
線形弾性体の応力テンソルとひずみテンソルの関係式
σ_{ij} = C_{ijkl} × ε_{kl}
で、4階のテンソルである弾性定数Cは81個の成分を
持っているということまでは理解できています。
ところが、
1.応力テンソルとひずみテンソルの対称性から独立な
成分は36個になる
2.さらにエネルギー原理から独立な成分は21個になる
と教科書に説明してあるのですが、1も2もいまいち
よくわかりません。。。
(応力テンソルとひずみテンソルが対称であることは
理解しています)
どなたか詳しい方、まず1だけでもいいのでなぜそうなる
かできるだけわかりやすく教えていただけませんでしょうか。
よろしくお願いいたします。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
やはり,数学的には36個には減らせないようです.
参考URLによると,ひずみが小さく温度変化が小さい時に
自由エネルギーFをひずみテンソルと温度で級数展開し,
そのときのε_{ij}の2次の係数をC_{ijkl}とおき
高次の項を無視することで
σ_{ij} = C_{ijkl} × ε_{kl}
の関係式を導き出しています.
つまり,
C_{ijkl} = ∂^2 F/∂ε_{ij}∂ε_{kl}
という形になっています.
また,応力テンソルは
σ_{ij} = ∂F/∂ε_{ij}
となっています.
したがって,物理的に導かれたこれらの形から
ε_{ij} = ε_{ji} , σ_{ij} = σ_{kl}
ならば
C_{ijkl} = C_{jikl}
C_{ijkl} = C_{ijlk}
となることが導かれます.
参考URL:http://www.md.ams.eng.osaka-u.ac.jp/~nakatani/Le …
そうですか、C_{ijkl}を定義するにはこんなに
長い道のりがあるのですね・・・。
全然知りませんでした。
たしかにC_{ijkl}の定義式、(228)式を見れば
C_{ijkl} = C_{jikl} = C_{ijlk}
は明らかですね!
昔習った記憶があるヘルムホルツとかギブスとか、
なんかそこからちゃんとやらないとダメですね~。
まだ線形弾性体の構成式を導く過程は理解できて
いませんが、今から教えていただいた資料を見て
じっくり考えてみます。
でもとりあえず、疑問に思っていたことはスッキリ
解消しました。
最後まで真剣にお付き合いいただき、感謝の言葉も
ありません。
rynさん、本当にありがとうございました!
No.5
- 回答日時:
いくつかのサイトを見てみたところ
おっしゃるように
σ_{ij} = Σ_{k} Σ_{l} C_{ijkl} × ε_{kl}
と,和をとっていますね.
この形からうまく導くことは出来ていませんが,
対称性から独立成分が36個になるというのは
σ = (σ_{11},σ_{22},σ_{33},σ_{12},σ_{13},σ_{23})^t
ε = (ε_{11},ε_{22},ε_{33},ε_{12},ε_{13},ε_{23})^t
という縦ベクトルのように思うと
σ = Cε
を満たす行列 C は 6×6 = 36 成分となるので,
確かに36成分より多く独立なものはなさそうです.
4階テンソルの形式から
C_{ijkl} = C_{jikl} = C_{ijlk} = C_{jilk}
を導くあたりもう少し考えてみます.
念のため,ひずみテンソル,応力テンソルは
ε_{ij} = (1/2){(∂_i)u_j + (∂_j)u_i}
f_i = Σ(∂_j)(σ_{ij})
といった形でよろしいでしょうか?
この回答への補足
>この形からうまく導くことは出来ていませんが,
>対称性から独立成分が36個になるというのは
> σ = (σ_{11},σ_{22},σ_{33},σ_{12},σ_{13},σ_{23})^t
> ε = (ε_{11},ε_{22},ε_{33},ε_{12},ε_{13},ε_{23})^t
>という縦ベクトルのように思うと
> σ = Cε
>を満たす行列 C は 6×6 = 36 成分となるので,
>確かに36成分より多く独立なものはなさそうです.
自分も確かにその通りだと思います。
>念のため,ひずみテンソル,応力テンソルは
> ε_{ij} = (1/2){(∂_i)u_j + (∂_j)u_i}
> f_i = Σ(∂_j)(σ_{ij})
>といった形でよろしいでしょうか?
