bragellone様は、先日のご解答で次のようなご説明をされており、興味深く読ませて頂きました。
<14. さらに語例を伸ばしましょう。
《和ぎ nagi 》関連で 母音の交替をも加えて この / nVgV / なる音素には 共通の意義素が潜んでいるという語例です。そして この場合は 《恣意性》を否定するというのではなく いわゆる《有縁性》として 音素と意義素とのあいだにつながりがある〔だけだ〕と見られても仕方がない語例ではあります。
nago-ya-ka 和やか (障害が消滅した状態)
nago-mu 和む (障害が消滅していく)
nagu-sa-mu 慰む (障害を除去させる)
negi 祈ぎ・労ぎ・禰宜 (障害の消滅を希求)
nega-u 願う (障害の消滅を希求)
つまり みんな / nagi / なぎ =和ぎ という語と縁のある意味をもった語です。ここでは 母音が交替していますね。であっても / nVgV /という語の形態には変わりなく しかも語義には 類似性が見られます。>
このご説明に触発されて、次のようなことを考えました。
根拠・証拠はありませんので、自分でも怪しげな説明と自戒していますが。
1、大昔の日本語では、<nVgV>という形態は、1つの言葉しかなかった
例えば、<nago-ya-ka>という1つの言葉で、 和やか、和む、慰む、祈ぎ・労ぎ・禰宜、願うの5種類の意味を混在して使っていた。
2、しかし、時が経つにつれ、nago-muが誕生し、和むの意味を持つようになった。
したがって、<nago-ya-ka>という言葉は、 和やか、 慰む、祈ぎ・労ぎ・禰宜、願うの4種類の意味に縮小した。
3、もっと時代が経つと、nagu-sa-mu が誕生し、慰むという意味を持つようになった。<nago-ya-ka>は、和やか、祈ぎ・労ぎ・禰宜、願うを意味するだけになった。
4、さらに、negi が生まれ、祈ぎ・労ぎ・禰宜の意味を持つようになった。
5、最後には、nega-uが生まれ、願うの意味を持った。この時点で、現在のように、<nago-ya-ka>は 和やかの意味を持つだけになった。すなわち、5種類の言葉が、現在それぞれ分担するようになった。
すなわち、大昔の日本語では、<nVgV>という形態では、例えば<nago-ya-ka>という1つの言葉しかなく、それで5種類に意味をすべてをまかなっていた。
博識のbragellone様には、この説明は如何にうつりますでしょうか?
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
取り上げてくださってありがとうございます。
引用の箇所は 次の質問での趣旨説明の一部です。
【Q:ソシュール≒丸山圭三郎の《言語記号の恣意性》説はウソである】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9137845.html
議論は 日本語の語――いわゆる単語――の成り立ちについての仮説です。
かんたんに言えば 語は 子音によって意味が決まってくるというものです。
もし結論を延ばさないで言うとすれば:
○ 語どうしの間でどれが先に誕生しどのように関連する意味の語がそこから派生してきたか。これは 一概に言えないと思います。
単純な帰結で お粗末な話になったかも知れませんが そのように考えています。強いて言えば 推理をはたらかせてお考えになったように いろんな可能性があるということにもなります。
*
あらためて 仮説のあらましを述べてそのような帰結についても振り返ってみておきます。
☆☆ ~~~~~~~~~~~~~~~~
3. 次の語例すなわち:
/ nagi / なぎ =薙ぎ・凪ぎ・和ぎ
といった三つの語における子音としての音素(すなわち / n / および / g /)にそれとしての意義素があるという仮説を提出します。
4. すなわち まづ語義としての類似性は こうです。:
《 nagi=薙ぎ》は 伐り払うべきものが障害・邪魔と見なされている。
《 nagi=凪ぎ》は 波風が同じくそう見なされている。
《 nagi=和ぎ》は 心の動揺などがそう見なされている。
そうして その障害ないし邪魔と見做されたものを 除去する。またはそれらが除去される・消滅する 味というシニフィエ(意味)となっている。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
☆ とすれば 《 nago-ya-ka 和やか》以下の語は 《 nagi=和ぎ》の仲間であると考えられます。つまりただしそのとき どの語が先に誕生したか。これは 分からないというのが わたしからのお答えです。
あとは ナ行の子音( n )を同じくして ガ行の子音( g )をその清音(つまり k )に代えた / nVkV / という成り立ちの場合をふくめて捉えてみます。しかもその場合も 《障害の除去・邪魔の消滅》といった意味合いは 同じく保たれているようなのです。母音も自由に変化していますよ。
