英語で“チャイナ“と言えば陶磁器を意味するように、1709年、ドイツ人ヨセフ=ベットガーが磁器を発明するまで、ヨーロッパ人は中国か日本からしか磁器を入手出来ませんでした(有名な朝鮮青磁などは禁輸だった模様で2ヶ国からのみ可能)。
しかし、古代ローマ帝国の時代は勿論、中世の“暗黒時代”ですら、ボヘミアン・グラスや、教会のステンドグラスなど、ガラス器やガラス製品は製造されておりました。
東洋の人間からすると、ガラス器の方が製造が難しそうに見えるのに、なぜヨーロッパでは磁器は造れなかったのでしょうか?
使い易い鉱石が無い?
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
#4です。
お礼ありがとうございます。質問者様は博識ですね。。
> それと、流通する“宝石”の種類とも関係が有ったのかもしれません。
それは私も考えました。特に青磁は中国で紀元前から作られていて、やはり「青く透き通った光沢」が璧などの地肌と似ていたから珍重されたのだと思います。
また白磁の「白い地肌に何も描かない」という芸術性は非常に東洋的であり、だからこそヨーロッパ人は魅了されたし、それ以前には「きれいな白い地肌だけ」というものに芸術性は無かったのだ思います。
phj様
お褒め頂き、誠に有難うございます。
陶磁器の専門家のphj様も、“宝石類似説”に肯定的なご感想を持たれるとなれば、かなり信憑性が高まったような気がします。
このような仮説は、これまで聞いたことが無い(弊職が知らないだけかもしれませんが)ので、研究すれば美術史・思想史的にも大変興味深いものが得られるかも知れませんね。
No.4
- 回答日時:
#2です。
お礼ありがとうございます。>しかし陶石の粉砕粒度や混合比率、焼成温度などが分からなかったため、磁器は製造出来なかったという事ですか……
そうですね、前回は詳細に書く時間が無かったので、補足します。
まず磁器といえば景徳鎮が有名ですが、中国では後漢時代には青磁が作られていた、といいますから西暦に入ってほぼすぐに磁器が登場しているわけです。
景徳鎮で磁器が発達したのは、作成する場所のすぐ近くにカオリンが採取できる場所があったのですが、固く陶器としては作りにくい性質だったので、それがだんだんに磁器として発展するようになったようです。
また中国では紀元前から登り窯が開発されていて、焼成温度の高い磁器も作ることができた、という技術的な要素もあります。
磁器が日本に渡ったのは、朝鮮出兵で朝鮮の陶工を連れてきて、有田焼で有名な有田で陶石の産地を見つけたことから発展していったとされています。
で、なぜ当時のヨーロッパで磁器が作られなかったかというと、陶石を見つけるという事の前に「陶器自体の製法も失われていたから」です。
ヨーロッパは6世紀ぐらいまで存在したローマ帝国時代は様々な陶器がありました。磁気は無くとも釉薬をかけ、豪華に彩りした陶器で十分に役に立ったのです。
またローマではワインの保管用に銀食器を使い始め、ローマが崩壊した様々な技術が失われた後も、一部の陶器の製法と銀食器は残りました。
(どのくらいのレベルでヨーロッパからローマの技術が失われたかと言うと、ローマの水道橋をみて「巨人が作ったもの」と思っていたぐらいルネッサンス以前のヨーロッパでは科学が無かったのです)
ヨーロッパ人は実は「結構貧しい」部分があって、陶器や磁器それに様々な「ちょっとしたアイデア商品(たとえば100均など)」は日本やアジアではすぐに市場ができるのに、いまだにヨーロッパまでは普及していません。中世のキリスト教の「安息(労働をしてはいけない)」という価値観がいまだに生きているからです。
なので、マルコ・ポーロが東洋の磁器をヨーロッパに紹介するまで「新しい陶器や磁器を作りだす工夫」そのものが行われておらず、当然白磁の美しさも知らないので「実用的な陶器で満足」していたから、ヨーロッパには磁器が無かったのです。
phj様
再度のご回答、有難うございました。
詳細なご情報にて、色々と参考になりました。
そもそもの、弊職の考え方に瑕疵が有ったようです。
イメージとしては、磁器vsガラス器のような対立構造が思考が有ったのですが、しかし磁器に掛ける釉薬は、いわば“ガラス”ですから、この両者は並列・平行な存在ではなく、先ず“ガラス”を造れる科学技術が有って初めて、次のステップである磁器が生産できる、という“直列”の関係に有る事が分かりました。
中国では河南省の紀元前11世紀~8世紀頃の遺跡からガラス玉が発掘されておりますから、当然、磁器を造るための前段階の技術は存在した、という事ですね!
仰る通り、ローマ帝国では陶器に(ガラスの一種である)釉薬を掛けて使用していましたから、特段、日常生活で困ることはなく、また芸術的には、発達したローマン・ガラスが有りましたから、“磁器”を造ろうとする動機が薄かったのですね。
それと、流通する“宝石”の種類とも関係が有ったのかもしれません。
中国では、「玉」や「璧」と呼ばれる翡翠(ヒスイ)系の宝石、それと貨幣の代わりとして“宝貝”(後に真珠も。「財」「貴」といった漢字にその名残が・・・)が主要な宝石・貴石として流通していましたから、宝石類のイメージとしては不透明で光沢があるもの、というものであり、正に青磁や白磁に近いイメージが有ったものと思います。
それに対し、ローマ帝国ではエメラルドやルビー(ラテン語: carbunculus)、それにアメジスト(水晶)が主要な宝石でしたから、透明で輝く物が高価な物品、というイメージとなったのかもしれません。
また、水晶の鉱脈は火山性の地域に多いですから、ローマ帝国には火山も有り、採取に有利だったのかもしれません。(日本でも採れます)
貴重なご意見を頂き、ここまで妄想を膨らませる事が出来ました。
誠にありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
必要は発明の母です。
ガラスで事足りてたんでしょう。
No.2
- 回答日時:
磁器の原材料を知らなかったからです。
ヨーロッパでも古くから陶器はあり、陶器を作る技術は洗練されていました。なので釉薬や土質ごとの焼き方の違いなど知識も経験もあったのです。ところが、どれほど頑張って「ボーンチャイナのような透き通った地肌が作れない」
そりゃあ、そうです。だって磁気は見た目陶器と同じ感じですが、磁気に使われているのは陶器の土とは違って「陶石」と呼ばれるものだったからです。
その後、中国などからなのでしょう「磁器を作るには磁石が必要」ということを知り、そこに粘土を混ぜて焼くことで磁器のつやつやした地肌ができることを知り、ようやく作れるようになったのです。
phj様
ご回報、有り難う御座います!
まぁ、流石に、“陶器”は新石器時代から有りますよね……
しかし陶石の粉砕粒度や混合比率、焼成温度などが分からなかったため、磁器は製造出来なかったという事ですか……
どうにか調べたところ、カオリンは1709年、ベットガーがザクセン・フォークラント地方のアウエ鉱山で初めて発見、とありました……
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