ε_{ij}の定義はOKですが、f_i は何を
表していますか? もし応力を表しているなら、
その応力が作用する面の法線ベクトルをnとして、
f_{i} = Σ_{j}(σ_{ij} n_{j})
となります。
お付き合いいただき感謝しております。
No.4
- 回答日時:
> やはり、応力テンソルとひずみテンソルが単に対称というだけでは
> 36個まで成分が減ることはないのでしょうか。。。
応力テンソルとひずみテンソルの関係式の定義が
σ_{ij} = C_{ijkl} × ε_{kl}
の式における k,l の縮約しないという定義なら
No.1 の回答のやり方で対称性で成分を減らすと
独立成分が36個になりました.
例えば,参考URLで「2.線形弾性体」を見ると
総和規約を使っていない形が定義に見えるのですが
教科書等では総和をとっていますか?
> 一方、No.3の回答で引用されている
> σ_{11} = C_{1111} × ε_{11}
> σ_{12} = C_{1212} × ε_{12}
> :
> まで来ると、かなり特殊な材料の弾性定数でないと
> こうはならないという気がします(自分も勉強中で
> よくわからないですが)。
素人考えなのであやしいですが,
ε_{11} はx軸に垂直な面がx軸方向に
どれだけひずんでいるかということだと思うので(自信なし)
逆に
σ_{ij} = C_{ij11} × ε_{11}
+ C_{ij12} × ε_{12}
+ C_{ij13} × ε_{13}
+ C_{ij21} × ε_{21}
(中略)
+ C_{ij33} × ε_{33}
という形だと,i=j=1 を考えたとき
ε_{33} というz軸方向のひずみ(体積変化)が
x軸方向の応力に関係してくることになり
線形弾性体というわりには結構複雑な物質に
思えるのですがそうでもないのでしょうか?
参考URL:http://solid4.mech.okayama-u.ac.jp/弾性体の構成式.files/frame.htm
この回答への補足
何度もすみませんです。
>例えば,参考URLで「2.線形弾性体」を見ると
>総和規約を使っていない形が定義に見えるのですが
>教科書等では総和をとっていますか?
総和規約を使うのは間違いないと思うのです。
自分の手元にある教科書には、
σ_{ij} = Σ_{k} Σ_{l} C_{ijkl} × ε_{kl}
と、Σを使って書かれています。
またもし総和規約を使わないとしたら、
σ_{11} = C_{1111} × ε_{11}
σ_{12} = C_{1212} × ε_{12}
:
となって、独立な成分はいきなり9個になって
しまいませんでしょうか。
>ε_{33} というz軸方向のひずみ(体積変化)が
>x軸方向の応力に関係してくることになり
>線形弾性体というわりには結構複雑な物質に
>思えるのですがそうでもないのでしょうか?
これについては、例えば2次元の等方性の線形弾性体を考えたとき、
x方向に引っ張れば当然x方向には伸びますが、y方向をみると収縮する
というのが通常の仮定だと思います。
(教えていただいたURLのスライド6の下の「展開表現」を見ていた
だくと、σ_{11}の式にε_{33}等が出てくるのがわかると思います)
確かに教えていただいたURLの最初の方のスライドを読むと総和規約を
使っていないように見えますが、この図はちょっと変な感じがします。
後に出てくるスライドに出ている式(例えばさきほどのスライド6など)と
比較しても矛盾しているように見えますがいかがでしょうか。
No.3
- 回答日時:
No.2 の回答では少しおかしいことを書いてました.
> ただし,これは i≠j のときです.
> i = j の場合には3つの関係式しかえられません.
と書きましたが,i = j の場合はすべて意味のない式になってしまいます.
また,No.2 のやり方では k,l が死んでいるので
どうやっても関係式の本数が足りず
81から36に減ることはないことがわかりました.
そこで,Web で調べてみたところ
σ_{ij} = C_{ijkl} × ε_{kl}
という関係式に関して,縮約していない記述を見かけました.
つまり,No.1 での回答のように
σ_{11} = C_{1111} × ε_{11}
σ_{12} = C_{1212} × ε_{12}
:
などとそれぞれに対して線型関係となっていました.
この分野の書籍を持ち合わせておらず
実際の定義がどのようなものか確認できないですが,
数学的にはこれくらいたくさんの関係式が出てこないと
45個もの成分を減らせないと思います.
基本的には同じ添え字が表れると縮約されるようですが,
一度,応力テンソルとひずみテンソルの関係式の定義を確認してみてください.
