【お題】王手、そして

 先日、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』をレンタルビデオで観ました。妻と一緒に観てたら妻曰く「何? この映画? 意味がわからない・・・」という感じでした。
 私も最初は「なんかおかしい・・・」という感じでしたがなぜか気になってもう1度観ました。「なんかよくわからないけど・・・いい・・」っていう感じなんです(その理由は省略します)。

 ジム・ジャームッシュ監督作品に詳しい方や『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を観た方、教えて下さい。
 
 映画の感想や解釈を他人に聴くのが無粋なことは承知いたしておりますが、お許しください。

(1) そもそも‘ストレンジャー・ザン・パラダイス,とはどういう意味でしょうか?(英語の直訳と監督の意図する意味について)。ストレンジャーとは?パラダイスとは?

(2) 時代背景は? 1960年代? 特に時代設定があるのでしょうか? スクリーミン・ジェイ・ホーキンズの曲やカセットの形からして1950年代後半~1960年代だと思うのですが、そもそも時代設定に意味があるのでしょうか?

(3) (1)とも関係してきますが、なぜハンガリー(系アメリカ)人を主人公にしたのでしょうか?

(4) アメリカ・西ドイツ合作となっていますが、ジャームッシュ監督と西ドイツとの関連は何かあるのでしょうか?

(5) その他にジャームッシュ作品でお勧めがあれば教えて下さい。とりあえず、レンタル店にあった『コーヒー&シガレッツ』、『ゴースト・ドッグ』を観ようと思っています。

 また、(1)~(5)の項目は無視しても結構ですので『ストレンジャー・ザン・パラダイス』に関する一言がございましたらぜひともお聞かせください。よろしくお願いいたします。

 (なお、このサイトでも関連する質問・回答は読ませていただきました。参考になりました。また、自分なりに今、ネットで調べているところではあります) 

A 回答 (3件)

(1)ミュージカル「キスメット」の代表曲名や、70年代NYのラジオの民俗音楽番組


が元だが、天国(パラダイス)よりも不思議(ストレンジャー)な国アメリカで
異邦人3人(ストレンジャー)がさすらうという感覚をあらわしているのだろう。
~劇場パンフレット解説より

(2)監督自身がNYで20代をすごした70年代が舞台かもしれません。
(カンフー映画をみるシーンがあります)
ただ、時代というより場所がテーマで、本作のキモは
「まったくアメリカらしくないアメリカ」の描き方です。
雪で何も見えないエリー湖、常夏なのに寒々としたフロリダ…
希望あふれる国というパラダイス像が皮肉られ、その「虚無な新世界」で生きる
移民たちの諦観した感覚が作品背景になっています。

(3)NYのイタリア系やアイリッシュ系移民よりマイノリティーで、
かつ東側のミステリアスな国ハンガリー出身者で、異邦人(ストレンジャー)の
雰囲気を醸し出したかったのかと。
他の代表作でも、いろいろな立場の異邦人が登場します。
(「ミステリートレイン」では日本人カップル)

(4)ジャームッシュはパリ留学中、小津安二郎や溝口健二、ゴダールら
日本・ヨーロッパの監督作品に刺激を受け、西ドイツの名匠ヴェンダース
(ベルリン・天使の歌など)の助手として働く。そこで機材を借りて撮った短編が
この映画の第1部「新世界」。映画祭で評価され、ミュンヘンのプロデューサーらが
資金援助して、2年後に3部構成の長編として完成した。
~劇場パンフレットより

(5)ジャームッシュ作品はどれも「別々の場所から来た異邦人たちが
ぎこちなく交わすコミュニケーション」のそこはかとない味わいが魅力です。
明確な意味よりも、そんな不可思議な面白さを、静かな夢物語のように味わうのが
心地よい観方のような気がします。
(モノクロの多用や、シ-ンを暗転でつなぐ技法も凝っています)

