原子核の崩壊をGM係数管で計測する実験を行う時、計測される係数を見積もる。今、ある放射性同位体の単位時間に崩壊する確率をp,試料中の核子数をnとする。
1,原子核の崩壊を時間感覚Tの観測を繰り返し行う時、この時間Tの間に崩壊する数Xの従う分布を求めよ。
2,核子数nが十分大きい時、Xをポアソン分布で近似する。分布を近似するポアソン分布のパラメータを求めよ。
3,この原子核の崩壊が起きる時間間隔tの従う確率の密度関数を次の手順で求める。
(1)時間間隔tをm等分した時間間隔δ=t/mごとに観測する時m回目(時間t)で初めて崩壊が起こる事象の確率分布を求めよ。
(2)t=mδを一定にしてm→∞の極限をとり崩壊時間tの従う分布を求めよ。
4,体重50kgの人間の体全体には40Kの原子数は1.8×10^20個であり、これをnとする。1個の40Kの1秒あたりの崩壊確率は1/6×10^(-16)である。これをpとする。
体全体から放出される放射線を5秒間、(これをTとし、)の間隔で繰り返し観測するとか、観測される係数の平均値およびばらつきが90%以下になる係数の範囲を求めよ。
という問題です。どれか一つでも構わないので解き方を教えてください
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
なかなか回答が付きませんね。
問題の内容が不明確なのですが、
>今、ある放射性同位体の単位時間に崩壊する確率をp,試料中の核子数をnとする。
多分「試料中の核子数をnとする」は「試料中の『原子核数』をnとする」だと思いますが、これは「原子核の崩壊」とともに時系列で減少していきます。
この「元の原子核数の減少」を考慮するなら、「時間間隔Tの間に崩壊する数X」は時間とともに減少していくのだけれど、そのように考えるのか、あるいは「崩壊する原子核数は極めて少ないので、単位時間に崩壊する原子核数は一定」とみなすのか。
(つまり、袋から玉を取り出す試行で、「取り出した玉は戻さない」のが前者で、「戻す」もしくは「玉の数は非常に多いので、戻さなくとも玉の数は十分ある」というのが後者です)
「2」でポアソン分布を仮定するなら、np 一定、つまり「後者」で考えろと言っているように見えます。
「後者」とは、つまり「原子核数 n は減少しないと近似する」ということで、これは半減期が「数億年」の原子核を秒オーダーで計測するような場合です。
半減期が数年とか数日、数秒の場合には適用できません。
そういう「問題の前提」が不明確なので、私も回答できずにいました。
もし、上記の「後者」つまり「原子核数 n は減少しないと近似する」ということであれば、下記のようになると思います。
自信はないので、とりあえず眉に唾を付けて読んでください。
>1,原子核の崩壊を時間感覚Tの観測を繰り返し行う時、この時間Tの間に崩壊する数Xの従う分布を求めよ。
ここでいう「時間間隔 T」というのもあいまいで、おそらく「測定時間」のことだと思います。「測定と測定の間の時間」を論じてもしょうがないですし、「3」でいう「1つの崩壊から次の崩壊までの時間」ということでもなさそうだし。
その場合には、n が一定であれば、その時間 T 内に崩壊するか否かは p に依存し
・測定時間 T の間に崩壊する確率: p
・測定時間 T の間に崩壊しない確率: 1 - p
なので、X の従う分布は「二項分布」になります。
ただし、二項分布の確率の式
P(k) = nCk * p^k * (1 - p)^(n - k) ①
は、n が大きければ現実に計算するのはほとんど不可能です。
>核子数nが十分大きい時、Xをポアソン分布で近似する。分布を近似するポアソン分布のパラメータを求めよ。
①の確率の式を現実に計算することは困難なので、これを「ポアソン分布」で近似するという話です。
そのときのポアソン分布のパラメータは、時間 T 内に崩壊する原子核数の期待値が
E[X] = Tnp
であることから
λ = Tpn ②
です。
これにより、ポアソン分布の確率式は
P(X=k) = λ^k * e^(-k) / k!