ご回答どうもありがとうございます。
お返事遅くなりましてすみません。
やはり、応力テンソルとひずみテンソルが単に対称というだけでは
36個まで成分が減ることはないのでしょうか。。。
rynさんがNo.1の回答で言われている通り、
C_{ijkl} = C_{jikl}
は、教科書に出ているので正しいと思うのです。
どうすればこれが導けるかがわかればありがたいのですが・・。
一方、No.3の回答で引用されている
σ_{11} = C_{1111} × ε_{11}
σ_{12} = C_{1212} × ε_{12}
:
まで来ると、かなり特殊な材料の弾性定数でないと
こうはならないという気がします(自分も勉強中で
よくわからないですが)。
No.2
- 回答日時:
> 総和規約を用いないで書くと、
そういうことでしたか.
完全に専門外なので理解していませんでした.
確かに式を見ればそういった形ですね.
ただ,そうなると
> C_{ij11} = C_{ji11}等であることに異存はありませんが、
これは大丈夫なのでしょうか?
これは,ε_{11} のみを変化させても
C_{ijkl} × ε_{kl} = C_{jikl} × ε_{kl}
が常に成り立つことからε_{??}の恒等式のように考えて
C_{ij11} = C_{ji11}
などと考えればOKということでしょうか?
これがOKなら
C_{ijkl} × ε_{kl} = C_{jikl} × ε_{kl} ・・・(6)
の両辺をεの係数について係数比較すると
C_{ij11} = C_{ji11}
C_{ij22} = C_{ji22}
C_{ij33} = C_{ji33}
C_{ij12} + C_{ij21} = C_{ji12} + C_{ji21}
C_{ij13} + C_{ij31} = C_{ji13} + C_{ji31}
C_{ij23} + C_{ij32} = C_{ji23} + C_{ji32}
の6本の関係式が得られます.
すなわち,6つの成分が消えます.
ただし,これは i≠j のときです.
i = j の場合には3つの関係式しかえられません.
(下の3つが意味のない式になるので.)
この考え方でよいなら No.1 の回答の関係式とは異なりますが,
得られた関係式の数だけ成分は減ることになります.
こういった恒等式の考え方でよいのか,
エネルギー原理とは何か,あたりの補足をお願いします.
見なれない式なので私から回答が出るかどうかはあやしいですが…
No.1
- 回答日時:
専門外なので文章を読んで理解できた1だけ.
応力テンソルとひずみテンソルの対称性から
σ_{ij} = σ_{ji} …(1)
ε_{kl} = ε_{lk} …(2)
が成り立ちます.
したがって,
σ_{ij} = C_{ijkl} × ε_{kl}
の式において,i,jを入れ替えると
σ_{ji} = C_{jikl} × ε_{kl}
となりますが,(1) より2つの式の左辺が等しいため
C_{ijkl} = C_{jikl}
となります.
同様に,k,l を入れ替えることで
C_{ijkl} = C_{ijlk}
が,i,j と k,l をそれぞれ入れ替えることで
C_{ijkl} = C_{jilk}
が求まります.
すなわち,
C_{ijkl} = C_{jikl} = C_{ijlk} = C_{jilk}
となるので,i=j のときなどに注意しながら
同じものを消していくと独立な成分は36個になります.
この回答への補足
早速回答いただきありがとうございます。
大筋は理解することができました。
ただ、下記の点がもう一歩よくわかりません。
応力テンソルの対称性から、
σ_{ij} = C_{ijkl} × ε_{kl} ・・・(3)
σ_{ji} = C_{jikl} × ε_{kl} ・・・(4)
上記2式が成り立つのはわかります。
ここからどうして
C_{ijkl} = C_{jikl} ・・・(5)
となるのかがよくわからないのです。
(3)(4)から直接導かれるのは、
C_{ijkl} × ε_{kl} = C_{jikl} × ε_{kl} ・・・(6)
だと思います。総和規約を用いないで書くと、
C_{ij11} × ε_{11}
+ C_{ij12} × ε_{12}
+ C_{ij13} × ε_{13}
+ C_{ij21} × ε_{21}
(中略)
+ C_{ij33} × ε_{33}
= C_{ji11} × ε_{11}
+ C_{ji12} × ε_{12}
+ C_{ji13} × ε_{13}
+ C_{ji21} × ε_{21}
(中略)
+ C_{ji33} × ε_{33}
となりますよね?
ここで、C_{ij11} = C_{ji11}等であることに異存はありませんが、
例えば、ε_{12} = ε_{21} なので、たかだか
C_{ij12} + C_{ij21} = C_{ji12} + C_{ji21}
等であれば(6)は成立し、(5)式まで辿り着けないと思うのです。
ちょっと説明が長くわかりづらくなってしまいましたが、
要するに(6)から(5)を導く具体的な手順がわからないという感じです。
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