
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
物理学者の siegmund と申します.
eatern27 さんの表現を借りますと
> 電子構造が持つある種の対称性によって、
> スピン縮退していないディラクコーンのような形状の表面バンド構造を持つ事が要請されるが、
の対称性は時間反転対称性が破れたということです.
電子スピンの↑と↓は時間反転の関係にありますから,時間反転対称性が破れるとどちらかのスピンの電子しかその状態に入れません.
グラフェンの話でもディラックコーンは出てきますが,こちらは時間反転対称性が破れていないので,両方のスピンが可能です.
トポロジカル絶縁体が提案されて10年ほどになりますが,この分野の発展は極めて急速です.
短い欄で全貌を語るのは困難ですし,この問題の専門家ではない(分野は近いけれど)私にはその能力もありません.
awakikoi さんが20程前に終了された大学院の専攻は存じませんが,物理に近い分野でしたら以下のような解説をお読みになってみてはいかがでしょうか.
URL が書いてあるものは無料で読めます.
自分の不勉強と浅学(博学だとよいのだが薄学だな)を棚に上げて文献紹介ということで(^^;).
トポロジカル絶縁体の物理
(村上修一,平原徹,松田巌;日本物理学会誌 Vol.65,No.11,p.840 (2010))
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007880789
トポロジカル絶縁体の物理
(井村健一郎)
http://bussei-kenkyu.jp/pdf/04/1/9999-041202.pdf
トポロジカル絶縁体とスピンホール効果
(村上修一)
http://bussei-kenkyu.jp/pdf/03/3/9999-033205.pdf
スピン流とトポロジカル絶縁体 ―量子物性とスピントロニクスの発展―
(齊藤英治, 村上修一;共立出版)
トポロジカル絶縁体入門
(安藤陽一;講談社)
村上氏と井村氏は理論家,他の方々は実験家です.
No.3
- 回答日時:
トポロジカル絶縁体では(表面状態も含めて)時間反転対称性は破れてはいません。
物質の表面では空間反転対称性が破れている関係で、時間反転対称性を破らずにスピン分裂したバンドを持つ事が可能です。
No.1
- 回答日時:
専門外なので雰囲気しか知らないし、どの程度の解説が必要なのかよく分かりませんので要点だけ書きますと、
・電子構造が持つある種の対称性によって、スピン縮退していないディラクコーンのような形状の表面バンド構造を持つ事が要請されるが、このバンド構造は結晶の表面が汚れても生き残るため、現実の系でも観測され得る
・電子の波数を散乱によってkから-kにするためには(=電子が後方散乱されるには)スピンも同時に反転させる必要があるため、非磁性の不純物・欠陥しかない場合には後方散乱が抑制され高い電気伝導度を持ちうる。
といった所ですかね。
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