某芸能人が飲酒運転して事故を起こしましたが、これについてこんな報道があります。
「たとえ飲酒して運転したことが事実として認定されても、当人が飲酒した状態だったことを認識していなければ、無罪の可能性が残るのだ」
これって、どういう理由で存在する規定なのでしょうか?
「奈良漬やドリンク剤(一部商品)などの、微量にアルコール分を含む漬物を食べてアルコール摂取した状態で車両を運転し、飲酒検問に引っかかった場合」
に、
”飲酒したわけではないので、今回は飲酒運転に当たらない”
というためにあるのでしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
法学部出身です。
現実的にはそれで無罪になるのはレアなケースですが、法理としては正しいです。なぜそうなるかというと「刑法に抵触するには、作為が必要」だからです。
たとえば人を殺してしまった、と言う場合「殺そうと思って棒を振り下ろした」なら殺人罪ですが「棒は振り下ろしたが、まさか死ぬとは思わなかった」なら過失致死です。つまり「殺そうという意志(作為)」が無いと殺人罪という「人を殺した罪」には問えないのです。(未必の故意などの問題はありますが、ややこしすぎるので割愛します)
なので、常識的なレベルで飲酒し常識的なレベルで飲酒後時間を置いてから運転した場合、本人が「飲酒はしたが、既に飲酒運転にはならないと思っていた」なら「飲酒運転を作為したとはいえない」ことになるわけです。
この点道交法は「意識していなくても運転するなら十全の責任を負う」という形になっているので、殆どの場合は「でも飲酒運転」と摘発されて罰則を受けます。
ただ、法理からいえば「たとえ飲酒して運転したことが事実として認定されても、当人が飲酒した状態だったことを認識していなければ、無罪の可能性が残るのだ」は正しいです。
ご回答ありがとうございます
法律って難しいですね。ということは作為がみとめられないならば、
「過失で飲酒運転をした」
ということになるんでしょうかね?
>現実的にはそれで無罪になるのはレアなケースですが、法理としては正しいです。
その某容疑者は「ほんのわずかな無罪の確率に賭けた」、ってことでしょうか?
飲酒運転の上に賭け事までやっちゃまずいですね、イメージが重要な芸能人にとっては致命的ですね。
No.7
- 回答日時:
#5です。
お礼ありがとうございますちなみに#6さんの回答は正しいです。彼は「故意犯」かどうかを争うということですね。
>とくに「未必の故意」に関してなど
未必の故意というのは「社会通念に照らし合わせて、こうすればこういう結果を産むだろう、と認識していること」です。
たとえば、#4の棒で叩いた件でいえば、剣道経験者などは「この程度の硬さの棒で、自分が普通に振り下ろせば死ぬ可能性は高い」ということを認識できるといえます。だからそういう場合は「死ぬとは思わなかった」と本人が主張しても「そんなわけないでしょ、貴方は十分結果を予想できましたよね」というのが「未必の故意」になります。
交通関係においては、普通自動車に煽り運転された大型トラックが、急ブレーキを踏み、追突した煽り運転の乗用車の運転手が死亡した事故で、急ブレーキを踏んだトラック運転手側に「未必の故意」が認定され、殺人事件になった事例があります。
これは要するに「大型トラックの免許は普通免許と違って特殊な免許であり、大型トラックの危険性は承知しているはずである。急ブレーキを踏み、車がぶつかることを想定していたか?想定していたなら、ぶつかった車の運転手がどうなるか(死ぬかどうか)想像できなかったのか?」ということで、取り調べの最中に「死ぬかもしれないと思ったが、其れでもいいと思った」と証言した、として殺人罪に変わったわけです。つまり未必の故意の暴露です。
人間がその時何を考えていたのか、を見極めるのは大変難しいのですが「社会通念上、行為とその結果を見通せたはず」の場合は、本人がその瞬間にそれを認識していなかったとしても「通常なら結果を見通せ、責任を負える」とするのが未必の故意と言う意味です・
ご回答ありがとうございます
未必の故意について教えていただき、ありがとうございます。
次は「内心の推定・推認」などについてとっくりとご教授いただきたいと思いますが、それはまたの機会に・・・
No.6
- 回答日時:
飲酒,酒気帯び運転は、故意犯だからです。
従い、奈良漬なども故意犯には該当しないほか。
飲酒後に相当時間が経過し、客観的に「酔いは醒めている」と判断される様なケースでは、たとえアルコールが検出されても、無罪となったケースがあります。
深酒やハシゴ酒とかして泥酔状態まで飲めば別ですが、ソコソコの飲酒量でほどほどの時間に帰宅したなら、翌朝には普通に自動車で通勤する人も多いと思います。
その状態でアルコールが検知されても、運転者は「確かに昨日は酒を飲んだけど、運転時に飲酒した状態ってことはないよ!」となるでしょ?
