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よく耳にするけど疑問に感じることについて質問させてください。

レストランに入ってきて
"Wir hätten einen Tisch für ...Personen reserviert."
という人をよく見かけるんですが、これは日本語だとどのようなニュアンスなんでしょうか。
「予約したんですが…」という感じですか?
わざわざKonjunktivにするからには何かしらの意図があるんだろうけど、なんだか引っかかります。
それとも、使わない方が良い誤った言い方なんでしょうか。

周りのドイツ人に聞いたところ「そういう言い方する人はいるけど違和感ある、自分は言わない」と同感してくれます。

ちなみに、間違ってる、という人たちはふつうに"Wir haben..." の言い方をしています。

些細なことで恐縮ですが、どなたか日本語と比べてニュアンス含めてお教えいただけると嬉しいです。

A 回答 (2件)

これは、ニュアンスの違いやドイツ語文法の問題ではなく、


多くの言語で起きる現象の一つではないかと思います。

"Wir hätten einen Tisch für ...Personen reserviert."

という言い方は、正格文法から言えば誤りでしょう。
普通に考えれば、これは非現実用法で、

私たちは、・・・人分のテーブルを予約したかもしれません(が実際にはしませんでした)。

という意味になりかねません。
しかし、周りのドイツ人の方たちは、「違和感がある」とは言っても、
「間違いだ」と断言はされないのですね。そこが言葉の微妙なところでしょう。

ドイツ語では、日本語の敬語表現に相当するものとして、接続法第2式を頻繁に使います。
たとえduで呼び合う友人同士で会っても、気を使う場面では接続法第2式を必ず使います。

Könntest du das machen?
Hättest du Zeit?

買い物をするときやレストランで注文するときも、Ich hätte gerne… と言いますね。
しかし問題の文の場合は、過去分詞を伴って完了形になるので、それとは違う文型になってしまいます。
インターネットで検索をしてみても、こういう文が出てくるのは間接話法の場合のみです。

Wir sagten, wir hätten einen Tisch reserviert.
テーブルを予約しています、と私たちは言った。

間接話法では、会話文中の動詞は接続法「第1式」という原則がありますが、
habenという動詞の場合、主語がichやwirの場合は、
現在形と接続法第1式が全く同形で区別がつかないため、第2式に置き換えることになっています。
3人称単数なら第1式を使うことがよくわかります。

Er sagte, er habe einen Tisch reserviert.

しかし、レストランでよくお聞きになるという文は、直接店員に言っている言葉であり、
この間接話法とは関係がありません。

ここで話を横にそらしますが、日本語には多様な敬語表現があり、それを使う習慣と伝統があるので、
とにかく丁寧に言わなくては、という意識が過剰に働くことがしばしばあります。
例えば、二重敬語というのがそうです。
「見ていらっしゃる」「御覧になっている」のどちらかならよいのですが、
「御覧になっていらっしゃる」というのは本来過剰な敬語です。
しかし、敬語はよいもの、できるだけ使うもの、と思っている人が多いので、
これが過剰だとはなかなか思わないのです。

買い物に行って、730円の品物を買うとします。
レジへ行って、ちょうど730円分のお金があってそれを出した場合、
昔なら、「730円ちょうどいただきます」と言いました。
もし1000円札を出した場合は、「1000円お預かりします」と言い、
「270円お返しします」と言ったのですが、
もうだいぶ前から、「730円ちょうどお預かりいたします」という言い方が出てきました。
そして、「レシートのお返しになります」と言うのです(笑)。
表面的にはつじつまが合うわけですが、論理的にはおかしく、「お返しになります」も本当はおかしいですね。
なぜ「お預かりします」という表現を濫用するようになったかを考えると、
「頂く」そのものは敬語ではあっても、「もらう」という意味であることには変わりがないので、
さらに婉曲に、という気持ちが働いている可能性があります。
そしてある日、「・・・円、頂戴いただきます」と言われて、いくらなんでもそれはないだろう、と苦笑しました。
この言い方は、さすがにその後ずっと聞くことはありませんでしたが、最近また聞きました。

