■品種によって異なる「甘味」や「酸味」
ひとくちに「梨」といってもさまざまな品種がある。
「代表的な品種は、『幸水(こうすい)』、『豊水(ほうすい)』、『新高(にいたか)』、『あきづき』などです。地域によって生産している品種は異なります。たとえば弊社がお届けしている熊本県荒尾市の梨は、『豊水』や『新高』といった、皮が茶色い赤梨系です」(ナチュラルスタイル株式会社)
それぞれの出荷時期と特徴を教えてもらった。
「8月上旬から9月上旬頃は、『幸水』が出回る季節です。しっかりとした甘味の中にほどよい酸味があります。柔らかくジューシーで、重さは250gから300g程度です。9月上旬から9月中旬には『豊水』が旬を迎えます。さわやかな甘味と酸味のバランスが絶妙で、その名のごとく“多汁”です」(ナチュラルスタイル株式会社)
「新高」と「あきづき」は、気候が秋めいてくる9月下旬以降に出回るとのこと。
「『新高』は500g以上にもなる大型の梨です。場合によっては1kgほどの大玉に育つこともあります。酸味が少なく糖度が高めで、香り豊かです。『あきづき』は『新高』と『豊水』、『幸水』を掛け合わせて生まれた梨です。果肉は柔らかく多汁で、酸味は弱めです。甘い梨が好きな人におすすめですよ」(ナチュラルスタイル株式会社)
糖度や水分量などを参考に、好みの品種を探してみるのも楽しそうだ。
■保存の際は「ヘタ」を下に
梨の熟し具合は、ひとめ見ただけでは分かりにくいようだ。購入する際には、どのような基準で選べばよいのだろうか。
「まず色合いを見ましょう。赤梨の場合は、熟すと青っぽい色から赤褐色に変わります。酸味が強いタイプが好きな場合は、少し青っぽいものを選ぶのがおすすめです。形でいうと、扁平型で平べったいものがよいです。お尻部分は糖度が最も高くなる部位なので、ぷっくりしているものを選びましょう。手に持った時にどっしりしているものもよい梨の印です」(ナチュラルスタイル株式会社)
旬の梨を手に入れたらベストな状態で保存したい。気を付けるべきことを聞いてみた。
「冷暗所や野菜室で保管し、なるべく早く食べることが基本です。気を付けるべきポイントは2つあります。ひとつ目はヘタの部分を下にして保存することです。梨はヘタ部分で呼吸をしています。下にすることで呼吸が抑えられ、品質が落ちにくくなります。ふたつ目は、ひとつひとつ紙袋やサランラップで包むことです。梨は乾燥に弱く、水分を失いやすいです。『個別に紙袋かサランラップで包み、ヘタを下にして冷蔵庫で保存』することを心掛けましょう」(ナチュラルスタイル株式会社)
梨は収穫時がおいしさのピークとなり、桃などのように“追熟”はしないという。購入してから1週間以内に食べるのが、旨味を逃さないコツだ。食べる2、3時間前から冷やすことで、梨に含まれる果糖がはたらき、さらに甘く感じるという。今回教わったことを参考に、今年の秋は梨をより味わってみてはいかがだろうか。
●専門家プロフィール:自然果樹園
自然栽培や、農薬を最大限使用しない栽培を実践する果樹園で育てられた「こだわりの果物」を熊本で販売。梨をはじめとし、かんきつ類やたけのこ、野菜などを取り扱う。
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