非常に大きなタンクから管路を経て出口から水が流出する。損失がない場合、ベルヌーイの定理が教えるところによれば、管路出口の流速は出口面積によらず、V=√(2gH)で一定になる。(Hは管路出口とタンク内水面のヘッド差)一方、損失のある実際の場合、ホースからの水を高い所または遠い所に飛ばすにはホースの先をつまんで断面積を小さくすることから想像されるように、管路出口の面積を絞れば、出口流速は絞らない場合に比べて大きくなる。出口面積を絞れば損失が増大して流速が減少するようにも思えるが、このように、実際には逆に増大する。これは、どのように説明すればよいのでしょうか?ちなみに、ホースの先を絞るため流量は一定ではないそうです。
No.10ベストアンサー
- 回答日時:
式を使った理論的な説明を希望されているようですが、
損失を見積もる部分についてはどうしても経験的な結果を利
用せざるを得ないと思います。
先ず、損失についてですが、損失はその部分での流速をV
とするとき、一般に
k・(V・V/2g)
で表されると考えます。これは損失が、単位質量(体積)
当たりの運動エネルギーに比例する事を仮定するもので速く
動いていればそれだけ損失も大きいと言うことで感覚的に納
得できるのではないかと思います。kは水の運動とは無関係
に決められるパラメータで損失係数と言っています。kは断
面形状、断面変化の割合等により実験的に決められます。円
形管路の場合は特に
k・(l/D)(V・V/2g)
で表されますが、これは水と管路の壁面の接触面積が大きい
ほど抵抗も大きくなることから単位体積当たり接触面を求め
ると管の断面寸法に反比例することおよび、管全体を通して
の累積としての損失が管の長さに比例するとして理解いただ
けると思います。
ベルヌーイの式に損失Hrを追加して書き直すと
V・V/2g+P/ρg+Z+Hr=const.
となります。Hrはその点までの損失の累積です。この式に
タンクの水面で 高さZ=H0、P=0、V=0、Hr=0
を適用し、ホースの出口で 高さZ=0、P=0、V=V、
Hr=Hrを適用して等値すると
V・V/2g+Hr=H0
ここで損失Hrをタンクの出口と管路内の損失(Hr1)と
ホースの出口の損失(Hr2)に分けて考え、損失係数を
まとめてそれぞれk1、b・k2
(k1=k11+k12・l/D、
bについては後述)
とします。また、
タンクからの流出量(流量)をQ
ホース内の流速をV1
ホースの出口での流速をV2
ホースの断面積S
ホースの出口での断面積a・S
断面絞り率a(a≦1)
断面を絞っていくとホースの出口での損失係数が変化するの
でこの変化の割合をbとします。
bはホースを開いた状態(a=1)でb=1であり
この状態から断面を絞って行く(a<1)と増大してb>1
となります。bはaの関数として実験的
に決められるものとします。ホースの出口での損失係数は
このbを使ってb・k2となりk2はホースを絞らない(a
=1)時の値になります。
連続の式から
V1=Q/S
V2=Q/(a・S)
損失について
Hr =Hr1+Hr2
Hr1= k1・(V1・V1/2g)
Hr2=(b・k2)・(V2・V2/2g)
変形ベルヌーイの式にV=V2を代入して、更に
上記の関係を利用して少々計算し変形すると
V2=sqrt(2g・H0/
(1+k1・a・a+k2・b))
が得られます。
この式からV2がどのように変化するかを大雑把に見る
ことができます。ただし、現時点ではa、bについてbがa
の関数で表せ、aの減少によりbは増大と言う程度のことし
か分かっていませんので、実際の場面との照合で考えるしか
ありません。
断面を絞って行くとaは1から段々小さくなります。この
とき、bは1から段々大きくなって行きます。従って、
k1・a・aは小さくなり、
k2・bは大きくなるので
全体としてV2が増加するか減少するかについてはこの両者
のバランスによって決まるのでa、bの具体的な関係が与え
られない限りここでは結論を出せません。実際の場面を想定
してk1・a・aの小さくなるなり方の方が大きいのであろ
うと言うことは予想できます。
また、ホースが長い等の理由でk1が大きい場合はホース
を絞る効果は大きく出ると予想されます。これについてはそ
の効果がどの程度の大きさかについては分かりませんので、
実際には効果として認識できないと言うことも当然あり得ま
す。
逆に、タンクから直接流出口に繋がる場合には上で述べた
ような調節機構が働かないことになるので、位置エネルギー
の変化を無視できるような通常の範囲でのサイズの流出口を
考える限りは、流出口を小さくすると一方的に損失が増える
だけで流速の増加は期待できないと言う結論が出せることに
なります。
以上の議論から分かるようにソースの出口から出る流速の
変化には、ホースの断面を変えることによるタンクからホー
ス出口までの間のエネルギー損失の分布の変化が支配的な要
因であり、この損失を見積もるためには実験的な方法しかな
いので、これ以上理論的な説明は期待できないのではないで
しょうか?