とは言え、それで無罪となるのは、客観的に立証できるケースです。
たとえば飲食店などでの飲酒で、店側の記録で飲酒の時間帯や量が把握できて、その後はタクシーで帰宅し、レシートで帰宅時間も明らかみたいな場合です。
一方、某芸能人の場合は「部屋飲み」の様ですから、客観的に故意性を排除する立証は困難で、アルコール検査値の方が採用される可能性が高いと思います。
ご回答ありがとうございます
>一方、某芸能人の場合は「部屋飲み」の様ですから、客観的に故意性を排除する立証は困難で、アルコール検査値の方が採用される可能性が高いと思います。
なるほど、自宅部屋に監視カメラでも設置してあって、
「飲酒したのは●時●分から●時●分まで」
という客観的証拠でもあればいいのにね。
No.5
- 回答日時:
#4です。
お礼ありがとうございます。>法律って難しいですね。ということは作為がみとめられないならば、「過失で飲酒運転をした」ということになるんでしょうかね?
実際は裁判でどういう主張をするかによって異なるので、何とも言えない部分はありますが、一般的に「社会通念として分かっているはず」というのが適用されます。これが「未必の故意」というものです。
たとえば飲食店でお酒を飲んですぐに運転して捕まったとします。この場合に「ほとんど飲んでないから、飲酒運転になるとは思っていなかった」は当然に通用しません。本人に「作為」がなくても「社会通念として飲酒した直後に運転するのはダメ」だからです。
日本に生まれ、日本で育った人なら「常識的に知っている」ので、運転は作為と認定されるのです。
ただ、適度な時間を置いた後は状況が難しくなります。警察もバカではないので、しれっと会話で「運転手さん、飲んだ後8時間寝たから大丈夫だと思った、とかいうけど、朝起きて、自分で酒臭いと気が付かなかった?」などとカマを賭けてきます。
そこで運転手が「たしかに酒臭かったけど、いつもの事だから大丈夫だと思ったんだよ」なんていえば「作為」が成立するのです。だから殆どの人はそういうカマかけで自白しているので、有罪になっている、と思ってください。
山口氏のことは分かりません。弁護士と相談したうえで「作為ではない」という主張をするのだと思います。これは自己防衛権ですから批判すべきことではない、と私は思います。
後は裁判の結果次第です。
ご回答ありがとうございます。
>一般的に「社会通念として分かっているはず」というのが適用されます。これが「未必の故意」というものです。
なるほど、被告人の主観が通用するわけではないのですね。
>そこで運転手が「たしかに酒臭かったけど、いつもの事だから大丈夫だと思ったんだよ」なんていえば「作為」が成立するのです。だから殆どの人はそういうカマかけで自白しているので、有罪になっている、と思ってください。
警察官も頭いいですね。(まあ、上司からそのように質問することを指導されているんでしょうけど)
>山口氏のことは分かりません。弁護士と相談したうえで「作為ではない」という主張をするのだと思います。これは自己防衛権ですから批判すべきことではない、と私は思います。
えーと、私は某芸能人、とは書きましたが、別に「山口氏」という固有名詞は挙げていないんですけどね(苦笑)
そうですか、自己防衛権ですか、まあ法律で認められている権利なら行使するのは自由ですね。
詳しいご回答ありがとうございました。
また機会あればご回答お願いします。
とくに「未必の故意」に関してなど(笑)
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