☆☆ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
nuku / nuke-ru 抜く/抜ける (障害・邪魔の除去・離脱)
noku / noke-ru 退く/除ける (障害・邪魔の離脱。除去)
nugu / nuge-ru 脱ぐ/脱げる (同上)
nugu-u / nogo-u 拭う (同上)
nige-ru / niga-su 逃げる/逃がす (同上)
noga-su / noga-reru 逃す/逃れる (同上)
(ただし 《にげる/のがれる》の語例は 障害や邪魔を除去
するというよりは 障害や邪魔からみづからを離脱させると
なる。
《のがす/にがす》は 邪魔が離脱していくのを止め得なかっ
たと言っている)
noko-ru / noko-su 残る/残す (同上)
(ただし 前項の補注と同じように 視点の移動が見られる。
その場を去って行って消滅したもの・除去されたもの〔Aとす
る〕のほうではなく 以前の状態のままに留まったもの〔非A
たとえば B 〕のほうに焦点が移ってしまった)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
早速のご回答ありがとうございます。
お手数をお掛けしまして恐縮です。
<○ 語どうしの間でどれが先に誕生しどのように関連する意味の語がそこから派生してきたか。これは 一概に言えないと思います。>ですね。
<いろんな可能性がある>だけですね。
ところで、今回興味を惹かされたことは、
<ガ行の子音( g )をその清音(つまり k )に代えた / nVkV / という成り立ち>です。濁音と清音との関連があるということですね。
ひらがななどでは濁点があるから清音と濁音とが意識(区別)されるが、ひらがななどの文字がまだない時代でも、清音と濁音との関連があったのですね。
No.2
- 回答日時:
★ (№1お礼欄)
ひらがななどでは濁点があるから清音と濁音とが意識(区別)されるが、ひらがななどの文字がまだない時代でも、清音と濁音との関連があったのですね。
☆ ええ。それは そういうことになります。
というのは 日本語で 清音・濁音というふうに区別する子音のばあい 一般には 無声音と有声音というふうに区分されます。
/ p /と / b / / t /と / d / / k / と/ g / などが 典型です。
音をととのえるときに 吐く息を声帯をふるわせて出すのが 有声音で 息を声帯にかかわらせないで出すのが 無声音です。
/ b /を言うときには 耳の穴を指先で塞いでいると 口の中での振動が分かります。/ p /を言うときと比べると よく分かります。
つまりこの《有声/無声》の違いだけであって あとは同じように上下の唇を合わせて / p /と / b /とは 調音されます。つまりは 同じ仲間です。
/ t /と / d /や / k / と/ g / も 同じようにそれぞれの一対が 仲間です。
そういう意味において いま語例として引き合いに出していた / nVgV /〔たとえば ぬぐ(脱ぐ)〕と / nVkV / 〔ぬく(抜く)〕とは 同じような意味合い(障害の離脱)を持つ。こういうことだと考えられます。
ちなみに / k / と/ g /は ともに息の流れを口の奥の喉のほうで緊張点をつくって〔息の流れを〕さえぎって調音します。したがって 仲間です。
この / k・g /は 疑問思考相であり その移行相・過程相をあらわします。
/ nVkV / 〔たとえば ぬく(抜く)〕や/ nVgV /〔ぬぐ(脱ぐ)〕は / n / が 否定相によって要らないもの・障害となるものを〔漠然と〕あらわし / k・g / が その否定的に捉えたものの移行過程をしめします。
よって 邪魔の離脱をあらわし さらには具体的に 着物がそのときの要らないものと見なされたり 何か詰まっているものの離脱のことを示すようになった。
具体的なものが決まるのは 恣意的にえらばれたに過ぎないと考えられます。
あらためて:
清音と濁音とは――調音のかたちが同じものどうしとして―― 関連を持ちます。文字の有る無しに関係なくです。
再度のご回答ありがとうございました。
<清音と濁音とは――調音のかたちが同じものどうしとして―― 関連を持ちます。文字の有る無しに関係なく>ですね。
日本語で、人(hito)と人々(hitobito)は、複数化において上記に該当しますね。
英語でも、leaveとleft(これは過去・過去分詞化において)。
私たちは何の気無しに使っていますが、頭脳において、単純な処理というか、高度な処理というか、面白いものですね。
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