。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
>「外では雨が降っており(A),かつ雨は降っていない」という前提から「源義経の母親はナポレオンである(B)」という結論を導け。
>A∧¬Aが真だから
AであってAでない。そんなものは何も無い。これは集合で言えば空集合ですね。つまり偽です。ここで既に間違っています(もし「A∨¬A」だったら無条件に真だった)。ここで終わってもいいのですが、念のため続けてみます。
>(A∨B)∧¬Aも真となり
これは、(A∨B)∧¬A=(A∧¬A)∨(A∧B)となります。
>選言三段論法を用いてBも真となる
ご承知の通り、選言三段論法は「PまたはQであるとき、PでないならQである」といったものですが、「(A∧¬A)∨(A∧B)である」が成り立っているのかどうかが問題になります。これは、
>A∧¬Aが認められるから選言三段論法では(A∨B)∧¬AからBが真だとだせないんじゃないんでしょうか?
とお考えの通り、A∧¬AかA∧Bのどちらか、もしくは両方が成り立っていることが前提での選言三段論法であるのに、任意の命題BについてA∧Bは保証されていません。保証されていないことを無条件に使うのは誤りです。お示しの論証なるものは、ここでも間違っています。
与題を解くのは、もし「AならばB」であるという命題は、「Aが偽であれば必ず真になる」を使えばいいです。
「雨が降ってて降ってないなんてべらぼうなことがあるんなら、源義経のお袋がナポレオンになっちまうわっ!」
こういう言い方はときどき見ますね。あり得ないことを前提とするなら、どんな予言を言っても嘘になりません。もっとも常識的な言葉の使い方に反することもあります。例えば、ある会社で「当社の社員たる者は法令を順守すべし」という規則があるとして、「じゃあ、辞めれば法を破るべきってことだな」なんて屁理屈は通用しません。
P.S.
お示しのツイッターでの証明(?)は直接見ていませんが、もし間違ってしまっているのでなければ、わざと論理風な言葉遊びをしたのかもしれません。
また、もしかすると与題は「A∧¬Aが真」となるとき、論理学はどうなるか、ということを問うてみたとも思えます。だとすると、「偽の命題を前提とすれば、何でも真になる」で片づけてしまうのは、設問者はがっかりするのかもしれません。
回答ありがとうございます。
僕の見た導き方はきっちりしたものではなかったのですね!
ところで気になるところがあるんですが
(A∨B)∧¬A=(A∧¬A)∨(A∧B)
とはどうなったのでしょうか。
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