No.9
- 回答日時:
No.7の「回答に対するお礼」に対して、
> と言うことは、ホース先端における損失は流速には関係なく、
> 多少の損失があったとしても、それ以上にホースの先の
> 直前の圧力が大きくなるため、結果的に速度を速める要因
> となっていると考えて良いのでしょうか?
「流量はホース先端における損失にほとんど依存せず、
仮に損失のために流量が少し減少したことを考慮したとしても、
それ以上にホースの先の直前の圧力の増加の影響が大きく、
結果的に速度を速める要因となっている。」
ということでしたらOKです。
それから念のためですが、これはNo.3のモデルで、かつ、
r1≫r2のときの話です。
No.8
- 回答日時:
No.6です。
> この他に実験的な考えじゃなく、もっと理論的な考え方で損失が増えても流速が増す“要因”があれば教えてください
十分、理論的と思っているのですが、説明不足だったでしょうか?
全く損失が無い場合の流量は、理論的にQ=A0√(2gH)ですが、出口で全く損失がないということは考えられないので、C=Q/{A0√(2gH)}を流量係数として定義しているわけです。このCには色々な要素がからむので、理論的に算出するのは困難で実験的に求めざるをえないというのが現状の科学レベルです。
開度を絞ればCもAも減少するのですが、ある開度からはAの減少割合の方が大きいというのが先の回答で、実際の現象なわけです。その現象がなぜかと追求されると私は答えることが出来ません。これに明確に回答でき、現象を一般化できれば、博士論文のレベルだと思います。挑戦してみてはいかがでしょうか?
No.7
- 回答日時:
No.4の「回答に対するお礼」に対して、
> ホースの先をつまんだときもホースの内部の管摩擦は同じだから、
> 異なるのはホースの先をつまむことによる急縮小損失ですよね?
> それは、有効流路面積、先端断面積が関係してくると思うのです
> が・・・。
> 先端をつまむことで損失が大きくなることは間違いないですよね?
ここまではその通りだと思います。
> でも、それを考慮すると、結局、速度が遅くなるような気がする
> のですが・・・。
ここは違います。速度が速くなる場合があります。
その例として、No.3のr1≫r2、つまり、ホースの先よりも十分大きい
インピーダンスがそれ以前に存在する場合があげられます。
理由はNo.3に書いた通りです。
> ということは、損失以外に何か速度を速める要因となる現象が起きて
> いるのですか?
以下のように考えるといいのでは。
ホースの先をつまむと速度が速くなるのは、つまむと、ホースの
先の直前の圧力が大きくなります。これが要因ですね。
> この急縮小損失が速度におよぼす影響をしりたいです。
ホースの先の詳細はこの現象の理解には不要です。
無関係ではありませんが。
これは単にr2の大きさを変える効果しかありません。
> 流量が減少するということは、連続の式は使えないですよね?
今議論しているr1≫r2の場合は、流量が変化しないとみなせて、
連続の式が使えます。
r1≫r2の条件が満たされない場合は、使えません。
といった説明でどうでしょうか。
この中で納得できないことがあれば、また質問してください。
何度もすいません。
> ホースの先の詳細はこの現象の理解には不要です。
> 無関係ではありませんが。
> これは単にr2の大きさを変える効果しかありません。
と言うことは、ホース先端における損失は流速には関係なく、多少の損失があったとしても、それ以上にホースの先の直前の圧力が大きくなるため、結果的に速度を速める要因となっていると考えて良いのでしょうか?