わたしも最初はジャームッシュ作品に戸惑いましたが、観終わったあとの余韻の深さに
魅了されました。ヨーロッパ感覚のアメリカ人監督であり、日本的な「無常」の境地に
通じる清廉さをもつ異才だと思います。

個人的にお薦めしたい順は・・・
1.ゴースト・ドッグ
2.ナイト・オン・ザ・プラネット
3.デッドマン
4.ミステリー・トレイン

ジャームッシュから逆にV.ヴェンダース作品、小津安二郎作品に遡って観るという
楽しみ方もありますよ。
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この回答へのお礼

 各質問について詳細で奥深いご回答をいただきありがとうございます。あらためて『ストレンジャー・・・』、ジャームッシュ作品を観たくなりました。

 競馬新聞を見ながら馬の名前が出てくるシーンで、たしか「晩春」「東京物語」というのがありましたけれど、小津安二郎へのオマージュなのかもしれませんね。いきなり「東京物語」と出てきてなんのことかよくわからず、笑えましたけど・・。V.ヴェンダース作品は『パリ、テキサス』ぐらいでしょうか・・。お勧めのジャームッシュ作品と併せて探してみたいと思います。
 ありがとうございました。

お礼日時:2005/11/30 06:36

(1).(3)に関して ジャームッシュ監督自身の答えらしきものが書かれているサイトがありましたので ご覧ください。



自由と栄華のアメリカに住む 無気力な若者の日々を描いた この作品は頭で理解するのはムリかと思います。どのレビューを見ても 感性で『かっこいい!すばらしい!』と捉える方が殆どです。
ザラついたワンカット・ワンシーンの映像(それゆえ 会話もかみ合わず宙に浮き 絶妙な間が出て、無気力な3人の様子が上手く描かれていたと思います。)の中に見せる ジョン・ルーリー他3人の表情が ドキュメンタリータッチで自然でした。

ジョン・ルーリーは歌手ですが 後にまたジャームッシュ作品『ダウン・バイ・ロー』に出演しています。

ジム・ジャームッシュ自身も出演している映画がありますので そちらも面白いかもしれません。
 http://f29.aaa.livedoor.jp/~tuzi/page032.html

参考URL:http://f29.aaa.livedoor.jp/~tuzi/page032.html
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この回答へのお礼

 早速のご回答ありがとうございました。

 ご紹介いただいたURLもたいへん参考になりました。特に、「僕はどうしてもハンガリー(東ヨーロッパ)にしたかった。・・・」という言葉は興味深いものがありました。あと、エヴァ役のエスター・バリントがハンガリー人だったというのも驚きました。
 「ベルリンの壁の崩壊」をまるで予測したような映画ですけれど・・・結果論でしょうか? やはり、この映画は頭で理解しようとするより、感性とか映画を観ている時の不思議な感覚を楽しむものかもしれませんね。
 ありがとうございました。

お礼日時:2005/11/29 00:45

わたしは、あまり深く考えなかったけれど強烈に良かったです。


音楽はたまたま主人公の好みだっただけなのでは?
現代の(というか80年代の‥)若者を描いた作品だと思います。
タイトルは直訳で「楽園より不思議」ですね。その通りだと思います。

わたしの彼は「ストレンジャー・ザン・パラダイスは全然何が面白いかわからなかったけど、ダウン・バイ・ロウは最高」と言ってました。けれどわたしは全く逆。ですので是非また奥様と「ダウン・バイ・ロウ」を見てみてください。
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この回答へのお礼

 早速のご回答ありがとうございます。

 >「現代の(というか80年代の‥)若者を描いた作品だと思います。」⇒ 今の(映画製作当時の80年代初?)アメリカの若者を描いた作品だというふうに素直に観た方がいいのかもしれませんね・・。


>タイトルは直訳で「楽園より不思議」ですね。⇒ 不思議だと[strangeness]になってしまうと思うのです・・。

 ご紹介の『ダウン・バイ・ロウ』探してみたいと思います。ありがとうございました。

お礼日時:2005/11/29 00:19

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