No.2ベストアンサー
- 回答日時:
大まかなことは#1の方が答えられていますが、
音楽(特に器楽曲)が「芸術」という重みを持ち始めたのはベートーヴェンの9曲の交響曲からと言われています。
ベートーヴェンが音楽の在り方を変えたといえるでしょう。
それ以前は、特に交響曲やソナタなどの器楽曲は貴族の食卓のBGMに過ぎなかったのです。
ハイドンは貴族から「今日の晩御飯はあの交響曲を流してくれ。ただし明日は新しい曲が欲しいからそれまでに作ってくれ」て感じで、毎日のように交響曲を作って専属の楽団に演奏させていましたいました。そのような曲には斬新な手法や明確な個性は必要なく、さらにあまりに演奏が難しいと困るのでフレーズの使い回しや、パターンに当てはめた作曲法が取られました。要するに曲の内容よりも貴族が一日を楽しめれば目的は果たされたのです。
そのお陰でハイドンの交響曲は100曲以上あります。さすがに後期は質の高い作品がありますが、初期の頃は似たような曲が多いです。
教会に仕えていたバッハも仕事として毎週の礼拝で新作のカンタータを作るように頼まれていたので、そのお陰でバッハのカンタータは200曲を超えます。
同じようにヴィヴァルディは生徒の教材として500以上もの協奏曲がありますし、スカルラッティのソナタも500以上あります。
昔の人は基本的に多作です。とにかく数多く書かないとお金がもらえなかったし、書けないようならすぐクビでしょう。
モーツァルトも同じような環境で作曲していました。しかし天才と言われる所以はもともと早く作曲する才能があったのもありますが、広い交友関係のお陰で作品は室内楽から交響曲、協奏曲やオペラなど多岐にわたっている事、それぞれの曲に明確な個性が認められることでしょう。
しかしベートーヴェンは、人生において貴族に仕えることはしませんでした。
音楽は「自らの芸術性を表現するもの」という現在の思想に繋がる考えを示しました。似たような曲を作ったり、安易な発想で書き上げたり、そういう姿勢を拒否しました。芸術は自分の為に存在しました。その姿勢が如実に現れているのが9曲の交響曲といえるでしょう。
これに影響を受け、ベートーヴェン以降の作曲家は作曲した交響曲の数がぐんと減ります。
ブラームスは交響曲第1番に20年もかけましたし(ハイドンがこれをやったらクビでしょう笑)、マーラーはその生涯をほぼ交響曲の作曲だけに捧げましたし、チャイコフスキーにとっては自分の人生を語るものでしたし、
交響曲に限ってみても、ベートーヴェン以降の作品は1曲1曲に重大な意味があります。
だから、音楽の転換期はまさしくベートーヴェンにあるといえるでしょう。
しかし今でもハイドンのように作曲している人達がいます。
それはJ-POPのアーティストでしょうか。
彼らは社会のニーズに対応する為できるだけそれに合った楽曲をできるだけ早く提供するのが仕事です。1年経って忘れられようが別に構わないのです。
でも、それでも素晴らしい作品は100年経っても残ると思います。
要するに、ハイドンやヴィヴァルディは偉大だったのです。
この回答へのお礼
お礼日時:2007/09/05 21:17
ブラームスは交響曲の作曲は、大変慎重だったと聞きます、ハイドンなんかも、いかに貴族のためとはいえ、よく、あの数だけ、作曲したものだと関心します、重大な意味があるというのは、それだけ、作曲者の心が曲に伝わっているということですね、これからは、作曲した人の心を考えながら、聞きたいと思います
No.1
- 回答日時:
>作曲の仕方の違いで、このような、ことがおこるのでしょうか
その通りです。
交響曲に限ってみても、
交響曲の父ハイドンは100曲以上書いてますが(まぁこの人は長生きした人ではあります)、ベートーヴェン以降はぐっと少ない。
ベートーヴェン、ブルックナー、マーラーあたりが9曲。ブラームスは一生かかって4曲。ショスタコービッチが頑張って15曲というのが却って異色。
ハイドン・モーツァルトあたりを境目にして、作曲家というか音楽のあり方が大きく変わったんですね。
ハイドン・モーツァルト以前は音楽というのはあくまで実用品でした。
宮廷や教会で、何かの行事に際しその行事にふさわしい音楽(機会音楽といいます)を作曲して供するのが作曲家の使命でした。
同じ音楽を繰り返し使うのは格好が悪いことだったらしく、そのたびごとに新しい音楽を供することが作曲家には求められました。
だからこの時代の作曲家はともかく多作です。
求めに応じて必要十分な音楽をせっせせっせと作りつづける、それが出来なければ作曲家としてやっていけないわけです。
ところが、ベートーヴェンあたりから、
「音楽は作曲家の作品であり作曲家の個性を発揮するものである」
という考えが根付いてきました。
一曲一曲に新しい意匠とオリジナリティが期待されるようになったのです。
同工異曲は非芸術的として否定されるようにさえなりました。
こうなると、どんなに才能に溢れた作曲家でも、同じ形式の音楽を何十曲も作るのは難しくなります。同じ形式で、しかも一曲一曲に違ったアイデアを求められるわけですから。
まぁ、そもそも同じ形式の音楽を何十曲も作る必要もなくなったわけですが。
しかし、同じ形式でたくさんの曲を作る方法がないわけでもありません。
それは作曲家がそのときそのときの自分の感情を日記のように音楽にする方法です。
ベートーヴェンにとっては、多分、ピアノソナタがそれだったようです(32曲)。
なお、機会音楽をせっせせっせと作っていた時代の作曲家たちの作品が、ベートーヴェン以降の作曲家たちの作品と比べて芸術性で劣っているかというと、そうでもないんですね。
シュッツやバッハ(これは私の個人的な趣味で挙げてます)は確かに同じような音楽をたくさん書いていてかもしれませんが、彼らが渾身の力を注いで作った曲は後世の作曲家が到底真似できない凄みを持っています。
作曲家のあり方としてどっちがいいのかは分からないですね。
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