注文の確認でもそうです。昔は、「注文は以上でよろしいでしょうか」です。
それが、「よろしかったでしょうか」と過去形になりだしたのもずいぶん前のことです。
「よろしいでしょうか」自体は敬語でも、意味的には「それでよいのか」という解釈にもなり得るという理由からなのか、
過去形にしてしまえばその意味は消え、自分は聞き違えていないか、という意味になってより婉曲だと考えたのかもしれません。

以上は推測ではあるのですが、言葉についての正確な知識を持たない人、
必ずしも教養の高くない人が、下手により丁寧に、上品に、と考えて、
かえって意図したこととは逆の結果になることは多いと思います。

ここでドイツ語に話を戻しますが、ウィーンでは、よく市電の扉が故障して、開かなくなります。
後方の扉しか開閉できなくなったとき、運転士が「後ろからお乗りください」とアナウンスをします。
現地の語学学校の教師から聞いた笑い話ですが、こういう場合、正しくは、

Steigen Sie bitte von hinten ein!

と言います。ところが、「hinten」というドイツ語が「Hintern(尻)」に似ていて避けたいと気持ちが働くらしく、

Steigen Sie bitte rückwärts ein!

と言う人がときどきいるそうです。これだと、「後ろ向きに歩いて乗る」という意味になります(笑)。
ネイティヴスピーカーでも、rückwärtsの正しい意味が分かっていないと、こういう滑稽なことが起きます。

御指摘の言い回しも、言葉の使い方について必ずしも深く正確な知識を持っていない人が、
思い込みで丁寧な言い方だと勘違いして使い始めたのが広まったのではないかという気がします。
私自身は、そういう言い方を聞いたことがありません。
ひょっとして、その人たちは本当に予約をしていなかったのではないか、
という疑問もわずかに残るのですが、いずれにしても使わない方が無難でしょう。

方言という可能性もゼロではないのですが、
今はインターネットにたいていの情報が出ており、
「接続法第2式の誤用」と「方言」の両方の線で調べてみましたが、
手がかりになる情報は全くありませんでした。

ただ、ごくわずかながら、実際に予約をしているのにこういう文を書いている人がいました。
それは、店員に言っている言葉ではないので、敬語的な表現ではありません。
レストランの口コミサイトの書き込みなのですが、
読んでみると、テーブルの予約をしたにもかかわらず、
行ってみたら用意されていなかった、あるいは、希望のテーブルと違った、というケースです。

Wir hätten einen Tisch reserviert und um den Tisch mit der Nummer 111 gebeten.
Sie haben die 102 entgegnete sie recht barsch.
我々はテーブルの予約をしていて、111番のテーブルを頼んでいた。
102番があります、と彼らはまったく不愛想に答えた。

Wir hätten einen Tisch reserviert gehabt....war jedoch nicht vorhanden, als wir kamen.
Ist nicht schlimm, kann ja schon mal passieren.
私たちはテーブルの予約をしていました――が、着いてみたらテーブルは空いていませんでした。
まあこういうことは起きがちなので、大したことではありませんが。

好意的に読むなら、「予約したはずなのだが」という意味で接続法を使っているのかもしれないとも思うのですが、
上の二人の投稿者の文は、全体的にいい加減なドイツ語なので、
こういうケースで接続法第2式を使うのも普通ではないと思います。
ただ、2番目の投稿は、「reserviert gehabt」という個所に気が付かれたかと思うのですが、方言です。
現在完了形で、本動詞の過去分詞のあとにさらにgehabtを付ける地方があります。
たとえ本動詞がhabenであっても守られるので、

Wir haben das gehabt gehabt.