= (Tpn)^k * e^(-k) / k! ③
となります。
>3,この原子核の崩壊が起きる時間間隔tの従う確率の密度関数を次の手順で求める。
これは、上記ような「一定の観測時間内に崩壊する数」ではなく、
「1つの崩壊から、次の崩壊が起こるまでの時間」
をパラメータにするということかと思います。こちらは「時間間隔」と呼んでよいと思います。
>(1)時間間隔tをm等分した時間間隔δ=t/mごとに観測する時m回目(時間t)で初めて崩壊が起こる事象の確率分布を求めよ。
ここでは「初めて崩壊が起こる回数」の分布ですから「幾何分布」になります。
確率 p のベルヌーイ試行で、初めて成功する試行回数 X の確率分布は
P(X) = (1 - p)^(X - 1) * p ④
になります。
つまり「(X - 1) 回失敗して、そのあとで1回成功する」という確率です。
時間間隔が δ= t/m なら、その間に崩壊が起こるポアソン分布のパラメータは②より
λ = δpn = (t/m)pn ⑤
です。
そして、その間に崩壊が1回起こる確率は、③より
P(k=1) = λ/e = δpn/e ⑥
これを④の p として用いて、
P(X) = (1 - δpn/e)^(X - 1) * δpn/e ⑦
X=m で初めて崩壊が起こる(X=m 以降に初めて崩壊が起こる)ということは、X=1~m-1 で崩壊が起こることの余事象です。
X=1~m-1 で崩壊が起こる確率の総和は、⑦の「等比数列の和」であり
P(X<m) = (δpn/e)[1 - (1 - δpn/e)^(m - 1)]/[1 - (1 - δpn/e)]
= 1 - (1 - δpn/e)^(m - 1)
従って、X=m 以降に初めて崩壊が起こる確率は
P(m≦X) = 1 - P(X<m) = (1 - δpn/e)^(m - 1)
δ= t/m より、t を使って書けば
P(m≦X) = (1 - tpn/em)^(m - 1) ⑧
>(2)t=mδを一定にしてm→∞の極限をとり崩壊時間tの従う分布を求めよ。
⑧は
P(m≦X) = (1 - tpn/em)^(m - 1)
= [(1 - tpn/em)^(em/tpn)]^[(m - 1)tpn/em]
= [(1 - tpn/em)^(em/tpn)]^[(1 - 1/m)tpn/e] ⑨
で、第1項は
(1 - 1/n)^n で n→∞ のとき 1/e
というネイピア数の定義になることから、⑨で m→∞とすれば
P(m≦X) = (1/e)^(tpn/e)
= e^[-(pn/e)t]
という t の指数関数になります。
>4.
ここでいう「係数」は「計数」ではありませんか? 「5秒間の計測数」のことです。
ポアソン分布の
λ = Tnp = 5 * 1.8 × 10^20 × 1/6×10^(-16) = 1.5 × 10^4
これがそのまま「5秒間の計測数の平均値(期待値)」になります。
また、「5秒間の計測数の分散」も λ に等しくなります。それがポアソン分布の特性です。
従って標準偏差は
σ = √λ ≒ 1.225 * 10^2 ⑩
「ばらつきが90%以下」という表現は、「何の」90%以下といわないと意味がないので意味不明です。
「ばらつきが標準偏差の90%以下」ということであれば、⑩より
0.9σ = 1.1025 * 20^2 ≒ 1.1 * 10^2
なので、計数の範囲は
1.5 × 10^4 - 1.1 * 10^2 ~ 1.5 × 10^4 + 1.1 * 10^2
つまり
14890 ~ 15110
ということになります。
これは「5秒間」の計測値なので、「1秒」あたりだと約 3000 カウントです。これは「3000 ベクレル」に相当し、体内からそれだけの放射線を出しているということです。
人体からは、これ以外に炭素14などからの放射線を含め、1秒間に約7000個つまり「7000ベクレル」の放射線を出しています。
↓
http://www.ies.or.jp/publicity_j/mini/2007-09.pdf
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