No.3ベストアンサー
- 回答日時:
電荷の挙動を考察するにあたって、圧電素子の解り易いモデルを考えてみましょう。
分極処理されているのに、安静時に端子間電圧が生じていないのは、内部分極と釣り合う量の真電荷が電極に常駐されているからでしょう。真電荷で充電されているがゆえに端子間電圧が零になるとも言えます。そしてこの充電は、僅かな電流リークが、端子間電圧が零になるまで自然に継続した結果です。電流リークの経路は、表面や大気イオン等と考えれば、わかりやすいでしょう(内部にもありますが)。歪が加えられ分極量が変化すれば、それと釣り合う新たな真電荷量が要求されます。任意の歪みに対しても、端子間電圧は徐々に零にリーク(充電)できる訳ですが、歪みが、急速であり、大きければ、リーク的な電荷移動では間に合わず、端子間電圧が大きく上昇します。スパークギャップの放電経路が用意されていれば、それで釣り合いを取ろうとするでしょう。分極した誘電体の代わりに、幾何学的にオフセットした正負電荷、つまりコンデンサを使い、上述の挙動にふさわしい等価回路を書いてましょう。
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○ ○
充電された中央の空気コンデンサが分極処理部分に相当します。圧電素子を歪ませる行為はこのコンデンサの極板間隔を変化させる事と捉えて下さい。このコンデンサの両脇にあるコンデンサの電極のうち、両外側の2枚が圧電素子に取り付けられた実際の電極に対応します。素子の端子間電圧は、両脇のコンデンサの充電を伴って、定常的には零に保たれています。中央のコンデンサの極板間隔を変化させると、静電容量が変化し電圧変化が外部に伝わります。極板間隔の変化が、リークの時定数に対してずっと急峻なら、リーク電流程度では電圧を零に保てませんので大きな端子電圧が生じる事になります。なお回路を見てわかるように中央のコンデンサの充電電荷は、決して消失、消耗することはありません。何度でも電圧が発生できる事や、歪みを維持しても、端子電圧は徐々に下がることも表現されています。
ところで、リークが小さすぎるとスパーク発生後の初期値復帰に時間がかかりすぎるのではと心配になりませんか。ところが大丈夫そうです。スパーク電流が、直流と考えるのは早計なようです。ハンマーで叩くような動作は、一時的圧縮であるものの、即座に力は解放されます。上のモデルで中央のコンデンサの極板間隔が元に戻れば抵抗の助けを借りずに、電圧が零に復帰する事がわかると思います。ライターの圧電素子の場合、材質、寸法からして、10 kHzオーダの減衰振動をするのではと想像します(未確認です)。発生電圧は交流、放電電流も交流でしょう。端子間電圧が零になるまで正負均等な放電がおこるのかも気にかかるでしょうが、一旦電離した経路の耐電圧や抵抗が低いことを考慮すると、交流といえど電流の導通角はかなり広く、放電後残留電圧は小さいとも予想されます。
裏付けとなるような電流波形の実測が、どこかに無いかweb上を探してみましたが、見つかりません。ただ、デフォルメされているかもしれませんが、特許公報中には、図がありました(実際の波形は機械的振動に放電路のLC共振に起因する高周波振動が重畳した、もっと汚い波形だと推測しますが)。直接URL指定が出来ないので、次の操作で表示させて下さい。
特許庁、資料室:
http://www.ipdl.ncipi.go.jp/Tokujitu/tokujitu.htm
で3番の「公報テキスト検索」をクリック、
公報種別:特許公報 (公告、特許) を指定
検索項目選択:出願者/権利者、で検索キーワード:松下電器
検索項目選択:発明の名称、で検索キーワード:高電圧発生装置
検索すると、8件ヒットするので、一覧表示から
「特公平06-052811 高電圧発生装置」
を選んで、説明や図をご覧ください。放電電流は、両極性の減衰振動波形である事、出来るだけ長くしたいという希望がうかがえます。
まとめますと、
「スパークを起こすための電子あるいは電荷はどこからやってきたものなのでしょうか。」に関しては、
帯電して外部に電界を放っているような状態は、全体としても、また各電極としても、普通の環境では維持出来ないから、正負真電荷は等量づつ存在し、分極処理された誘電体に引かれ、それぞれの電極に分かれて存在している。
「放電した後の導体1、導体2はそれぞれプラス、マイナスに帯電しているということでしょうか。」に関しては、
放電は交流で起こるので、残留帯電(電圧)は小さい。さらに時間が経過すればリーク抵抗で除かれる。
という回答になりそうです。
とても詳しい説明ありがとうございました。分極している圧電体がなぜ無負荷時はなぜ電圧を発生してないのかという疑問を漠然と持っていましたが、ご説明のおかけでりかいできました。放電は交流で起こるのですね。そういえば雷も交流だと聞いたことがあります。
No.4
- 回答日時:
こんにちは。
補足拝見しました。
ライターの詳細な構造(電気的な等価回路)は私も存じ上げませんので,これ以上の細かい話は,正直に申し上げて,難しいですね。前回の回答も,内部で自由に電子が動ける導体とつなげておけば,原理上電荷(電子)は取り出せるだろう,という程度の話ですし。
放電の仕組みとしては,おっしゃるような理解でよいと思います。
放電電流の流れ方(電子の動き方)については,あてずっぽうですが,圧電体がコンデンサとなり電荷を溜めている可能性もなくはないものの(圧電体は誘電体ですから圧電体を導体ではさんだものはコンデンサになります),人体などを通じてライターの外部に適当に逃げていく構造になっているような気がします。
(放電電流の大きさは,安全上問題になるようなものではないと勝手に思っています)
これ以上の考察をするには,ライターの詳細な仕様が必要になると思います。
以上,いい加減で恐縮ですが,よろしければご参考に。
ありがとうございます。静電誘導のことは習っていたのですがよくわかっていなかったということが今回の質問でわかりました。勉強になりました。
No.2
- 回答日時:
こんにちは。
正負に分極した圧電体(誘電体)のそれぞれの面の近くに導体をおくと,導体にはどんな電荷が生じるでしょうか?
そして,片側の導体をガスノズルに,もう片側をノズルに近接して設置した放電電極につなげておくと?
キーワード:静電誘導,誘導電荷
こんな解説もありました↓
http://www.jti.co.jp/sstyle/museum/special/room/ …
この回答への補足
ありがとうございます。ある導体1の誘電体側に例えばプラス電荷が誘起されるということは、その導体1のどこか反対側がマイナスになり、もう一つの導体2でも電荷の正負が逆で同様の現象がおこるため、導体1のマイナスになった部分と導体2のプラスになった部分を近づけることにより放電が起こるという理解でいいでしょうか。
ただ、まだわからないところがあるのですが、
放電した後の導体1、導体2はそれぞれプラス、マイナスに帯電しているということでしょうか。
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