と言います。ですので、2番目の例は、方言である可能性を完全には否定できません。

以上、あくまでも私見であり、完全に解明したわけでもありませんが、
勘違いによる誤用が広まっている可能性を疑います。

言葉はどんどん変わっていきますので、例えば従属の接続詞weilを使った複文でも、
通常文と同じように動詞を2番目に置くことが口語で行われています。
これはすでに、ドイツのDuden社の辞書に例文つきで載っています。

Ich komme nicht mit, weil ich habe keine Zeit.

1970年頃からこういう言い方がありますが、
まだ多くの人は、方言もしくは俗語的表現と認識しています。

接続法第2式の非現実話法にしても、口語では、
実現の可能性が期待できる場合に現在形になってしまう傾向があります。

Es wäre schön, wenn dieser Traum erfüllt wird.

文法学者のコメントでは、スタンダードなドイツ語では、
あくまでも両方の文で接続法第2式を使うのが正しいということです。

Es wäre schön, wenn dieser Traum erfüllt würde.

しかし、だからといって、前の言い方が愚かな間違いだとは言い切れず、
スタンダードな文法とは違う論理や繊細さが働いているという見方もできるということです。
ですので、御質問のような表現に関しても、ネイティヴスピーカーの間でも意見が割れる可能性は大いにあります。
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この回答へのお礼

おぉ… こんな些細な疑問にここまで答えて頂けるなんて、感動しています。

ドイツ語の学習歴がまだ短く、教科書通りの文法で考えがちなので口語を耳にすると疑問に思う瞬間が多々ありますが、なるほど方言という場合もあるんですね!
gehabt gehabtの例は、確かに友人との会話で似た表現を聞いた覚えがあります。聞き返して意味を問いただしたんですが、苦笑いされて結局分からず仕舞いでした。
色々な細かい消化不良が続いていたのですが、無意識で話しているネイティブの人に尋ねるのは少し酷かと思い、ここでの質問に至った次第です。

これからも会話によく耳を澄まし知識を蓄えつつ、外国人としてドイツ語を話す私自身はなるべく正しい文法で話すよう心がけていきます。

語学って本当に楽しいですね!

お礼日時:2017/12/22 01:50

たぶんですが・・



敬語があるのは日本語だけですが、各国語でも「敬語感」を出すことはできます。いくつかの用法があるのですが、ほぼどこの言語でも敬語感がでるとされているのは「過去形にすること」と「間接話法にすること」です。

どのような言語でもそうですが、西洋言語は特に「直接話法は不作法」というニュアンスがあるので、Konjunktivにすることで、敬語的な用法としているのではないかと思います。

ただ、現在のドイツ語はかなり簡略されていて、直接話法でも不作法ではありません。(というより、移民や難民などでドイツ語が分からない人が増えているので、まだるっこしい言い方は伝わらない)

昔の人は「教養のあるドイツ語」を使っている人もいるでしょう。日本でも年配なら「恐れ入りますが、予約をしているphjと申します」ぐらいの言い方をする人は居ても不思議はありません。ただまだるっこしいし、若い人だと聞き取ってくれない場合もありえるので「予約したphjです」というのが日本でも一般的ですよね。

ご質問の言い方をする人の特徴として、年配者が多いとか、教養があるとされる職業(大学教授とか)の人とか、地方の方言的な違いなどの理由があるかもしれません。
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この回答へのお礼

ビジネスの場でしか使わない、文法的には正しくないけど定型化している表現や書き方もあるので、そういう類なのかなぁとは思っているんですが…
日本語でもある「こちら〇〇になります」的な不思議な敬語もどきが脳裏をかすめて使うべきか戸惑っています。
普段はGenetivやPerfektの表現できちんと話すと喜んでくれるような年配の方とも接する機会があるのですが、彼らがこの表現を使ったのを聞いたことがなくて、戸惑っています。
もう少し回答を待ってみます。ありがとうございます!

お礼日時:2017/12/21 21:34

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