No.6
- 回答日時:
具体的な式をご希望のようなので、お示しします。
出口以外に損失がないとすれば、管路出口の流速は次の式で表されます。
V=C×A0/A×√(2gH)
ここに、A0:管路の断面積、A:出口の断面積、C:流量係数(出口の損失を表す係数と考えて良いでしょう。)です。
A0×√(2gH)が一定ですから、VはC/Aで変化することになります。
例として、管路が直径Dの円形断面の場合を考えてみます。出口の開きがdの時、Aは次式となります。
A=cos-1(1-2d/D)×D^2/4-(D/2-d)×√(d(D-d))
Cは実験的に求まる係数ですが、一般にd/D(開度といいます)の関数で表されます。ここでは、簡単のため、Cはd/Dに比例し、比例定数=0.85、すなわち、C=0.85×d/Dとします。
D=0.1mの時、d/Dに対するC/Aを計算すると次のとおりです。
d/D=1.00 → C/A=108.225
d/D=0.90 → C/A=102.750
d/D=0.80 → C/A=100.954
d/D=0.70 → C/A=101.323
d/D=0.60 → C/A=103.653
d/D=0.50 → C/A=108.225
d/D=0.40 → C/A=115.894
d/D=0.30 → C/A=128.679
d/D=0.20 → C/A=152.025
d/D=0.10 → C/A=207.950
d/D=0.01 → C/A=639.422
開度を絞っていくと、最初はC/Aは減少しますが、絞るにつれて増加に転じ、開度が50%の時に全開の時と等しくなり、さらに絞ると急激に増大する(すなわち流速が大きくなる)ことが分かります。
つまり、開度を絞るにつれて、Cの減少割合(=損失の増加割合)よりもAの減少割合が大きくなり、流速が増大するというわけです。
ありがとうございます。
この他に実験的な考えじゃなく、もっと理論的な考え方で損失が増えても流速が増す“要因”があれば教えてください。
何度も何度もごめんなさい・・・。よろしくお願いします!
No.5
- 回答日時:
同じような問題を
http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?qid=215543
でも考えています。この問題では水を供給する側の条件が
曖昧のままの回答になっていますが、本質問ではホースの
断面を絞った際の流量の増減をも含めて議論する必要があ
りそうです。
損失がなければ確かにホースから出る水の流速は断面積
に関係なくタンクの水位から決まる値です。実際の流速は
これより小さくなり、それはどのような損失を受けるかに
よって決まります。損失の大きさは連続条件を使って速度
の場所毎の変化を見ることにより分かります。
損失がどのような値になるかは流速の2乗にほぼ比例し
て、後は断面形状や流れの中での断面の変化量によって個
々に実験的な値が損失係数(流速によって変わらない)と
して決められているようです。
今回の場合は
・タンクの出口の断面変化
・ホースの壁面摩擦
・ホースの出口の断面変化
が考えられると思います。このうちホースの出口について
は断面の大きさを変えることができるので上で言えば損失
係数を変えられます。この損失係数は断面の変化が大きい
(ホースをすぼめる)ほど大きく従って実際の損失も同じ
流速に対して大きくなります。
そこで損失をホースの出口までと出口に分けて考えます。
説明のため、取りあえず出口の損失を無いものとして考え
ます。また、断面を大きくした場合と小さくした場合の2
つのケースを考え同じ流速になるようタンクの水位が調整
された状態を考えます。
この2つのタンクを比較すると、断面積の大小から出口
小の流量は出口大より小さくなります。この流量は連続の
条件からタンク出口、ホースの中を通して一定になります
のでその結果としてタンク出口、ホースの中での流速は出
口小の場合に相対的に小さくなります。従ってタンクの出
口、ホースの中での損失が出口小の場合に相対的に小さく
なります。このことはタンクの水位が断面大の場合に比べ
て断面小の場合には低くてよいことになります。そこで断
面小の場合のタンクの水位を断面大の場合と同じになるま
で上げると損失も増えて行きますが流量・流速も増えて行
くことが分かると思います。即ち水位上昇分のエネルギー
が速度と損失の両方に配分されながらも速度としては損失
を差し引いた残りの分上昇すると言うことです。このこと
は同じ水位なら断面を絞った方が流出速度が大きくなるこ
とを示しています。
次に出口に損失がある場合ですが、この場合は上の考え
方に出口の損失分を補正すればよいと思います。即ち、上
で断面を小さくした場合に出口での流速が速くなることを
示しましたが出口に損失がある場合にはその損失分だけ大
きくなる筈の流速が抑えられます。どんどんすぼめて断面
の差が大きくなり出口の損失が大きくなって、出口に至る
まで(タンクの出口・ホースの中で)に節約された損失よ
り大きくなると、今度は逆に、流速は小さくなります。
現実の場面でホースの断面を極端に小さくして行くと水
の勢いは衰えてくる事が経験されることからこのような損
失の逆転が実際に起こっていることが推測されると思いま
す。
まとめると、
・断面をすぼめるとホースの出口までと出口の流速が連続
の条件によって変化する。
・出口までの断面は相対的に大きくなるので流速は相対的
に小さくなる
・このような流速分布の再配分が全体としての損失の変化
を生じさせる。
・この損失の変化により出口まででは損失が小さくなり逆
に出口では大きくなる。
・すぼめ方を変化させるとこの損失のバランスによって最
終的な流出流速が大きくなったり小さくなったりする。
・もちろん損失は常に存在するのでその分sqr(2gH)
よりは小さくなっている。
と言えると思います。
No.4
- 回答日時:
「力学的な考え方」とおっしゃる意味が私には今ひとつわからないのですが、電気回路の考え方を使ったところがわからにくかったということでしょうか。
しかし、それですと単に、電位→圧力、電流→単位時間当たりの流量、インピーダンス→流れの抵抗、といった読み替えをすればいいだけのことのように思います。もう少し、出来れば具体的にどのような説明が必要なのか、説明ください(ただ、難しい説明を要求されても私の力量を超えるかもしれませんが・・・)。あるいは、説明の中のどの部分がわかりにくいということでも構いません。
ホースの先をつまんだときもホースの内部の管摩擦は同じだから、異なるのはホースの先をつまむことによる急縮小損失ですよね?それは、有効流路面積、先端断面積が関係してくると思うのですが・・・。先端をつまむことで損失が大きくなることは間違いないですよね?でも、それを考慮すると、結局、速度が遅くなるような気がするのですが・・・。ということは、損失以外に何か速度を速める要因となる現象が起きているのですか?この急縮小損失が速度におよぼす影響をしりたいです。流量が減少するということは、連続の式は使えないですよね?
