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短調のものは最後、長調で終わっているのですが、13曲と21曲のハ短調の曲だけは短調で終わっています。なぜ、ハ短調だけそのようなことになったのでしょうか?

A 回答 (1件)

短調の曲の最後が長調の三和音で終止することを「ピカルディー終止」といい、フランスのピカルディー地方の音楽が発祥です。

バッハの曲にもたくさん例があり、その後の多くのクラシックの曲に用例がありますが、ショパンのノクターンも有名な例です。しかし、短調の曲の最後が長調で終わるかどうかは、曲の性格、長さ、構成と関係してくるので、常に長調で終わるわけでもなく、ハ短調という調性と特に関係があるわけでもありません。ショパンの2曲がともにハ短調なのは、単なる偶然です。
第13番は曲が大規模で、表現も全ノクターン中最も劇的です。中間部でハ長調に転調し非常に華やかになるので、そこから再び元の深い思索的なハ短調の音楽に戻ったあとは、短調のまま悲しみの表現で終わった方が、劇的な構成が引き締まります。短調で書かれたほかのノクターンはこれほど劇的ではなく、夜想のあとに訪れる静かな感情ということで、長調の終止による落ち着きがふさわしいものです。
第21番はあまり演奏されることがありません。ほかのノクターンと比べると非常に短く、起伏にも乏しい作品です。ある程度の長さの短調の曲であれば、いろいろなドラマがあったあと、長調による終止で静まりや解放感を出すことが効果的な場合がありますが、小品は終止も簡潔で、全体としての統一感が求められるので、このぐらいの長さの曲で長調に終止させるととってつけたようになります。また、この曲は最初、「ラルゴ変ホ長調」と組み合わされて出版された後長く忘れられ、1937年になって再び出版されて知られるようになりました。ショパンの作品には、質のバラつきがかなりあります。この曲もかなり荒削りでショパンらしい洗練がなく、気乗りがしないまま短時間で書き上げたような作品です。曲の短さや、終止に特に工夫がないのも、そういう理由からでしょう。
いずれにしてもこの2曲は、出来の良し悪し、曲の規模、内容の濃さや性格など、あらゆる点で正反対です。ハ短調という調性が共通していることだけから、両者がともに長調で終わっていない理由を引き出すのは無理でしょう。
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この回答へのお礼

やはり作風が関係していたのですね。ありがとうございます。

お礼日時:2015/12/14 17:33

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