No.3
- 回答日時:
|-----|
| |
| |
| |
| =r1====r2 →I
└-----┘
一先ず、流速による圧力変化を無視し、電気回路のように考えます。
上の図で、r2はホースの先のインピーダンスで、r1はそれ以前にあるインピーダンスです。タンクの出口の圧力をV(~ρgH)とします。このとき流量Iは、
I=V/(r1+r2)
となります。
(1)r1≫r2のとき
I=V/r1
となり、以前のインピーダンスで流量はきまり、流量が決まったという条件のもとで、ホースを絞ることになりますから、断面積が小さくなるので流速が大きくなります。
(2)r1≪r2のとき
I=V/r2
で、ホースの先のインピーダンスで流量は決まるようですが、ここで注意がいります。先に流速による圧力変化を無視しましたが、ホースの先のインピーダンスr2が非常に大きい場合はいいのですが、そうでない場合は無視できません。r2が十分小さい場合、ベルヌーイの定理が適用できて、流速は√(2gH)となります。判断の基準は、Vと流速による圧力変化との大小関係だと思います(ここは少し自信なし)。
こんな説明でどうでしょうか。
No.2
- 回答日時:
No.1のUmadaさんと結局はあまりかわらないと思いますが・・・
問題のようにホースの先をつまむと、出口流速は損失のために減少すると思います。で、減衰せずに増加するような気がするのは、以下のような経験があるからではないでしょうか。
水道のホースの先を絞ると出口流速は速くなりますね。水道の水圧は、高いところにタンクを設置することによって加えているので、問題と同じような気がします。しかし、この場合は、蛇口であらかじめ絞ってから、その後ホースの先で絞っています。この場合、蛇口の絞りによる損失が非常に大きく、流量はそれで大体決まります。流量が決まったという条件のもとで、ホースを絞ると、断面積が小さくなるので流速が大きくなります。
ですから、ホースの先より手前に損失のない条件でやれば、出口流速は損失のために減少すると思います。
No.1
- 回答日時:
流体力学を最後にやったのは10年以上前で、しかも専門でないのでしゃしゃり出る立場でもないのですが、こんな風な考え方ではいかがでしょうか。
ホースの先端をつまむと確かに損失が増えます。
出口速度をv, 出口面積をS, 流量をFとします。つまみ具合(厳密には開度などと呼ぶべきでしょうが)をxとします。xは無次元で0~1の値をとることにでもします。vやSはxの関数ですから
v(x)×S(x)=F
なわけですが、比例定数Fも管路全体の損失によって影響されますから、これもxの関数として
v(x)×S(x)=F(x)
と表すことにします。
さて、先端をつまんで面積Sを1/2にしたとします。損失によりFも少し小さくなりますが、もともとホースにもそれなりの圧力損失があるわけで、先端をちょいとつまんだからといって損失が急に2倍や3倍に増えて流量が1/2や1/3になるわけではないです。(10mくらいのホースに息を吹き込んでみる場合、先端がつままれていてもそうでなくても息を吹き込む苦労は大して変わらないですよね)
先端をつまんだことにより流量が例えば0.8倍になったとします。
v(x)=F(x)/S(x)
ですが、つままない場合に比べてFが0.8倍、Sが0.5倍ですからvは1.6倍です。Sの減り方に比べFの減り方が小さければ、先端をつまむことで流速vは大きくなることになります。(もちろんトータルの流量Fは小さくなってしまいますが)
あまり学問的でない表現ですみません。
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